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Detectiveは宇宙人  作者: 飛鳥 進
第弐話-酸素
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酸素-2

 探偵・小永 新三と警視庁捜査一課刑事・巽川 誠の両名は都内に某所にある死体安置所の廊下を歩いていた。

「ったく、薄気味悪いところを歩かせやがって」新三はその身を縮こませながらきょろきょろとあたりを見回して歩く。

「こういう場所はそう言うものでしょう」

 一方の誠は慣れているといった感じでスタスタと歩いて行く。

「ここです」誠はそう言いながら目的の遺体がある部屋の前で、いきなり立ち止まるので新三は思いっきり誠の背中に追突した。

「痛っ!!」新三は鼻をぶつけたのか。鼻を手で抑えて涙目で誠を見るが誠はなんのそのと言った感じでドアを開けて部屋に入る。

 新三も後を追い部屋に入ると二人の死体が寝かされていた。

 一体は子供の死体、もう一体は外国人の死体であった。

「おい、誠っち。俺に死体を見せても犯人は分からねぇよ」

「分かってます。今日、呼び出したのこの二人の死因について聞きたいからです」

「だったら、何もここに連れてくることないじゃない」

「小永さんに直接見てもらって、屈託のない意見を聞かせて貰いたいと思ってお連れしたんです」素直に自分の考えを伝えると新三は「ふ~ん」と返事しながら死体を観察し始めた。

 観察を始めて3分程経過したあたりで、新三は死体から顔を上げて誠にこう言った。

「マジで分かんない」

「そ、そうですか・・・・・・・」少し期待していた誠は苦笑いを浮かべる。

「で、この二人の死因は?」

「あ、説明していませんでしたね。この二人の死因はいずれも酸欠による呼吸不全による窒息死です」

「窒息死ぃ?」新三は腕を組み、首を傾げる。

「はい。窒息死です」

「死体を見て溺死とか絞殺といった特徴がないね」

 新三の言う通り水死体特有の腐敗や絞殺痕が死体にはなかった。

「だから不思議なんです。これは人外による者の犯行。我々はそう踏んでいます」

「成程ね。I See. それで俺にこういう犯行ができる宇宙人を教えて欲しい。そう言ったところか」

「その通りです」

「酸欠ねぇ」人差し指を顎に当て、新三は脳内のデータベースに該当の宇宙人がいないか検索をかけ始める。

「オキシジェンかなぁ~」

「オキシジェン? ですか」メモを取る誠に「そう」とだけ新三は答えた。

「そのオキシジェン星人はどの様な宇宙人なのでしょうか?」

「どの様なって言われてもなぁ~ まぁ、この地球で言う酸素を司るそんな宇宙人」

「酸素を司るという事は、原子レベルの大きさの宇宙人ということでしょうか?」

「んなわけないじゃん。人間サイズの宇宙人です」

「す、すいません」誠は悪くないのに何故か新三に謝罪する。

「オキシジェン星人の特徴はその体から酸素を出す。それだけしか能がない宇宙人という事かな」

「それだと相手の酸素を奪うなんてできないじゃないですか」

「そだねぇ~」

「そだねぇ~ って、真面目にやってください!」愛子が居ればここで新三に注意してくれるのにと誠は思った。

「因みにさ、この被害者達はどういう状況で死亡したわけ?」

「それは・・・・・・・」ペラペラと手帳を捲りその情報が記載されているページを探す誠は「あった」という言葉と共に新三に説明を始める。

「最初の被害者はアメリカ人のプロ・バイダ・キオさん。30歳。観光で来られていたようです。で、死体が見つかった場所ですが新国立競技場の入り口で倒れている所を管理局の人間が見つけ通報を受け救急隊が駆けつけましたが、その時には死亡が確認されました。

次の被害者は絹厘 絹男(きぬり きぬお)君、9歳。都立暴丼小学校に通う三年生の男の子です。発見時は帰宅途中の道路で倒れているところを発見、プロさん同様に救急隊が駆けつけたときにはもう」

「一つ良いか? 日本の小学生って確か集団登下校だろ。他の子どもは大丈夫だったの?」

「それはですね。確かに途中までは近所の小学生と共に下校していますが家が違う方向なので途中で別れるらしいです。そこからは絹男君一人で自宅に向かって帰るとのことでした」

 それを聞いた新三は眉間に人差し指を当てまた考え始める。

「どうですか? 何か、分かりそうですか?」すると新三は「ハハッハハ」と笑いこう続けた。

「さっぱり、分からない」と。しかも、福山雅治風に。

 その瞬間、誠は連れてくるんじゃなかったと深く後悔した。

 安置室を出た新三と誠は帰る為、来た廊下をもう一度歩く。

「で、誠っちはどうするの?」歩きながら新三がこれからの捜査方針について質問する。

「そうですね。オキシジェン星人について調べてみようかなと」

「ほぉ~ん」

「あの小永さん。本当に酸素を吸引して相手を殺害する宇宙人いないのでしょうか?」

「俺の知っている限りではな。そんなに気になるなら知り合いに聞いとくわ」

「宜しくお願いします」

 そんな会話をし、死体安置所の建物を出ると愛子が立っていた。

「良かったぁ~ 間に合って」

「いや、間に合ってないでしょ。俺達、帰る所だし」

「そうなんですか?」誠に確認すると「そうです。良かったら、送りますよ」と言ってはにかんで見せる。

「ありがとうございます!」愛子は元気よくお礼を伝え覆面パトカーに新三と共に乗せてもらう。

 誠は車を走らせながら、愛子に現状までの説明を行った。

「そんな事件が起きたんですね」と愛子。

「ええ、ニュースにはなっていませんが」

 その時、無線機に無線が入った。

“江東区○○町○○番○○ビルで酸欠による窒息死の死体が発見された模様。近くの捜査員は、すぐに臨場するように”

「申し訳ないのですが」送れない旨を伝えようとする誠よりも先に愛子は「早く現場に行きましょう。犯人が近くにいるかもしれないですし」と事件現場に向かう意思表示をする。

「分かりました。お願いします」

 誠は赤色灯を出し、事件現場に向けて覆面パトカーを走らせるのだった。


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