#参:異世界の車窓から
異世界の車窓から
今日は、"聖神国"と思われる国の街道を進む車両から──
異世界には、色々な風景があり、それらは、乗り心地の悪い車体にゆられ、時折、荷車の中から流れてくる"うめき声"ともいえるBGMと共に、ゆったりと時間が流れていきます……あと、とてもクサイ。
見える景色は、草原があり、川があり、荒野があり、森林があり、食事があり……あと、荷台に虹色の装飾が新たに作られた。
そうして運ばれている道中、出される食事なるスープは、塩味だけをきかせただけの、素材の味を生かした代物である。
一緒についてくる皮付きの芋も、これもまた、素材の味を生かすために茹でただけの物である。
たまに出てくる干し肉らしきものは、塩味をしっかり利かせすぎて、保存を第一に適応させた代物なのだろう。という考えをさせてくれる物が提供されています。
一緒に乗っている同乗者たちは、それらに手を付ける者もいれば、無視して何も食さない人もいます。
そういった仕置きをうけながらも、タダで便乗する日が続いていきます。
この道はいったいどこまで、そして、どこに続いているのでしょうか。
途中、町らしきところに立ち寄っては、載っていた人たちが一人いなくなり、二人いなくなり、三人いなくなり……と徐々に減らし、荷台の中の一人当たりのスペースが、だんだん広く確保されていきます。
……えっ?あれ?自分、売れ残り?
魅力なしなの?やはり胸か?胸が必要なんか?
せめて、たわし以下の金額で取引きはされないでほしいかな?
耐え難い事で、イキュラしたくないし……
とまぁ、余裕がありそうな変な奴隷根性を生やしかけていました。
というかね、奴隷の象徴ともいえそうな、この魔法が発動しなくなるという首元に薄く光る首輪みたいなものが、元々はここにあるのが当たり前というぐらいに、フィット感を感じてしまっている状況です。
あと、自分の扱う不可思議魔法が、一般とは異なりすぎるモノなのか、こういうアイテムの効果が一切効かない事に気づきました。
それは、茹で方があまかった半生の芋を食べる気になれなかったので、何とかなりませい……と"ギヴ!アップッ!SAYッ!!"と込めてみたら、何とか食えるものに変化したことで発覚した。"あれ?使えるじゃん。"と。
あと、ついでに言うと、その時、首輪君がサラサラと粉みたいになって消えていった。
んで、"あ、ヤッベ気づかれる!"と思ったために、今は似たような物の作って首に巻いてます。
……あれ?
今ごろになって、さらに気づいた。
何であの時"気づかれる"と思って作り直したんだ?
何故?
謎は深まるばかりで、うーん……?
……ま、いっか。
なにせ、この国の地理をしらないし、ちょうどいいかと便乗した訳で。
つまり、そういう訳で、そういう事なのです。
とまぁ、色々と考えさせられる事もありましたが、軽装備だったけれども旅荷物云々が無くなったのは痛手なぐらいで、あ、オヤジ様から、旅の餞別にと頂いた、カスタムしたバスタード・ソード(無くした時用にと、ガキんちょ達から餞別で頂いたペンダントに、例の神力?でマーキングした物を埋め込んだ代物)も、どうやら別の馬車で一緒に持ってきてくれてる様です。
どこかで落ち着いたら、少なくとも、あれだけは取り返すべきですかね。
ほんと、こういう時に、空間収納とかあれば便利なのになーと思ったりはしましたが、そういうのは無いとも教わった。
よくあるナーロッパ世界みたいな感じなのに……
"異世界あるある"っぽい奴ですけど、この世界ではダメみたいです。
ただ、はっきりわかった事といえば、物質変換という奴はあるみたいです。
肉体変化とかしてますし、首輪も作り直しましたしね。
というか、出来る事を出立前のあーだこーだで知りましたね。
この変異した魔力(?)神力(?)って、ほんと、変化的なのは好き勝手に思うようになるみたいです。
その、知ることになった出来事はというと……
==============================
妖精さんたちの身体が変異したのをきっかけに、自分にこう弄繰り回すをしてたら、一応、バルクがバルクになって成長した姿にはなれました。
イメージしてた胸の種類ちゃうねん……
これ"膨らみ"やのうて"厚み"やねん……
と、悲劇に見舞われたあとで、あ、これって、もしかして、もしかしたら物質的なもの、例えば、両手を叩いて地面に触れたらっていう錬金の錬成みたいな感じにならないかな?とね。
ファンタジー力でいろんな物、作れるんじゃね?と。
まずは実験として"えい、えい、ふんぬっ!!"と想像力と気合と熱意を、秘密基地の壁に手を当ててぶちこんだら、白亜の刀剣たちが生まれ出てきましたね。
壁から、床から、天井からも。
……ハハッ
乾いた笑いしか出なかった。
ファンタジー力恐るべし……と。
その時に、色々とオタクパワーで妄想したためか、いろんな形の剣やら刀やら槍やら鉾やらが、剣山かの様に怒涛の如く溢れ出てきた時は、正直、ビビりましたが……
というか、七支刀って何よ、七支刀って。
これ、実戦にどう役立つんだよ……
なお、それらは全部、月白?白亜?もう、よぅわからんけど柔らかい白い色に淡く光る形となっております。
そして、それらは秘密基地の標準装備品となり、それらを扱えるように元・妖精さんたちと、あらたに加わった方々が、日々、研鑽してるみたいですが……その様子を見に行った時に、
元・妖精お兄さんズの、弓使いが超ヤベェ、金属製の弓と弦を三矢同時撃ちとかでつかうその腕前もすごいけれど、その姿が様になりすぎてて怖い。
これ、ロードがリングとかのどっかの俳優さん?レベルなお姿だよ。
あと、何気に七枝刀つかってる、元・大鬼のお兄さん達が、超絶テクニシャンで、相手の武器をからめとって、というのをしててめちゃくちゃ使い込んでて驚いた。
つーか、元・大鬼衆のサムライ的な刀術かっけぇ……
ほかだと、元・小鬼衆のニンジャ的?アサシン的?スパイディ的?な動きキメェ……
何だよあれ、投げ苦無にワイヤーからませて、立体起動さながらに使いこなしてるよ。
射出装置ないのを技量や技巧でカバーって、そういう使い方なん?あれ。
ま、まぁ、いろんな使い方があるんだなぁと、感心してしまった。
その中でも特に関心を持たざる得なかったのが、ランスやハルバードにグレイヴとか、長物武器を扱うチームのお姉さん方々。
その、背中の翼を展開しては空中で訓練してる姿が、どうみても戦乙女っぽく見えた不思議。
ただね、ただね!
薄着の布切れ一枚の上半身……、あのグラマラスなスタイルとなるとね……、とある場所が"バルンボルンしよる"のを見せつけられてね……
見せつけられるのは!!忍びなかったので、鎧一式も準備させて頂きました。
耐え難きを耐えた人たちって、尊敬に値します……ハイ……
あの時は疲れた。
なにせね、全員分となると、さすがの自分も疲れましたよ。
一人に作ってあげると、他が羨望の眼差し状態なんですよ?そんな視線に耐えれませんよ……
注文受付で、男性陣と女性陣でも意匠とか替えた方が良い?
同じ色見になってるけど良かったんですかね?え、よかった?そうですかハイ…
鎧飾りなどは、各人のチームや種族でそろえるらしいので、そこは、お好きにどうぞとしておいた。
ただ、元・大鬼さんたちにはこだわった。
和装の鎧甲冑ってかっこいいじゃん?面頬とかもこだわったよ?
鬼神っていう格好になれるぐらいにさ。倭刀とか長刀とか長巻とか脇差とか十字槍とか。
なぜに詳しいかって?
刀剣の類は、男の子の嗜みであるからだ。なお、返事は聞かないゾ。
その後、とりあえずの達成感を得られた後、自分の魔力(?)調査に赴くべく伝えると、付いてくるとか言ってたけど、一人でウロウロする方が何かと融通が利くので、お留守番とアジト周辺の警邏や整備とかお願いしておいた。
昨今、『おまえ、どこ中よ?』な感じの季節風に、T-レックス(?)くんさんたちが、またも徘徊しはじめてるそうなので、最悪、畑に被害が及ばない様にとお願いしておいた。
無益な殺生は禁止で。もちろん、無益じゃなければ、成敗してよろし。
生態系を狂わせないぐらいでよろしく。と。
そうして、ようやく一人単独という事で、色々とその摩訶不思議な魔力(?)を使う事で、身体をいじくって変化させた格好で出立した……。
==============================
いまでは、懐かしい思い出になっております。
「おいクソガキ、とっとと降りろ!」
とまぁ、話は脱線しまくっていたけれども、ついにお呼ばれされる事となりました。
強制的に小脇に抱えられる格好で降り立った先は、いつの間にかどこかのお屋敷?みたいな裏口。
どうやら売れ先が決まったようです。
そんなこんながありましたが、新しい国では子供Verの姿で、奴隷商の商品となっている状態からRE:スタートです!
というか、子供の商品を購入する層って……(察し
もともとは「バルンボルンしよる」を、自分に正直となって書きたかったので、書いた話です。