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俺が聖女で勇者が幼馴染で  作者: 鳩胸 ぽっぽ
オルフェリート王国召喚編
26/103

神の子イルム

 勇者祭まで残り一か月。

 勇者祭ではへきると一緒に聖女である俺もパレードに参加するらしい。勇者は一人で魔王を討伐したわけではなく、この大陸にいた猛者たちとも協力して魔王を打ち取ったのだとか。

 正直、あの剣の名前からして勇者ろくでもねぇーって思ってるんだけど本当に仲間が募ったのか? でまかせじゃねえの? あんな目立つ名前を堂々とやるなんて吹っ切れた陽キャか陰湿な陰キャだけだと思うんですけども。


「そこでワン、ツー!」


 聖女は勇者祭で聖女の舞と呼ばれる踊りをするらしい。

 俺は今その練習をしていた。正直運動神経には自信がないのでちょっときついです……。体育の成績はいつも2だったんですけど……。


「ちっがーーーーうっ! 聖女様! 今のあなたからは情熱を感じませんわ!」

「情熱って言われても……」


 運動は苦手なんだよ……。自分の意思で走るかとか決めるのはいいけど、こういうやらされる運動となるとテンションが落ちる。

 それに振付がまじで多いんだよ……。聖なるものだとは理解はしてるけど踊るのは本当に俺じゃなきゃダメですか……。


「もう一度ッ! やり直しッ!」

「クソ……」


 また最初から踊りなおし。

 俺の額からはダラダラと汗が流れてくる。へきるは俺をニヤニヤと笑ってみていた。


「そういえば小学校の時の学芸会でもひよくんダンスで遅れてたよねぇ」

「リズム感もねえし運動も苦手なんだよ俺は……!」

「あはは、そうだったねぇ」


 俺はなんとか振付師の振付についていく。

 練習が一通り終わり、俺は地面に膝をついて、手をついて深く深呼吸を開始した。一応自分の体に回復魔法をかけておき、横になる。


「もー無理……」

「体力な……」

「運動神経皆無の俺にこんなことやらせんな……」


 俺が寝そべり休憩していると、部屋に王子様が入ってきたのだった。

 ハルト王子と婚約者のミリア・プラダンテ公爵家令嬢。と知らない女性の人。息を切らしている俺を見て声をかけてきた。


「お疲れ様」

「ありがとうございます……」

「これよかったら食べてくださいまし。疲労回復に効くとされるはちみつとレモン入りのクッキーですわ」

「ありがとうございます」


 クッキーを受け取り、紅茶も受け取りぱくぱくと食べる。


「それでそっちの人は?」

「あ、私はイルムっていいます! よろしくお願いしますね!」

「イルムは神の子って呼ばれる特別な子で……」

「神の子?」

「神が人間に力を授けた子ってことで特別な魔法が使える子のことだ。滅多に生まれないし、国は保護する義務があるんだ」

「へぇ……」


 イルムはニコニコと笑顔を崩さないが、隣のミリアさんはなんか変にぎこちなく笑っていた。へきるが俺の隣に近寄ってきて耳打ちしてくる。


「この子なんかろくでもなさそうだね」

「そうだな」

「なんか裏の顔ありそー……。私はあまりかかわりたくない子だから対応よろしく」

「えぇ……」


 話せよお前は。

 イルムは俺の手を握ってきた。


「名前はなんていうんですか!」

「ひ、日和……」

「ヒヨリちゃん! かわいらしい名前ですね!」

「どうも……」


 うわぁグイグイくるな。

 俺は苦笑いでその場を済ませ、ミリアさんをちょっと引き離し、話を聞いてみることにした。


「なんかあの子ろくでもなさそうですね」

「わかるのかしら。やっぱ聖女様には」

「やっぱろくでもねえんすか?」

「そうね……。あれはいつも私の座を狙ってるのよ」

「ミリアさんの?」

「王子であるハルトに惚れてるのか知らないけど、私を貶めようと画策しているの。毎日気を張ってなきゃやられてるわ。あれはものすごく腹黒よ」

「うへぇ……女こわっ……」


 あんな笑顔を浮かべておいてハルト王子の婚約者の座を狙ってるとか怖いな……。婚約者がいても婚約者になろうとする辺りマジで嫌な奴……。









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