王都のギルド③
そんな俺とリンのやり取りを聞いて、ギルバートが提案する。
「では、当面こちらに滞在して入学少し前に学園都市に行かれるのが良いかと。 学園都市といってもかなり大きさです。 たしか1週間前には入寮できるかと。 その辺りの情報も集まりしだいお知らせいたします。」
「もしお暇でしたら、高ランクの討伐依頼を受けていただきたいのですが、ご依頼しても?」
と申し訳そうにいうギルバート。
討伐があるんだったら、俺とリンにとっては好都合だ。
「全然かまわねぇーよ。 暗殺でもいいし、ただ、護衛はダメだ。 殺しだけな。」
「ええ、規約に書いてありますので、護衛とかはお願いいたしません。」とニッコリした笑みでいう。
「大方お話は終わりですね。 あとこちらに少しですが、現金を換金いたしました。 お持ちください。 これからお2人のお部屋に案内します。 ちょっと改装してあるので、以前と道が異なるのですよ。 あ、私の事はギルとお呼びください」と言って立ち上がるギルバート。
「「了解、ギル」」といって俺とリンも立ち上がる。
ギルの後ろについて歩くと、昔はなかったマスター室へむかう廊下にドアが設置されている。 ギルがカードをかざすと解錠される。 それから歩きながらギルが、「あのドアは、秘書と隊長と私が許可したもののみが入室可能です。 もちろんお2人のカードも登録済みです。」と説明された。
マスター室の前の扉で「昔と変わりませんが、ここがマスター室です」といい扉を指す。 扉から何から150年前と同じだった。 。。その先に進むとドアが設置されている。
ギルがカードをかざすと解錠される。
そのドアを開くと外へでる階段だ。 階段の周りは塀で囲まれていて、そのまま外へでれるドアがある。 この階段は何のためなんだろうと俺は考えていた。
「この階段を使えばギルド裏口へ出ます。 このドアはマスターとお2人しか使えません。 私にとっては逃走用ですね。 ギルドの受付と通る事なく外出する際にご利用いただく出入口です。 ご自由にお使いください。 というのは、今の時代、転移を使えるものが150年前に比べて更に少ないんですよ。」と説明された。 なるほど、そういう事かって納得だ。
ギルが、ドアを閉じ、更に奥へ進む。
そこにあるのは、今も変わらない俺の部屋の扉だ。
「滞在中のお2人のお部屋です。 ってご存じですよね。 なにか入用でしたら、私に念話でご連絡ください。 なんでも構いませんので。 では、私はマスター室にもどります」と軽く会釈して去るのだった。
俺が部屋の扉をあけてリンと一緒に部屋の中へ。
「なーんもかわんねぇーな。ここは。 時間停止、解除っと」という俺に、リンも「変わらないな」と部屋を見渡す。
俺が指定席に座り、タバコの火をつけて一服する。 ここはここで落ち着くな。
「ジルのおかげっていうか、ギルなのか、順調だな。 ジルの遺言を信じてなかったわけじゃなかったが、この部屋が使えるのは良かったな。 宿じゃなくてまじ良かったわー」
「ああ、われもそう思う。 本当、絡まれる事もなく順調すぎだった。 で、もう夕方だ。 どうする?」
「食材はもってるから、今日はここでメシくって寝よう。 久しぶりに、人間見て疲れた」
「うん、われも疲れた。」
そんなんで、手厚い歓迎のお陰でトラブルもなく無事王都のギルドに到着したシュンとリンである。
そして、この日150年ぶりに、人間社会に黒帝と暗殺者が戻ってきたのであった。