同盟学校
オルフェリート王国第一王子ハルト・オルフェリート。
第一王子、第二王子ともに同盟学校へ通っているらしい。
「……同盟学校ってなんだ?」
「さぁ……」
「異世界人、無理もないですわね。説明いたしましょう。同盟学校というのは、オルフェリート王国、アルスラン皇国、聖ラファエロ王国の三か国が建てた学園となります。場所的にはそれぞれが設置している一部分……。この大陸の中央部。大陸一の学校となり、それぞれの国の王族や皇族、貴族が通う由緒正しき学園です」
「東大みたいなもん?」
「いや、それは違うだろ」
三つの国が出資して建てた学校って認識でいいのか。
そこには三つの国の貴族が通っているのだとか。
「それぞれの国の聖女や勇者は希望があれば通う資格はあります。勇者、聖女は特別であり、学ぶ資格が与えられるのです」
「ってことは俺らも行けるってわけか」
「申請すれば途中入学として認められますわ」
「ま、学ぶ意欲があるのなら来たほうがいいってことだな。魔法や勉学など様々なことを教えてくれる」
なるほどなるほど。
まぁ、俺はまだ行かなくていいかな……。まだこの国堪能してないし。
「同盟組んでるのは三つの国だけですか? この大陸にはほかの国がありますが……」
「そうね。この国随一の大国であるアズマーン帝国に対抗するために組まれた同盟で生まれた学園なので、ほかの国は受け入れていないのです。受け入れる姿勢はあるのですがどうも遠慮しているようで」
「アズマーン帝国と並ぶくらい肥大化した同盟に今更入りたいなんて言う国がいないんだ。今はアズマーン帝国はおとなしくなっているし、同盟としてはほかの国にも門戸を広げるかという話は出てるんだ」
なるほどなるほど。
もともと俺らで建てた同盟でそのための学校だからほかはダメですって今まで言ってたけど、今は別にいいかって感じなのか……。
「質問です! ほかの国の勇者と聖女は通ってるんですか!?」
「アルスラン皇国の勇者と聖女はいますわ。あなたたちと同じ異世界から召喚されてしまった……」
「どんだけ異世界から人を呼んでるんだ。魔王が誕生してから召喚しまくってたら人口溢れかえるだろ……」
「魔王誕生もそうそうあるわけではない。それに、今の魔王は人間に危害を加える意思がないから数百年は勇者は召喚されないだろう」
「それならいいんですけど……」
魔王が誕生したら召喚されまくるって魔王が誕生しまくったら異世界からたくさん人が来るってことだよな。そういう契約をしてるんだもんな。
ちゃんと解約期限とか決めとけよ昔の人。今の人が困ってんじゃねえか。
「聖ラファエロ王国の勇者と聖女とはすでに面識があるし、私たちはあとこの国の勇者と聖女似合うだけだったんですが」
「……初対面が裸で申し訳ない」
「お互い忘れたほうが身のためだと思います」
俺もちょっと恥ずかしいし。きゃって女の子みたいな声を出して驚いたこと……。
「なるほどなるほどー。学園かー。あるあるだね!」
「……通いたいの?」
「いずれかは。最底辺のクラスにいてさ、迫害を受けるけど実力隠してたから無双するっていうことやりたい」
「できるわけねえだろ」
「……じゃあ攻略対象を落として乙女ゲームのヒロインみたいなことしたい!」
「大体の貴族に婚約者がいるだろうし、寝取りしたら縁切るからな」
「……こんなのっ! 異世界じゃない!」
「むしろその小説がおかしいんだよ」
こいつ……。
「で、王子様は俺たちに会いにわざわざ学校から帰ってきたんですか?」
「いや、学校は夏休みに入るんだ。そして、聖ラファエロ王国、アルスラン皇国の勇者たちがこの国を見物したいと言っていたから連れてきた……」
といっていると。
「あれ!? 志島じゃん」
聞き覚えのある声がした。




