森の中にて
とある森の中。
冒険者4人がパーティを組み、依頼の薬草を採取しに来ていた。
「そろそろ勇者祭かー。今年は勇者が召喚されたから異世界人を見ることができるなー」
「勇者って異世界の人だったか。異世界って本当にあるのか?」
「あるでしょ。実際、この世界と異世界のものって同じようなものばかりあるって聞くし
「異世界の勇者と聖女様か……。聖女様は見たことあるけど……」
4人が間近に迫った勇者祭のことを話題にしながら、薬草が生えているところに歩みを進めていた時だった。
茂みからガサガサっと音が聞こえる。4人は話すのをやめてそれぞれ武器を構えた。
この森には魔物がいないわけではないので、4人は魔物だろうと思い武器を構え、襲撃に備えたのだが……。
突如、1人の目の前に剣が迫ってくる。その剣は一人の冒険者の首を刎ね飛ばした。
「ん? なんだ人間か……魔物かと思ったぜ」
「あ、あんた何すんのよ……!」
「あん? こんくらい防げねえ弱いお前らが悪いだろ」
男は冒険者の死体を足蹴にし、顔に足を置いていた。
「あんた……! 殺されても文句はないわよね……?」
魔法使いの冒険者が杖に魔力を貯める。
「あるっつったら見逃してくれんのか?」
「見逃すわけないでしょう……! 死ねッ!」
女は自身が持つ最大威力の魔法を放つ。女魔法使いはBランクの冒険者で、周りよりは優れた魔法使いだという自負もあった。
が、その魔法が男に迫ったとき、霧散していく。男は避ける動作もしていなかったのにも関わらず、男に魔法が当たらなかった。その事実に目を丸くして驚いていた。
「魔法が効かない……?」
「ならこっちだろ! 死ね!」
冒険者が自分に身体強化魔法をかけて、そのまま剣を振り下ろすが、男は剣を持ち、振るうと男の剣が折れてしまう。
そして、そのまま剣で体を貫かれたのだった。そのまま地面に倒れ伏せ、赤い液体が地面にしみこんでいく。
「弱え……」
男は返り血を手で拭い、そう呟いた。
息をするように仲間2人が殺されて、女魔法使いと回復術師が腰を抜かす。
「さてと……」
男は腰を抜かした回復術師に近づいていく。
回復魔法を使うので、彼女自身は戦闘力はあまりなかった。
「さてと。勇者祭つってたな? そういうのが開かれてるのか?」
「は、はい……」
「へぇ……。俺の祭りか。いいじゃねえか。ってことは俺が主役だな」
男は顎をさする。
その後ろから女が歩いてきたのだった。
「あんたを崇めるなんて馬鹿な国もあるものねぇ。ま、馬鹿な国ほど手に入りやすいか」
「そうだな。まずはその馬鹿な国を手に入れてやるかな」
男は笑っていると。
「あ、あんたなんか勇者様がやっつけてくれる……!」
「へぇ。俺を勇者様がねぇ……」
男は剣を横に薙ぐ。
女魔法使いと回復術師の顔が真っ二つに斬られて、そのまま体は力を失い地面に倒れ伏したのだった。
「勇者である俺を倒しに来る勇者って誰だよ」
「勇者はいっくんただ一人なのわかってないのかしらねこのバカ女たちは」
男と女は死んでいった4人をあざ笑いながら先へと進んでいくのだった……。




