#1:生き延びた証
はい、末っ子の"ラーマ"です。
もう10年もたちましたが、乳児時代は過ぎ去るのは速いというけれども、あっというまです。
そして、村の風習なのか世界の常識なのか、16歳となった上の兄者は成人を迎える年になります。
16歳で成人が早いと思ったりもしましたが、命が軽い世界だと、そうせざるえないというか……?そういう感じなのと割り切っております。
あと、成人を迎える日に、おとなりさんの娘さんと結婚しそうでもあります。
なお、下の兄者は魔法オタクになっており、幼馴染にあたる村娘の姉御に、ほぼ毎日"外に出よう"と無理矢理連れ出されております。
お隣さんと幼馴染は、敗北者ではなかったのか……
このリア充たちめ……爆発しろ。
こちとらそういう存在がおらんのやぞ?
再度言うが、やっぱ爆発しろ?
それはさておき、筋力トレーニングがようやく行えては確立し、魔力(?)トレーニングもオリジナルでしっかりと鍛え上げておりました。
前世における研究者の職業病と、真面目に勤め上げた筋トレの経験と、サブカルオタクの知識は伊達ではないのだ、伊達では!!
冷静に考えたら、やべー組合せだなと思ったのはかなぐり捨てます。
それよりも、我が家の農作物収穫量は、村の中にて最強。フゥハハハハハハ!
まぁ、よくある、知識チートという奴ですね。
というか、この土地の農作物の収穫量がてんでふるわなかったので、農地改善のためにこっそりと肥料やら土壌改善をしたりした。
なにせ、栄養不足は病につながる。つまり、健康に対して悪い要素でもあるからだ。
それらを改善するべく、4年ぐらい前から色々と動き出した。
特に、畑に撒いてる水に塩分が微妙に入っているっぽく、水の元凶を探れば、原因は魔境にあった岩塩という嫌らしい存在であったので、それらを強引(物理)に取り除いては石灰まぜたりで問題対策やらをしたりと前世様の知識を元に、農業改革をしまくった訳であります。
まぁ、お隣さんたちというか、村全体にも同じ方法をコッソリと導入して、昨年からあっちこっちで豊作しまくってるんですけどね。
というか、この世界の農作物たち、こっちが手を加えれば加えるほど、はんぱなくヤル気に満ちていってる気がしないでもないぐらいにタフネスに育ちやがりました。
そして、なんでも領内トップの収穫量で、新記録の更新らしいです。やったぜ!
そうそう、一応、そういう知識チートのお試し様に、実験用の隠し農地は隠してあります。
前世と同じ知識でやれるかはわからないので、いきなりやって大問題が起きることが無い様に実験は大事なのですよ。
えっ?その隠し農地の納税義務とかは?って?
見つからなければ、納税の対象ではないのだよ。ハハハハッハ!
というか、見つかりっこもないけれどもね。
なにせ、ここから普通にいけば数週間以上いった"魔境"の奥にあります。
そして、やってる事が結構ヤバイです。品種改良とかそういうのだし?この世界において、それらが良い事なのか悪い事なのかもわかりませんからね。
そうそう、その農地改革によって、あまりにもの大豊作を記録した事に、貴族様の目に留まっては増税されかねない、という危機が迫ったこともあった。
そりゃぁ、例年以上の農作物の納品なんてしてしまえば、原因調査なんぞにいろいろと詮索されたりする。
そうなると、自分ちどころか村全体が、増税対象でヤバイかもですと。
その為、隠れ蓑にするためにと、こういう時は『"豊穣の神様の威光が起きた"とか何とか言って、宗教に全投げすればよいのです』案を決行。
村にある集会所みたいな教会の女神像を、コッソリと"えいっえいっふんっ!"と魔力(?)かつ、ちょっと汚すぎなので丹精込めて綺麗になれ~美人さんになれ~という念と、やってる事バレるなー作った作物これ以上もっていくな~という(邪)念を交えては、ご立派に磨き倒して光り輝かせておきました。
そうすればね、本当にそういう方向におさまっちゃいましたからね。
宗教の人たちが本当に来たのにはビックリしたけど、そういう認定書おいてったよ……
えーっと、チョロすぎんよ、異世界さん……いいのか?それで。
ま、そんなこんながありましたが、今現在は試作のトンボゴロシ……もとい、その改良品種のトウモロコシ(?)もどきの爆裂種を、魔力(?)でこう「えい、えい、ヌンッ!!」と微調整したものを作付した結果の調査です。
これがうまくいけば、今期には新たな村の特産品としてポップコーンが出来るはず。
まぁ、本当に作れる品種になるかどうかは、育てて見なければわっかりませんからね。
なお、隠し畑の魔境産実験"拾参"号は、魔力(?)の込み方がヤバかったのか、それとも、土地が悪かったのか、食うか食われるかの食肉植物と化し、最後は自爆してましたが。(かしこ
さて、そんな試行錯誤をした結果の調査をしながらの農作業をしていると
「なーなー、あそぼーぜー!」
「前みたいな、面白い遊びを事おしえてくれよー」
「いまは仕事中。邪魔邪魔。あっちいけ、シッシッ」
「えー!いーじゃーん!いつもならサボって遊んでくれてんじゃーん」
「村の外つれてってくれよー」
と、村の年下の子供らが声をかけてきます。
成人を迎えた人は、村内で働くか、または仕事を求めて(食い扶持減らしもかねて)、領都やほかの街へと働きにと出て行ったりでおりません。
なので、成人未満はお手伝いさんのワタシの様な年上が、年下の面倒をみることによって面倒見が許されます。
なにせ、成人を迎えた大人たちは、働き手ばかりの農村である。
その為、人手が足りなくなっているならば、おのずと年長による年少たちの監視者が必要になるわけで……
ただ、今は手が空かないために無視である。無視。
それに、転生した年齢を加えたら、精神年齢はとっくに老人にもなる年数。
まぁ、肉体に精神が引きずられて、市中引き回しの刑になってる気もしないではないが。
それでも、ガキどもが何を言ったとしても、作業の手を止める事なぞ一ミリもない。
今は自分が丹精に育て上げた作物が、順調に成長しているのを感じれば、心の平穏が得ら「せーの……」
「「「「胸板、まな板、すっとんとーん!」」」」
「んだとゴルぁ!!もっぺん言ってみろやぁぁ!!」
「わー!!怒ったー!みんな逃げろ!!!」「逃げろ」「逃げろ!」
「まちやがれ!このクソガキどもがぁァ!!」
ちぃ!!アイツら散りやがった!!
悪知恵ばかり、だんだん発達しやがって!!
ぜってーとっちめてやるぁ!!!
こうして、周辺の大人たちからは微笑ましくみられながら、だいたいが"自分が鬼"の鬼ごっこが始まるのである。
ま、オリジナルの身体強化魔法(?)を使えば、悪ガキどもを捕まえるのに半刻もかからない。
ついでに、缶蹴りもどきも教えてやる。
缶が無いから、薪用のちっさな丸太の切れ端で代用だが。
おらぁ、みつけたわ!"ドッポリボーグ見つけたポコペン!!"つぎぃぃ!!って、集団でくるだと!?こいつら、えーと、アイツの名前は……ワーラキャッキ…下噛むぅ!長すぎぃ!!
そもそもこいつら、短時間の間で遊びの知恵が加速してやがるぅ!!
・・・
・・
・
ふぅ……昼過ぎにようやく解放され、ついでにストレス発散ついでに見に行った、魔境の奥にある隠し畑を荒らしに来る小鬼や豚鬼や大鬼や牛鬼に馬鬼に、その他もろもろの大型の雑食昆虫や腐海魔蟲の奴らも、徹底的に駆除しておく。
そうして、理解できる頭がある奴は半殺し(しばき倒す)にし、本能のみで理解して頂けない奴らは本殺し(ワンパンぶっぱ)でとっちめた後、今日の農作業を急ぎ終わらせる。
雑草取り(意味深)と害虫駆除(意味深)は、とてもとても大事なのである。
なお、お話しては、手伝ってもくれる存在になってくれた豚鬼君や大鬼君、牛鬼と馬鬼君たちには、お手伝いの感謝としてトンボゴロシ(魔境産、食虫・食肉植物)を差し上げておきます。
魔境に生息するでっけートンボ(羽根の全幅が推定1m)を捕食して食いつくす植物が美味しいかどうかの保証はしらんが……なんか、喜んでるようでもあったな。
ただ、その実がね、赤色の液体が滴る肉肉しい果肉だったけどね。
大丈夫なの?これさ……。
ああ、そうそう、転生して性別が"女"になっております。
息子さまを使わなかったのを貫いたためか、神はそれを取りあげた様である。
ふざけんな!
あと、胸囲に関しては、筋トレの成果で無いわけでは無いのである。
大事なことなので、もう一度いいます。
"無いわけでは無い"のである!(胸を張って言う)
実は「むないた、まないた、すっとんとーん!」というフレーズが、リズミカルに脳裏によぎった為に出来たものです。
補足:
この世界人型の魔物たちは、蛮族的な未開文化の種族です。よくあるエロ成分はありません。
また、主人公から"おはなし"を受けた一族たちは、主人公を"主"として認め、農耕やその他文化を教えた"豊穣の智神"としてうやまっています。
同様に、"おはなし"を受けた獣たちも、一族から長として認められています。