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Detectiveは宇宙人  作者: 飛鳥 進
第弐話-酸素
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酸素-1

「じゃあ、レクチャー始めるわね」Star of Light探偵社所長の山井 史から新三が何故、警察に協力するのか。この世界でどのようにして宇宙人が紛れ込んでいるのかのレクチャーであった。

「はい」愛子はタブレット端末でメモを取る姿勢になる。

 愛子自身も何も知らないままでは仕事にならないと考え、史にレクチャーを頼んで今に至る。

「まず、星間探偵協定について説明するわね。この星間探偵協定は・・・・・・・」

 星間探偵協定とは他外星人による犯罪若しくは、その星の知的現住生物が他外星人を対象とした犯罪の際にチェルカトーレ星人の能力を駆使して犯人を特定。それを証拠品として扱う。そして、その星の司法制度に沿って犯人を裁く協定である。

「以上が星間探偵協定の概要。そして、ここからなんだけど」

「その前に一つ良いですか?」愛子は挙手して、質問する。

「何?」

「チェルカトーレ星人とは?」

「ああ、新三の事よ。あいつ、チェルカトーレ星人だから」

「えっええええええ!!!」事務所に愛子の驚嘆の声が響き渡る。

「もしかして、愛子ちゃん。聞いていなかったの?」

「はい」激しく首を上下に振って新三からちゃんとした説明を受けていなかった旨を伝える。

「あいつぅ~ ちゃんと、言っとけって言っておいたのに」

「という事は小永さんはチェルカトーレ星人で、そのチェルカトーレ星人の能力で犯人が分かるという事ですか?」

「そう。チェルカトーレ星人は犯人を目撃しただけで、

でもね、あいつの能力は地球ではあまり役に立てないのよ」

「どういうことですか?」

「地球いやこの日本は、星間探偵協定に批准していないのよ」

「つまり、小永さんの能力は証拠にならない。そういう事ですか?」

「そうなるわね。犯人だと見抜いてもそれが証拠として扱って貰えない」

 史の説明を聞き、どおりで変な追い詰めかたをしていたのかと愛子は一人納得する。

「証拠にならないのに、どうして小永さんの協力を仰ぐんですか?」

「それは犯人が分かっている方が捜査は進みやすいから」

「それだけの理由でですか?」

「そう」

「もう一つ、説明して欲しいことがあるんですけど」

「何かしら?」

「巽川さんが言っていたんですけど。事件を早期解決しないと星間問題になると言っていたんです。その星間探偵協定にはその事が組み込まれているんですか?」

「愛子ちゃんは勘が良いわね。ますます好きになった。愛子ちゃんの言う通り、星間探偵協定に事件の早期解決の項目がある。一か月以内に事件を解決しろというね。でも、これは事件発生三日以内に犯人が特定できた場合に限るけど。

とはいえ、この国はそれに批准していないから関係ない話だけど。さっさと事件解決しないとこの協定に批准しろって、宇宙人達に迫られるから仕方なしに協定の文言通りに事件を解決しようとしているの」

 愛子はメモを取りながら「そうなんですね」と答える。

「他に聞きたいことは?」

「じゃあ、小永さんというかチェルカトーレ星人の能力についてです犯人の写真を見ただけでも分かるんですか?」

「さぁ、どうだったかしら。今度、本人に聞いてみれば良いじゃない」

「はぁ。最後にもう一つ良いでしょうか?」

「どうぞ」と言う史に愛子は「何故、日本は星間探偵協定に批准していないのでしょうか?」と思った事をそのままぶつけた。

「それは事件解決に宇宙人の超能力を使いました。なんて、公に言える?」その言葉に愛子は首を横に振る。

「でしょ。それに誤魔化せる器量がこの国には持ち合わせていないってのもあるけどね」

「成程」腑に落ちた愛子はタッチペンを机に置いた。

「一応、補足しておくね。チェルカトーレ星人の能力も無敵って訳じゃないの。地球人みたいな単純な星人であれば簡単に犯人だって見抜けるんだけど。癖のある特殊能力を持った星人には通用しない場合があるから。そこだけは忘れないでおいてね」

「はい、分かりました。頭に入れておきます」愛子は再びメモアプリにメモしておく。

“バカの能力は無敵じゃない”と。

「そう言えば、小永さんの姿が見えませんね」

 愛子の言う通り、新三は出社時刻になっても事務所に姿を現していなかったのだ。

 新三はどれだけ怠慢をしていても出社時刻は守るという律儀な男であった。

「あいつは朝一で誠っちに呼ばれて、今頃死体安置所に居るんじゃないかしら」

「えっ! そこの場所、教えてください!!」愛子は慌ててタブレット端末等を自分のバッグに詰め込み始めると史は「ここよ」と言って住所の書かれた紙を愛子に渡した。

「ありがとうございます。行ってきます!!!」髪を受け取った愛子は事務所を出て行った。

「深見 愛子。良い娘を雇ったわ」

 史はそう言いながら事務所の窓から下を見下ろすと、バス乗り場に駆けって行く愛子の姿があった。


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