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俺が聖女で勇者が幼馴染で  作者: 鳩胸 ぽっぽ
オルフェリート王国召喚編
11/103

本命がいるんです…

 まさかの告白を受けてしまった。

 黒髪ロングで優しそうな目つきをしており、背が高く巨乳の理想のお姉さんのような見た目をした魔王ヴォルテさん。

 俺が気の弱いショタガキならば受けてしまいそうな告白だが……。俺は……。


「「好きな人がいるから付き合えません」」


 言葉を被せて魔王様が一言一句同じことを言い放った。


「え……」

「驚いた? やっぱダメかァー。フラれる未来視えてたしナ〜」


 と、魔王様は頭に手をやって背もたれにもたれかかった。

 この人……未来視えてたと言ってたな。ということはこの人って未来視の能力が……。

 未来が視えていてダメ元で告白してきたってこと……?


「勘のいい聖女様なら気づいてると思うケド、私は未来が分かるんだ。未来視の魔王、ヴォルテ様だヨ!」

「未来視の魔王……」

「君が好きなのもホントだけどネ、本命がいるんなら仕方ないネ。でも、付き合ってはないんなら……気持ちをこっちに向けることもまだ可能ってワケだ」


 俺を狙うような目で見てくる。ちょっと怖いよ……。


「で? 好きな人って?」

「……幼馴染」

「ホーホー! 男? 女?」

「女の子……」

「ナルホド。そっちも出来るんならまだ私にもチャンスあり、ト……」


 そっちって……。俺は元々男だから女の子が好きなだけであって元々女の子なら多分男の子が好きだって言うと思うけどな……。

 でも、へきる曰く女の子も可愛い女の子が好きと言うくらいだしもしかしたら言う可能性もなくはないのがちょっと怖い。


「魔王になってあまりよく思ってなかったケドこの世界にこーんな可愛い子が来るなんて最高だネ。人間の国の国王様! これからもヨロシク!」

「え、あ、あぁ……よろしくお願い頼む?」

「なんか一人で勝手に納得しやがったよ……」


 魔王様は席から立ち上がり、帰るワ!と言って出て行こうとしていた。

 何かを思い出したのか立ち止まり俺の方を向いてくる。


「聖女ヒヨリ。君が私の国に来たい場合は国王様を通じて教えてネ! 案内してアゲル!」

「あ、ありがとうございます……」


 そう言って魔王様は元気よく出て行ったのだった。


「な……? 友好的であろう?」

「友好的っていうか俺がこの世界に来たから心変わりしたのでは……?」

「かもしれんなぁ……。……で、ヒヨリ殿の好きな方というのはまさかなのだが」

「……アイツには秘密で」

「うむ。まぁ……元々男だったのだから自然ではあるな。応援しておるぞ」

「はい……」


 でも距離が近すぎてアイツ俺のこと多分意識してないと思う。

 確かにアイツは見た目は可愛いし、性格も優しくてノリが良いお調子者でモテないほうがおかしいと言う完璧美少女だったが……。俺のこと意識してるように見えないんだよな……。


 ただでさえ割と男に見られてるかわからなかったのに女になって……。もうわからないじゃなくて見られないことが確定してしまったのも少し落ち込むポイントだ……。


 俺はどんよりしながら部屋に戻ろうと王城の廊下を歩くと、中庭でエルゴさんとへきるが剣の打ち合いをしていた。

 エルゴさんは王国騎士団団長というだけあり剣技は素人目の俺ですらすごいと思うような剣捌きで、へきるもそれに余裕綽々とついていっている。


「俺が勇者の方がよかった……と思ってたけど俺にはあんな動き出来ねえな……」


 へきるは運動が得意だからこういうことできるんだろうな……。


「おや、ヒヨリ様。どうかなさいましたか?」

「あ、いや、二人を見てただけです」

「そうですか……。あぁ、それならばヒヨリ様、二人にこれを持って行っていただけませんか?」

「なんですかそれ」

「はちみつの中にレモンをつけたものです。昔から運動の後に食べると美味しいと評判でして」

「あー」


 はちみつレモンはエネルギー補給にはもってこいのもんだからな。

 

「わかりました〜。持っていきますね」

「お願いします」


 俺ははちみつレモンを受け取り二人に持っていく。


「へきる〜、エルゴさん」

「ん?」

「お?」

「侍女さんから差し入れてくれと」

「おぉ、いつものか! 助かるぞ!」

「これ美味しいんだよねぇ〜。いただきまーす」


 二人ははちみつレモンを食べ勧めていた。

 あっという間にはちみつレモンは無くなり、俺はとりあえず余ったはちみつを持って厨房からコップを借りはちみつを入れて水で割る。


 即席レモネードみたいなものを作って二人のところに持っていく。

 二人はベンチに座り休憩をしていた。


「はい、レモネードです」

「おぉ、助かる。レモネードとは?」

「さっきのはちみつレモンの残ったはちみつを水で割っただけのものです。美味しいですよ」

「ふむ、いただきます……。おぉ、これは美味いな!」

「これ昔よく作ってくれてたよね〜ひよくん」

「思い出の味か?」

「みたいなものですね! 美味しいんですよ〜!」


 へきるはゴクゴクとレモネードを飲み干していた。

 俺もベンチに座る。へきるはタオルで汗を拭っていた。


 …‥ちくしょう、やっぱ可愛いな。仕草が。










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― 新着の感想 ―
[一言] 頑張ってね、ひよりちゃん、もしかしたらいつか彼女もあなたと同じように感じるかもしれないし、あるいはすでに同じように感じ、思っているかもしれない
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