#陸:D.I.O.
こちらラーマ、オタク・コンペ君指示を頼む。
みたいな事をしながら、角あるごとにクリア確認をしつつも目的地へと向かう。
時には、高い天井の角にアル〇ック姐さんや、スパイディ的なへばりつくを披露したりもした。
それよりも、結構広いお屋敷なのに人数が少なくない?とは思ったりはしたが……
なにしろ、執事の人や、家事使用人の人らが、召使いや家政婦に指示を出してるのを見かけたが、少なくとも衛士の類が巡回している姿をみかけなかった。
ま、それはいいか。
とりあえず、検知できた場所へはすんなりと、気取られずに到着する事に成功できたからね。
その場所はというと、日の影になっているので薄暗く、あまり手入れのされてない芝生やら、まさに人気が無いとはこの事。
そんな中に存在するのは、物置小屋ともよべるには少し大きく、納屋と呼ぶには少し小さな建物が建っていた。
鍵……もあるわけでもなく、ただ閂があるだけなので、勝手に入り込むことは成功する。
なんか、拍子抜け。
中は、まぁ、うん、埃クサイというか、かび臭いというか、錆びクサイというか、そういう感じの物置小屋だった。
あと、ちょっと薄暗いので、"エイムん!"と、簡易的な明かりをつくって捜索します。
というか、簡単に見つかる。
目的になっていた代物は、樽の中に無雑作に突っ込まれている剣たちの中に紛れる様に存在していた。
他の抜き身の剣の類と一緒に鞘事ぶっこまれていたので、そこそこ傷物になってはいますが……中身は無事かなと、抜いて確認するも無事であります。
「使われていた形跡はあるけれども、刃こぼれしてないからセーフ……せーふ?」
そうやって、刃こぼれとかが無いかと確認してみたときに、視界にはいってきたのはRPGとかでよくみかける、豪華な宝箱というよりも"古臭いチェストボックス"。
しかもそんなに大きくもないという感じのソレ。
これは、お宝の予感!開けねば(使命感
と、好奇心のままに開けては見た(ファンタジー力サーチで鍵も何もかかってないと確認)。
出てきたのは乾燥藁に包まれるように「錆びた籠手」がポツンと存在してた。
錆てるのか……と、回りの棚などをよくよく見渡すと、錆びたナベに錆びた包丁、あとはクワに、と、まぁ、そういう感じの環境なんですかね。
なんというか、あれか?忘れ去られて錆びてしまったという奴か?
よくみれば、さきほど見つけたバスタードソードが突っ込まれていた樽も、無雑作に突っ込んであった他の剣などもうっすらと錆びが浮いてますね。
ここ、管理ずさんなんか?放置されまくってるのか?
それとも、廃棄処分場?
まぁ?こういう"錆びた籠手"だけならば、ガラクタ物と判断するのは凡人である。
私はRPGには詳しいんだ!こういう箱にわざわざ入っていたという事は理由があるはずなんだ!
わざわざチェストボックスに入れてまで保管?できてるかはおいておいて入っているし、なおかつ、これ左腕側だけで、対となる右腕側は何もないという意味深が深い。
そう、これはきっと磨けば光るモノという事なんだ!
左手の手甲だけであるからに、意味深であることが確定的に明らかなのである!
という事で、さっそく装備します。
なにしろ、心のNPCが"ここで装備していくかい?"と呟いているので、これは装備しなければならない!
なお結果は、この手甲、かなり大きくて子供Verではガッバガバでした。
仕方ないので、肉体変形の術の子供Verを解除し普通サイズで試すも駄目だった。
あまり気は進まないが……バストがバルクならどうだ!とやってみれば、シックリくる大きさでした。
(なお、服も一緒に広がる様にファンタジー力を入れております。弾け飛ばしたくないし)
うーん、こういう"籠手"とか甲冑ものってのには、何かしら惹かれますねぇ……
アジトで作ってる時も、コダワリをもってやってたところあるのでね。
アジトに帰ったら、対となる右腕用も作ろうかな。もちろん、凝りに凝りまくってさ。
そんな事を思いながら、装着したままぶんぶんと振り回して……ふと思った。
ファンタジー力でこいつを変形させて先っちょから剣を生やすという、鋼さんの錬金術みたいな物もできるんじゃね?と。
よし、思い立ったが吉日!
手甲を装備した左腕を前に突き出し、右手で手甲をつかむ。
そして、"ていっ!せいっ!えびふりゃぁ!!"と、右手からファンタジー力をぶっこんで、こう手甲から剣を生やしてみようと"リキ"を入れてみたら……
って、何?!うぉっ、眩しぃぃぃぃ!!!
強烈なまぶしい光に苛まれ……"???u??a in n??e ?i D.I.O."
何だ?今、聞こえたの?
DIOってだけのは聞き取れたけど、あの"無駄"とか言う?
というか、"錆びた籠手"が異様に光ったと思えば、思え……ば?
あれ?視界が何か狭い。
というか、左手の"錆びた籠手"が"真っ白な籠手"になってるかと思ったら、右手にも"真っ白い籠手"してるし。
そもそも、脚にも、身体にも、何かこうフィットする的な……?
近くにあった、姿見の鏡らしきものから、布をとっぱらって(ひび割れてはいたが)確認してみれば、全身、白色の鎧を着てる騎士風の人がおられた。
右腕を上げる。
左腕を下げる。
うん、自分だった。
なんだこれ?ファンタジー力をぶっこんむ時、鎧化までしろとは念じてないんですけど?
けれども、コレはこれで良いんじゃないかな?と、決めポージングします。
それに加えて、ハードポイントに取り付けた、親父様からの剣がこれまた映える、バエル。
これはアレですな。
メタルな変身ヒーロー的というか、正統派フルアーマー風といった姿!
ただね、これ、ちょっと重くね?
筋肉増量してなかったら、動けんのではないか?ってレベルですよ?これ。
こういうのを中世時代の人たちは着ながら活躍してたのかと思えば、そりゃぁ筋肉質な人達になりますわな。
「へぇ……最近の泥棒さんは、派手なのかしら?」
一瞬びっくりして、声のする方へと振り返ると、そこにいたのは……
オカマ?オネエ?
えーっと、こういう方たちは、最近ではどう呼称すればよいのでしょうか?やっぱりオネエですかね?
とりあえず、そういう人が入り口をふさぐ格好で立ちはだかっていた。
「そうそう、初対面でしょうから、まずはご挨拶を。私は十二翼が一人『ガルディ』お見知りおきを。そして、さようなら、泥棒さん」
そう自己紹介が終わったと同時に、世界が爆ぜた。
変身シーンみたいなのを書きたかったから書いた