魔法の特訓 ②
シャルさんから魔法を教わることになった。
へきるもノリノリで魔法の特訓を始めている。まぁへきるは魔法の世界に来たから魔法を使いたいと常々こぼしていたから使えると知って喜んでるんだろう。
俺はというと、魔力の出力に無駄がありすぎるからそれを覚えることになった。
俺は膨大な魔力を抱えているから無駄に消費して無駄にオーバーキルするらしい。
底なしの魔力で何発使ってもそこは見えないだろうけど、かなりというかめちゃくちゃ多いってだけで俺の魔力も無限にあるわけではないのでいつか無理しすぎて魔力切れを起こすかもしれないだとか。
「魔法は大体感覚だからねぇ。自らの魔力を知覚することがまず上達の……」
「こんな感じかな」
「……聖女様は元の世界で魔法でも使ってたのかってくらいスムーズにできるねぇ。魔力操作」
自分の魔力というものがなんとなくわかった。
少し魔力を使う感じで雷魔法を使ってみるとイメージした通りに微弱な電気がバチっと流れる。
雷魔法は魔力の消費量によって強さも変わってくるようだ。
「聖女様は私と同じ天才肌のようだ。ここまで飲み込みが早いとなるとちょっとドン引きだよ」
「えぇ……」
「私も上手くなりたい〜!」
へきるは座禅を組んで瞑想を続けていた。
「魔力操作を習得したなら次の段階に進めるねぇ。次は防御への転用だよ」
「防御?」
「魔法を使うのは人間だけじゃない。魔物もたまに使ってくるのさ。身体に魔力を纏うことで相手の魔法を無効化、または軽減することもできる。無効化できる魔法はその人の練度や魔法の威力によって変わるがね」
「そうなんですね」
魔力を身に纏う感じね……。
「こんな感じか」
「言ってすぐできるのは流石というべきか。わかっていたとも」
「大体感覚ですけどね。魔力操作が分かればなんとなく出来ました」
「普通はそれでも苦戦するんだよ? 魔力を全身に均一にとか、魔力が少なすぎてもすぐ破られるし多すぎても魔力がすぐなくなるからね……」
あぁ、なるほど。
俺はちょっと厚めの感じをイメージして作った。俺は魔力量が多いからこそ割とすぐ作れるんだろうか。
「聖女様ははっきり言ってもう私と遜色ないくらいには魔法使いだねぇ。いやはや……異世界人はこういう能力が高い者が多いとは言うがここまでとは。勇者ちゃんはそこまでのようだが」
「まぁ、あいつは魔法よりフィジカルの方が強いですからね」
得意不得意というのは誰しもあることだ。
へきるはまた闇属性の魔法に挑戦してみているのか瞑想を止めて闇の玉のようなものを作って放っていた。が、ヒョロヒョロ〜と落ちてしまう。
「闇属性の魔法は相手の魔力を吸収するみたいなものが多い。そういう相手の能力を弱らせたいとイメージしてみるんだ」
「えっと……こんな感じ?」
シャルさんがそうアドバイスすると、今度は真っ黒な球体が出来ていた。
そしてそれはヒョロヒョロとは飛ばず真っ直ぐ俺の方に飛んでくる。その黒い球に俺の魔力が吸われ、肩に当たる。
「なんか変な感じ……」
「闇属性は相手の魔力の防御を貫通するんだ。闇属性魔法だけは普通に受けれないからね」
「そうなんですね!」
「魔力をもっとこめれば相手の魔力を吸う量も比例して上がってくる。魔力が多ければ多いほど吸収して威力も上がる。聖女様は間違っても防御しないように。永遠に吸われ続けて最悪この国無くなりかねないから」
「そこまで!?」
そこまでのもんなの!?
あっぶね。さっき吸われたと思って解いてよかった。あのまま魔力を出し続けていると無限にあの黒い球が魔力を吸収し威力も上がってくところだったのか。
「できたぁ!」
へきるが手を挙げて喜んでいると、後ろからシャルさんの部下の人がやってきたのだった。
「シャルドネさん! 報告します!」
「ん?」
「例の火災の犯人がわかりました!」
「お、わかった? 居場所も?」
「はい! 犯人は村から少し南に行った山に拠点を構えている盗賊団で……」
「……盗賊団か。なら私が出るまでもないねぇ」
「なのですが、その盗賊団、魔族と関わっており……」
「話変わってきたね」




