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#0:とりあえず、生き延びよう。

 ───この世界には、勇者と魔王がいる。



 選ばれた勇者が、唯一無二、魔王に対抗できる存在であり、

 その勇者の力を使って、世界を闇に包んでくる魔王の企みを阻止していた。



 過去、幾度となくその様な戦いが行われた。


 ある年代では、魔王が勝利を勝ち取り、大陸全土を支配下に陥れ、

 尊厳や人権を無視した扱いで酷使されつづけた年代もあった。


 一方で、勇者が現れて、その苦しみから解放し、

 自分たちの土地を取り戻し、そして魔王率いる土地までも……



 魔王が勝ち、勇者が勝ち、と、その歴史を紐解いてみてみれば、

 その様な事が繰り返し、続いていた……



 勇者は、召喚される物でもなく一族的な血の盟約により受け継がれる。

 魔王も同じく、血を継承する事により受け継がれる存在である。




 そんな、勇者と魔王が登場する物語のような世界に───





 自分という意思が放り込まれたわけである。


 いうなれば転生した様で、転生者(そういう)存在として自分が生まれた訳である。



 なお、前世の死因は女神運送(トラック)でもなく、過労商社(ブラック)でもなく、ただ単に不幸な事故(アンラック)……のはず?



 不幸な事故(アンラック)としているのは、一応はその時の記憶があったからである。

 その記憶というと、それは、新しいトレーニングウェアを手に入れて、ハッスルマッスルとトレーニングに勤しもうとした時の事だ。



 『いいか?大腿二頭筋、半膜様筋、半腱様筋が一番大事だ!基本というのは、ほぼここできまる!』



 という教えの元、下半身を重点的に筋トレしまくっていた。


 それまでにも、剣術、柔術、合気術、抜刀術、棒術、杖術、色々と師事を仰いで教わっていたが、そのそれぞれに共通する点として、下半身と軸と重心が重要という教えを受けて、真面目に取り組んで"皆伝"や"師範"まで頂いた。


 おまけとしては、暴漢や悪漢を取り押さえては、表彰も頂いたぐらいだ。





 だが、昨今の流行り病に罹患する。





 "そんな病に負けるわけにはいかん!病には体力!つまりは筋肉が足りないからだ!"と()()()()をし、罹患した状態でトレーニングへと赴いた。


 病は気からとも、気力で負けてしまってはいけないと思ったわけだ。


 ただ、冬場の野外階段の下りダッシュはアカンかった。

 前日に雨が降ってたらしく、凍った段差に脚を滑らせる。


 いつもの身体の状態ならば、それすらもリカバリーできているはずが、さすがパンデミック級。



 受け身を取ろうという行動が、変な頭痛によっては遅れ、そのままストーンと頭部を強打して逝った模様である。


 最後「うぉぁ?!」と言っていたのが記憶には残っている。






 享年6×歳。


 定年退職しては、第二の人生スタートしてしばらくたっていたのにな。


 両親は介護の末に他界し、姉弟がそれぞれの家庭を築いて遠くに住んでいるだけである。

 身近では、趣味(筋トレ兼オタク)仲間の友人に、申し訳なかったなぁとは思う。


 そんな自分の生涯は、童貞を()()()とだけ伝えておこう。




 研究職の職員につぐ!

 仕事に没頭し続けてたらそうなるからな!

 ほどほどにしとけよ?先人からのアドバイスだ!




 ──────────

 


 そうして、新たに生を受けて、生まれ落ちた世界。


 この世界での最初の記憶は赤ん坊という事で、何てマニアックなプレイをさせられているのだろうかと思ったぐらいである。



 ただ、それ以上に、やはり存在した『魔力』というモノ。



 あれだね、"異世界あるある"の定番といえるヤツがあったわけだね。

 前世では魔法使いにはなれなかったが、どうやら今世では魔法使いになれる様であ る。


 もうね、ミルク(直飲み)を忘れるぐらいにソイツをどうこうしようと四苦八苦したよ。


 研究職だった血が騒いだのか、いろんなパティーンを試しては記憶し、また試してはと繰り返した。


 なにしろ、赤ん坊の時に、筋トレなんぞ出来る訳でもなく、暇をもてあそび過ぎていたからね。仕方ないね。


 ついでに付け加えれば、寝る間も惜しんでさらに没頭しちゃった訳だ。

 魔力という存在をどうにかこうにか扱ってやろうと。


 ただ、それが悪かった。


 現・母親に、寝ない・飲まないで、病気じゃないかとすごく心配されまくった。




 正直、スマンカッタ。反省してます……




 その後はちゃんと反省していたので、睡眠時間は有る程度(超熟睡で2~3時間)とりますしミルク(直飲み)はがっつり頂きます。


 赤ちゃんプレイと言わない様に、その時の羞恥心は研究心でかなぐりすてるので必死だったのだから……(死んだ目


 そして、ある程度のコツがわかってきてからは反復練習と運用練習と応用練習。


 果ては、前世の知識の"異世界あるある"適な流用や、何かしらの使い道がないかを、暇な時間にみっちりと行っていったわけである。



 ただ、どういうわけか、そんな制御の練習時に限って兄者1と兄者2が様子を見に来ては、自分の顔をペシペシ叩きに来よる。


 どうみても、面倒見というか、玩具にしにきてるじゃねーか。


 丹田法による魔力循環かつ身体強化を試してる時にそれやるのやめろや。

 あ、集中きれちまった……くそぅ、秘儀「大泣き」を披露してやったぜ!



 ハハハハハ!大慌てしよるわ!コヤツらめ!




 ま、そんなこんなで乳児期に幼少期と、よくある異世界ならば、命の価値も安かろう悪かろうにならないよう、簡単にポックリ行かないようにしなければならない。



 こういう異世界あるあるならば、衛生観念もさることながら、前世以上に鍛えて、今度こそは、病にも負けねぇ身体を作らなければ……



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