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特にこれといった目的もない異世界転生  作者: zaq2
1:カミを祭る国
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#ホ:【喋るな】

 女士と白い鎧を着た亜人の戦闘によって被害が拡大すると判断し、周囲へ被害対応と避難を指示はしておいた。


 だが、このままでは、さらに被害が大きくなると思っては、女士に一言をと思い立ち向かったが……



 結果は、あの姿を見せられたら、否が応でもわからせられた。



 存在その物が違うと。


 あれは、こちらが何を伝えたとしても、"暴力"という名の力で全てを覆してくる存在であると。


 周囲の状況から察すれば、あの亜人が消え去らない限り、この戦闘は終わる気配は無いだろう……



「純血種よ!!男爵!!アナタは最高の仕事をしてくれたわ!!」



 その場を去る間際、敷地内にあいた穴の底から、いきなり女士の言葉が響く。


 だが、周囲の状況を察すれば、その場を離れるのは凡人の動作だといえただろうが、それは仕方がない事だ。


 とにもかくにも命が優先と考えるのは、生きているモノのサガかもしれない。


 敷地の被害がどうなろうとも、戦闘が終わった頃合いを見て戻ってくればいい。

 屋敷や設備は、また、やり直せれる……と、見切りをつけて。



 女士に見切りをつけては、召使い共々に這う這うの体で、街を見下ろせる位置にある丘の上の領主敷地から、小川を越えてはここまでくれば……とへたり込んで振り返った矢先、白柱が先ほどまでいた敷地を覆いつくしていった。



「た、助かった……逃げていなければ、今頃、あの中に巻き込まれて……」


 

 助かった。


 そう安堵したのだが、そのつかの間、その白い柱が徐々にこちらにも広がってきた。



「に、逃げろ!このままでは、ここも巻き込まれるぞ!!」

「「は、はい!!」」



 その白柱が徐々に広がりは、逃げようとした自分たちを、その白い光の中へと……





==================================


「こ、これでどうかしら?」


 肩で息を切らしながら、穢れの象徴である亜人に神力その物をぶつける術式を発動した。


 魔法や魔術を無効にする鎧を着ていようが、神力を使う術には一切関係がない。



 "森羅万象の法"


 

 その法の(コトワリ)を司る内容にそって使用するのが神術と言われるものと、その下位である法術が存在する。


 そして、その神術や法術の中には"罰を裁く"法がある。


 いま、目の前で行った術式も、その法術ではなく神力による"裁きを下す"術の一つ。


 この世界の何れも、その"裁き"を覆される事はない。

 いかにあの鎧が"古代の宝具(アーティファクト)"であろうともだ。



「これを使うのは、大変なのよね。あら、2対も損耗しちゃったじゃないの、もぅ」



 背後にあった、4対の翼が欠け2対へと減っていた。

 それほどまでに、この"裁きの法"は──


 



    "それで、何がしたかったのダ?"





「!?」



 どこからともなく声が聞こえる。

 声の主を探すも、周りには何も見えないし、何もいない。



「ど、どこにいるのよ!出てきなさい!!卑怯にも隠れてるなんて!!」




   "卑怯?眼前に、居続けているだろう?"




「何を……言って……」


 言われて意識した時"ソレ"が存在していた事を認識した。



 その背には七色の光輪を携えていた。

 その左腕には、淡く白い透明な薄い光輪の盾を近くに浮かせていた。

 そして、先ほどまで無かったはずの右腕が元に戻ってもいた。



 そして、どうしてこの存在が眼前に居続けていたのに、認識ができていない、と?


 こんな存在そのモノが、馬鹿げているにも程があるぐらいの存在感があるものを?


 それよりも"天の裁き"を受け付けもしていない……そんな法を無視する事があるのか?!


 いや、違う、コイツは"何か"をしたはずである!そうでなければ……そうでなければ……



「や、やはり、受けなかったのね?出なければ……」

「"受けてはいた。が、何も起きなカった様ダぞ"」

「そ、そんな、嘘よ……あれは、神の力、神の裁き、誰もがその神の名の元に裁かれる奇跡なの……よ」



 そう、誰もが神の裁きには逆らえない。


 裁きに逆らえるとしたら、神そのモノか、神に異議を唱えることができる救世の導き……



「う、うそよ……ウソヨウソヨウソよ!救世は我らが行っている!亜人がそうだとかいうの?冗談じゃないわよ!!今までの亜人だって……亜人だって……」



 そういえば、亜人に対して、天の裁きを使う事はなかったと、そこまでの相手でもなかった……


 ただ、反逆するだけの、下種な存在であり"森羅万象の法"の力を行使するのも烏滸がましいと。



「"キサマは、不要なモノだ。"」

「違う!ワタシは!十二翼の一つ!選ばれた民を人を助ける救世の存在よ!!」

「"いいや、不要な存在だ。このワタシが、そう決めタ"」

「そ、そんなの!横暴じゃないの!!」

「"【喋るな】"」

「うぐっ!?」



 強制的に、口が開けない、言葉を発せない。

 まずい、このままではまずいと、脳内の警鐘が強くなり始める。


 これは、ワタシ一人の問題ではなくなった。

 このことを、十二翼に伝えなければならない。


 だけれども、身体が、いう事を効かない。

 恐怖の為に身動きが出来ないというソレとは違う、畏れ多くて動けないという干渉にかられる。



(動きなさい、動きなさいワタシ!!このままでは、とてもまずい事になるわ!!)




「"剣は得意ではないのだが"」



 目の前の亜人は、腰から剣を抜き出す。

 その剣も、白く神々しく輝いていた……



(殺される?!このワタシが?!なぜ!!なぜ殺されなければならない?!ふざけないで、ふざけないで、フザケナイデ!!)


(ワタシが、どれほどまでに神の為に捧げたと?始祖様からのお告げとともに、どれほど貢献してきてい……「"()せろ"」)




 その剣がゆっくりとひと薙ぎされると、真っ白な何かに包まれ、意識が遠のいて……


   ワタシが……

     消える?嘘でしょ?



       そんな、そんなのって、そん……





最近、流行り(?)のダブスタ クソ オヤジの台詞を言わせたかっただけ。





※1:なお"白い鎧を着た亜人"の目撃者は、誰も居ない事になる。

   (巻き添え含めて)

※2:評価、ブックマーク、いいね、ありがとうございます。

   この場を借りて、感謝の意を伝えておきます。

   本作では、返信は行いませんので、その点はご了承ください。

※3:誤字報告、ありがとうございます。

   勢いだけで書いているので、ご変換やら抜けが多い点は申し訳ありません。

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