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作者: ババロア

息子が植物の種を拾ってきた。

どんぐりぐらいの大きさ、色は黒く、ヒョウタンのように微かに中間でくびれている。

どこで拾ってきたのかと聞いたら、家の前だと言う。

家の前に実がなるような木は植えていないし、鳥か何かが落としたのか。

息子が庭に埋めたいと言うので、一応ネットで何の種なのか

調べたが、一向にヒットしなかった。

私もどんな植物が生えるのか気になったので、庭の空いているスペースに埋めることにした。

息子と一緒にスコップで土に穴を開けて種を入れ、水をまいた。

次の日の朝、確認すると早速芽が出ていて息子は興奮ぎみに水やりをし、学校へと行った。

そして、1週間。毎日一回水やりをしていたら、木が生えてきた。それもすでに1メートルほどだった。私は驚いたがもう少し育ててみたいと思い、そのままにした。


明日から出張で3日ほど家を開ける。運が良いのか悪いのか、今住んでいるところは明日から天気が悪くなり、明後日は台風が直撃するようだ。私は出先にいるため、台風から逃げるような形になるが、家族が心配だった。そのような心配を胸に私は出張先に出向いた。かなり巨大な台風だと予報されていたため

妻と息子に実家に帰るように提案し、向こうの両親も喜んで承諾してくれた。


そうして3日間たった。今日は台風後によく見られる雲一つない快晴だ。妻と息子は夕方頃に帰ると言っていた。私は昼ごろ家につき、二階にある自室で部屋着に着替えようとした時だった。視界の端に違和感を感じ、レースのカーテンを開けた。

すると、約10日前に植えた木がすでに家の高さまでになっていた。それ以外の庭の植物は栄養を吸い取られたかのように力なく萎れていた。見たこともない葉をつけ成長した木に愕然とし、慌てて植木屋を呼んだ。今日はもう来れないとのことだったので、明日来るようにお願いした。


そして次の日、植木屋が来たがこんな木は見たことないと言う。昨日は家と同じぐらいの高さだったが、それより1メートル程高くなっていた。植木屋は作業を始め、少しずつ木を切っていき、50センチほどの切り株になった。その切り株を根っこごと引っこ抜こうとしたが、どうもうまくいかないようだ。知り合いの専門家に連絡をして、詳しく見てもらうことになった。

やはり専門家も見たことがなかったようで、研究するのに少しかかるようだ。その間毎日自分で切り株を切り、50センチほどにキープした。

約一ヶ月たち、専門家、政府の研究者など多くの人間が携わるようになった。そうして分かったことが一個あったようだ。

知らない男が私にこう説明した。

「私は地中がどうなっているのかを特殊なレーダーを使って調べていました。この木はものすごいスピードで高くなる。それは間違いありません。しかし、それよりも驚くべきなのは、根の張り方です。この木の根はすでに直径100メートル以上の範囲にびっしりと生えています。あと、1ヶ月もすればこの一帯の地盤を隆起させ建物を破壊していくでしょう。もう取り返しのつかない大きさになっています。」

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