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風の精霊 2

 二人をおいて下に降りようやく人心地ついた晶の前で、微笑みながら優雅に紅茶を飲む貴婦人風の風の精霊。シルフェンの親であるシルフィアはゆっくりと口を開いた。


「毎度毎度うちのガキが申し訳ねえなあ、レルーにも迷惑をかける・・・」

「あ、いえ、お気になさらず」


 ・・・見た目こそ美女なのだが、精霊は基本的に両性であるためこのように口調や仕草がちぐはぐなものも多い。それにしたってこれは詐欺だろうと半年かけて慣れた晶でさえ思うが。

 精霊族は伴侶を見つけると交互に子供を生み、交互に子育てをすることが習慣としてある。お互いを思いやるためということだが、初代精霊王は女性体だったという伝説から男性体への嫌がらせだという説も根強い。

 真実がいずれにせよ、この習慣のために精霊族は基本的に夫婦仲が良く、本当の意味での男女平等が実現されている一族として倫理の授業でも取り上げられるそうだ。シルフィアも例に漏れず、夫婦仲どころか家族仲の良い素敵な家族を築いている。今はシルフィアが夫役をしているためかこのような口調だが、妻役に回れば口調、仕草共に完璧な貴婦人となる。

 ちなみに、シルフィアはレルーとの折り合いは悪くない。やはりレルーとシルフェンは性格的な相性が物をいっているのだろう。


「うちのレルーも毎度毎度突っかかっていくし、お互い様ですよ」

「いや、そりゃ当然ですぜアキラさん。レルーは正式な使い魔でうちの息子は通りすがりの精霊だ、しかもアキラさんに無断で近くまで近づいている。精霊は魔力を食いますからね、いくらアキラさんが良いっつっても到底許せるもんじゃあねえ。俺なら例え自分のガキでも全力で排除にかかりまさぁ」

「あ、あはは・・・」


 若干笑顔を引きつらせつつ、晶はサンドイッチを口に含む。

 ほろほろと口の中で溶ける味は甘い。晶の好物の一つだ。


「そ、そういえばシルフィアさん、シルフェーラは元気ですか?」

「ああ、体調は悪くねぇんですが、その、最近お呼びがかからねぇってんでちょいとへこんでるんで、たまには呼んでやってくだせぇ」


(そういえば最近セイラしか呼んでなかったかも)


 心の中で謝りつつ、晶は大きく頷いた。


「はい、シルフェーラは私の大事な友人ですから」

「・・・あいつはすっかり契約精霊のつもりでいるみたいなんだが・・・こればっかりは俺が口出しできねぇ問題だからなぁ・・・」


 複雑そうな顔で小さく呟いたシルフィアに、晶は不思議そうな顔で首をかしげる。

 その内心を表すなら契約精霊って何ソレ美味しいの?比較的忘れられがちだが晶は異世界人かつ引きこもりであり本にも載ってないような常識には疎い。

 

今更なんですが、飲み物や食べ物、日用品などは翻訳魔法によって翻訳されているので本当にそれそのものというわけではありません。

パンというものの本物とは少し違う味、というようなことがよくあります。

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