王都のギルド④
あれから、王都で生活していたがあっという間に入学式1週間前となった。
俺とリンは、ギルと3人でとある店にきて、食事している。
エールを飲んでタバコをふかしている、もうフードは被ってない。 これも、イヤーカフのおかげだな。 自分で作っておいて自画自賛だな。
「今日で、当面この店ともお別れだな。 リン」
「ああ、でもまた来よう」
「ここが、まさか0番隊ご用達のお店だったとは。。 知りませんでしたよ。 居心地のいい場所ですね。」といいながらギルは店舗を見渡し、店の雰囲気を見ている。
「もともと、イアン達の行きつけでな。 あん時は、しょっちゅう奢ったよ。 エールの味もかわんねぇーし、あんかなって思って来てみたら店構えもほとんど変わってねぇーときた。 食事のメニューはちげぇーけどな」
俺は、そんな事をいいながら、イアン達と通った店をみて昔を懐かしんだ。
そう、150年経過しても行きつけの店があったのだ。 残っていたのはここぐらいだが、俺とリンにとっては嬉しかった。 だから王都出立前には寄りたかった。
「この滞在中、いろいろ教えてくれて助かったわ。 魔力量とか、今や稀な魔法とかな。 もともと、俺 魔術師で異端だけど、まぁ更に魔法レベルが極端だな。」
「竜騎士の登場で、後方攻撃魔法と防御が主流ですね。 一応、騎士団がありますので、接近戦で剣術、体術も残っています。 しかしながら、一般的には武器も中接戦で、槍、魔銃、弓が人気です。 身体強化下手もだと思いますよ。」
「後は学園行ってみてからだな。 なぁリン」
「うん。 それに、魔力量も計測の時にで自分で調整すればいい。 魔力量を検知できるものが少ないはある意味シュンとわれにとっては助かる情報」
「シュンさんもリンさんも書類上私は一応保護者というか後継人ですから、些細な事でも構いませんから困ったことありましたらいつでも言ってくださいね。」
そういうギルの顔は優しく、微笑みながら言ってくれた。
「世話になるな。 その代わり、討伐・暗殺任務があったら遠慮なく言ってくれ。 夜とか週末とか時間作って受けるから。 流石に緊急は無理だがな。 あ、これやる」と言って俺は小さな袋を渡す。
「これな、物質転送・受信の魔術を付与してあって、例えばこのワインの小樽をこっちの袋にいれると、そっちの袋の色が変わっただろ。 中とりだしてみ」
ギルは受け取った袋の色が変わったのを見て、袋に手をいれて取り出すとワインが出てくる。 さっき目の前でシュンが別の袋にいれたワインの小樽だ。
「物質のみだが、この袋同士が対になっててな、時間停止も拡張で20KGまで可能だ。 任務内容いれておけば、受領できるし、離れていてもカードの処理も可能だ。 ただ、間違っていれた場合、相手が1度取り出して入れ直さないといけないっていうのが難点なんだよな。 使い勝手は悪くねぇーと思うがどう?」
「つまり、相手が袋を持ち運んでいればいつでもどこでも受信送信可能って事ですよね。 固定で設置する物質転送魔法陣より便利すぎです。 でも本当によろしいのしょうか、高ランク依頼頼んでも?」
学園在学中でも討伐・暗殺任務を受けてくれるというのは、ギルにとってもありがたいのだが、いいのだろうかと恐縮してしまう。
「全然、構わねぇーよ。 0番隊とき毎日受けてたし、1日50件とかざらじゃねーしな。 しょっちゅー電話でジルに呼ばれて王国中、大陸中転移してたし。 それに比べたら1件とか暇つぶし程度だ」
「はぁー、本当に転移って便利ですね。 それだけで、移動距離が短縮するんですもの」
正直、ギルは、当時のシュンの任務件数やら、消化件数に驚きが隠せない。
「無属性での転移が取得が難しいってのが解るんだが、闇と風でも転移できるんだけどなー。 なあ、リン」
「あー、われの単独転移は、風と闇の合成だ。 単独転移できるものは風と闇の合成が一般的だ。 空間把握がわれ苦手で、無属性の転移は使えない」
「え! そうなんですか? 闇属性ってあまり印象良くないので廃れてしまったんですよね。 はぁー」
無属性以外にも転移する方法がある事を知り、ギルは肩を落として項垂れる。 そりゃ、転移も廃れるわけだ。。 心の中で納得する俺。
それからは、会話ははずむ。 そして東国の話となる。 東国は、大陸のはるか東から海を隔てた所にある島国で独特な文化をもつ。 50年前ほどから交流をもった。 きっかけは竜騎士がみつけ、交流を持ち始めたのだった。
「そうそう、東国っていえば、この前アークのところに行く前にギルがいっていた東国行って、米と大豆、しょうゆと味噌を買っていったんだ。 アーク、すんげー喜んでた。 あいつ飛べるのに、行動範囲狭いんだ。 んで、米と大豆の種と苗わたしたら、今度は農家だっていって張り切ってたぞ。 こっちも料理の幅広がったけどな」
「直接買いに行かなくても、王都の商店で売ってますよ。」
「行ってみたくてよ。 独特だったけど、まぁ、今度のんびり行くつもりだ」
それから談笑し、俺が会計をしてお開きになる。 学園入学前の王都滞在最後の日の夜がふけた。
◇◇◇
翌朝、部屋を片付け、時間停止、入出禁止など施して施錠し、ギル推奨の旅人の服に黒の外装でマスター室へきた俺とリンである。 もちろん、手ぶらで。
「おはようございます。 お、着てくれたんですね。 うれしいです」とにっこり微笑む。
「パンツが黒だたしな。 んで、用事ってなんだ?」
「ちょっとかさばるんですが、学生用の私服、戦闘服とフード付きの外装用を用意いたしました。 あと、0番隊当時に来ていた戦闘服をこの前みせてもらったので100着ほどつくりました。
ふふ、あと隊長コートと隊員コートも。 まぁ、コートは着ないと思いますが、渡したくって。 受け取っていただけますか?」
「この戦闘服好きでな。 コートも。 受け取るよ。 ありがとう」と言って次元ボックスにしまった。
「喜んでもらって嬉しいです。 あと、こちらの手紙を学園長にお渡しください。 彼は悪い用にしませんので、シュンさんとリンさんが黒帝の縁者であると伝えてあります。 万が一ないと思いますが政治的に巻き込むなどありましたら即連絡を」と言いながら渡された。 「その前に殺すから」といって受け取りながらニヤリと笑いいうと、「そうでしたね」と言ってにこっり笑うのだった。
「長期休暇で戻ってくるかもしんねぇーし、わかんねぇーが、また顔だすわ。 じゃあな」
「ギル、また」そうして、俺とリンとその場から転移して去った。
ギルは先ほどシュンとリンがいた場所に向けて頭を下げてる。
「いってらっしゃい。 ご帰還をおまちしています。 シュンさん、リンさん」
ギルはマスター規約『黒帝の章』を開き「ここに書いてあることは本当ですね。 面白い方たちで、いろいろしたくなります」といいながら規約を閉じた。




