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Detectiveは宇宙人  作者: 飛鳥 進
第弐話-酸素
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酸素-6

 翌日、誠は新三を連れて入星管理局へと訪れた。

 応対してくれたのは竹中(たけなか)という30代の男性職員であった。

 会議室に通された新三と誠は早速、レクチャーを受けることになった。

「オキシジェン星人が地球に来訪しているのかを調べていると聞きましたが」

 竹中が話を切り出してきた。

「はい。昨日、こちらの女性職員の方にオキシジェン星人は入星出来ないそう教えてもらいましてね」と誠が言う。

「成程、この資料を用意して良かった」竹中は自分の横に置いてあったクリアファイルを二人分渡してきた。

 そのクリアファイルの表題は、“現住生物の保護を目的とした他外星人の入星管理について”であった。

「ふふっ」新三はこの表題を見て笑う。

「では、説明しますね」と前置きし、竹中はこの中に書いてあることを話し始める。

「この表題だけを見れば気に入らない宇宙人を迫害しているように思われるかもしれませんが、実はそうではありません」

「というのは?」誠が説明を乞う。

「はい。オキシジェン星人を例に挙げますが、オキシジェン星人が好戦的で人間やその他の生態系に危害を及ぼすそういったことはありません。

彼ら自体は温厚な種族なんです。ですが、厄介な能力がありましてね」

「厄介な能力ですか?」

「ええ、彼らの呼吸は通常二酸化炭素を吸い酸素を吐き出す。所謂、植物の様な生命体なのですが、かなり厄介な点がありましてね。

深呼吸をすると半径3m以内の酸素が消失してしまうんですよ」

 新三はその一言を聞きニヤッとする。

「それだけで拒否するなんて。空気中の酸素は膨大ですし密閉空間でもない限り害があるとは思えませんが」誠は率直な疑問をぶつけた。

「そうでもないんですよ。刑事さん」

「誠っち、一回の深呼吸で半径3m以内の酸素が消え失せるんだぜ。

人混みの中それやられてみろよ。あっという間にぽっくりだ」

 新三が竹中の代わりに説明する。

「でも、数秒程度程であれば人間死なないんじゃ」

「刑事さん、話はそんな簡単じゃないんですよ」

「え?」

「この事象の詳細について正確な情報ではありませんが、深呼吸で酸素が消失してから2分程その状態が継続されるとの報告が挙がっています。

そして、他の星でそれによって殺人事件が発生しています」

「そんなまさか」俄かに信じられないといった顔をする誠。

「大変参考になりました。行こう、誠っち」

「はい。今日は、ありがとうございました」

「こちらこそ、捜査頑張ってください」竹中は新三と誠に応援の言葉を送る。

 一方、愛子は亜宇の身辺調査を継続していた。

 今日は客先周りらしく、一人で都内をあちこち移動するのを尾行していくのをひたすら追跡することを続けてその日は終わった。

 亜宇は直帰だったらしくマンションへと入っていく所で愛子は今日の調査を終えようとしていた。

 このまま見張り続けるか。そんな事を考えていると新三から呼び出しを受けたので、集合場所の居酒屋へと向かった。

 店に入るとすぐに新三と誠は見つかった。

 どうやら、二人は先に一杯ひっかけているようだった。

「お待たせしました」愛子はそう言いながら、新三の横に座る。

「いえ、尾行中にお呼びしてしまってすいません」誠は愛子に頭を下げ謝罪する。

「そんな。気にしないでください。それより私を呼んだ理由は何ですか?」

 愛子はすぐ様、本題に入った。

「はい。一連の事件がオキシジェン星人の犯行の可能性が高いことが分かりまして。その尾行中とかに彼女が宇宙人と接触する若しくは怪しい動きがなかったかお話を聞きたいと思いお呼びした次第です」

「そうでしたか」愛子はそう返事をすると「店員さん、生ビール二つ!!」新三はそんな話お構いなしに空になった自分のビールと愛子の分を注文する。

 愛子もまた新三を無視する形で事件の話を進める。

「実は私も気になることがあって」

 誠に昨日の尾行で得た写真と時間軸が纏められた資料を見せる。

 2,3分程、それに目を通した誠は自分のビールに口をつけ話し始めた。

「深見さんはこの三目 亜宇なる人物の隣にいる男が気になっているそういうことですね?」

「そうです。私が尾行をしているのが読まれている。そんな感じがしたんです」

「尾行が下手なだけだったんじゃない」新三がその発言をすると愛子は思いっきり新三の太ももを抓った。

「痛たたたたたたた!! 噓です!! 噓!!」

 あまり喚かれても困るので愛子はキリの良い所で抓るのを止めた。

「ふ~ ふ~」抓られたところに息を吹きかける新三を他所に話を続ける愛子。

「それ以外にも気になる事が・・・・・・」

「それは何ですか?」

「三目 亜宇が自宅のマンションに入ってからこの男を追おうとしたんですが、

その男が立っていた所を通り過ぎた辺りで立ち眩みしちゃって。

それで正気を取り戻した時のはもう男の姿は」

「なかった」愛子の台詞に被せてくるように誠が言うと「はい」とだけ愛子は答えた。

「どう思います? 小永さん」

 誠が新三に意見を求めると机に突っ伏していびきをかいて寝ていた。

「すいません。迷惑ばかりかけて」

「いえ、そんな。それより新入社員でこんな先輩社員のおもりを任せさせられるなんて大変ですね」

「そうなんです。話、聞いてくれます?」

「いいですよ。僕もこの人に関しては色々と言いたいことがありますから」

 そこから愛子と誠は事件の話ではなく新三への愚痴大会へと切り替わりそれを肴に大いに盛り上がるのだった。


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