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俺が聖女で勇者が幼馴染で  作者: 鳩胸 ぽっぽ
勇者へきる編
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迷いの森

 学園長の情報を頼りに魔王城へと転移した。

 魔王城では魔物がせっせせっせと働き忙しそうにしている。魔王城も5年前の戦争で結構な被害を受けたらしく、復興の最中のようだった。


「戦争の際、魔王軍もこちらに協力してくれてたのよォ」

「蜘蛛の魔物がケガの際に止血で役に立ってくれましたね」

「へぇ。能力も使い方次第ってことだね」


 魔王城を俺らが歩いていると、魔王軍四天王が俺らの目の前に現れたのだった。


「何か用か? 人間」

「魔王様に会いたいのですが」

「魔王様なら今不在だ」

「どこにいったかわかります?」

「まず魔王様に何の用だ?」


 いぶかしげな眼を向けてくる四天王の一人。

 ネクロムさんが制止していた。


「落ち着きなさい。この人たちは5年前に勇者様と遊びに来ていた方たちです」

「あ、本当だ。久しぶりですねー」

「……何の用?」

「魔王様に勇者様の所在を知らないかと聞きたいのですが……」

「勇者? そういえば魔王領の東の森に勇者のような人を見たって誰か言ってなかったか?」

「東の森?」

「ああ。鬱蒼と木々が生えてて迷いやすいから誰も入らない森があるんだけどそこに人影を見たっていう話があるんだよ。いるとしたらそこじゃねえかな」

「ありがとうございます。さっそく向かいたいのですが……」

「迷いの森はつい先日私が整備いたしましたよ。これが地図です。迷う心配はございません」


 ネクロムさんが地図を渡してきたので、アイナさんがそれを受け取り迷いの森へと向かうことになった。

 迷いの森。たしかに道ができており、ゾンビたちが歩いている。


「あ゛あ」

 

 ゾンビがぺこりと頭を下げて挨拶をしてきた。

 襲ってこないで挨拶だけしてくるゾンビってなんかこれじゃない感が半端ないな。


「この森にいるかもしれないのですよね」

「いや……十中八九いる。なんかそんな予感がする」


 へきるは一人で見知らぬ土地に行かない。

 それは多分俺が死んでもそれを貫いてると思う。へきる自身方向音痴で帰ってこれなくなるかもしれないから。

 だからへきるは森の外に出られるように何か目印を付けていると思うけど……。


 俺は近くの木々を調べてみると、一本の木にバツ印がつけられていた。それがまっすぐ続いている。


「当たり! この先だな」

「さすがねぇ。勇者様のことは何でも知ってるみたい」

「へきるの行動なんてもう読めてる。物心つく前から一緒にいたから」


 幼稚園も、小学校も、中学校もいつも一緒だった。

 いつも一緒にいて、一緒に帰って、一緒に遊んで……楽しかった。へきるも楽しそうに俺の隣で笑っていた。その日常がいつまでも続くと思っていた。

 将来的には俺は告白しようと思ってたし、へきるは断らないという自信があったから。断られたらショックで寝込むと思うけど……。

 でも異世界に来て、その日常は終わりを告げた。

 

 へきるのことは何でも分かってる。

 多分へきるは死にたいと思ってることもなんとなく予想はしている。でも、へきる自身自分を殺す方法が見つからなかったんじゃないかな。だからせめても人里から離れて暮らそうとしているんだと思う。

 餓死とかそういうのやんなかったのかという疑問はあるけど、へきるは無意識に何かをつまむという癖がある。お腹がすいたら寝てるときに冷蔵庫を漁ったりしてた。夢遊病というやつ。それで食べてるから餓死はないんじゃないかなとは思ってる。


 勇者へきるをどうやったら殺せるか、それは本人すら知らない。

 俺はなんとなくどうやったら殺せるかは想像できてるが。


 草木をかき分け先へと進む。

 すると、開けた場所に出たのだった。開けた場所の中央にはこじんまりとしたログハウスのようなものが建っていた。

 そして、その家の前にはただただぼーっと景色を眺めているへきるが座っていたのだった。


「いた」

「では近づき……」

「の前に一発かましてやる」


 俺は猫の姿のまま駆け出し、そのままへきるにドロップキックを食らわせたのだった。










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