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部屋選び

お着替えもあります

「で、気に入った部屋はあるか?」


城内を一通り見て回った後ニーナに尋ねる。気に入った部屋をやるつもりだ。もちろんその部屋に服や装飾品、金貨などが置いてあればそれもくれてやるつもりだ。


「あの…烏滸がましいかもしれないのですが…」


「ああ」


「もし許されるなら…ルート様のお隣の部屋がいいです…」


「…ふ、なんだ。久々に目覚めて人恋しくなってしまったか?」


「はい…」


素直なことだ。悪いことではないが心配になってくる。悪い魔導師にでも捕まりかねないな。


「お前はもうちょっと警戒心を持った方がいいと思うぞ」


「…はい、以後気を付けます。ですが、ルート様は私の恩人なので大丈夫だと思います」


そう言ってバイオレットの瞳で見つめ返してくるニーナ。その瞳があまりにも真っ直ぐで、思わずたじろぐ。


「…そういうことを言うのは俺だけにしておけよ」


「?はい」


こいつその内に人攫いにでもあうんじゃないか?まあそんなこと俺が許さないが。


「じゃあ、とりあえず部屋で着替えてくるか」


「はい…お手伝いします…」


「ん。普段はやってもらうつもりだが今回はいい。お前も着替えて来い」


「ですが…」


「お互いぼろ切れ一枚では色々と心許ないだろう」


「…わかりました」


「あの部屋。多分元城主の奥方の部屋だろうから華美なドレスも多いだろうが、なるべく動きやすい服にしておけよ。侍女としての仕事が大変になるぞ」


「はい、気を付けます…」


そうしてお互いの部屋に入る。ニーナはどんなドレスを着るだろうか。…なんとなく、ピンクとかが似合うと思う。いや、そんなことよりまずは自分の服か。


「ほう、なかなか良い趣味してるじゃないか」


どうやらこの城の元主人は俺と服のセンスが合うらしい。特に良さそうな服を選んで着る。うん、サイズも合うな。サイズに関しては多分城が魔力で直したんだろうけど。この城の主人を俺に上書きしておいたからな。同じようにあの部屋の主人もニーナに上書きしておいた。多分ニーナの部屋の服もちょうどいいサイズになっているはず。


自分の部屋から出てニーナを待つ。しばらくするとニーナが部屋から出てきた。


「…」


「…」


「…」


「…あの、ルート様」


「あ、な、なんだ」


危ない。あまりにもニーナが可愛らしくて見惚れてしまった。ピンクでふんわりとしたデザインの、しかしそれほど動き辛くは無さそうなドレスを着たニーナはまるで妖精のようだ。うん、可愛い。


「服…とても、お似合いです…かっこいいと思います…」


「そ、そうか…ニーナも、よく似合っている」


「ありがとう、ございます…」


「…」


「…」


…沈黙が痛い。何か話をしよう。


「あー、ニーナ。侍女としての仕事だが」


「…はい」


「この城の手入れや洗濯物なんかは、城が魔力石を使ってやってくれる」


「わかりました…」


「必要な物も城が用意してくれるから一々買い物に行く必要もない」


「はい…」


「だからお前は、俺の身の回りの世話と食事の用意さえしてくれればそれでいい。俺もそんなに忙しい身分ではないから、特にやることも無い。空いた時間は俺の目の届く範囲でなら、好きにすればいい」


「あの…」


「なんだ?」


「不老不死なのに…食事を摂るのですか?」


「ああ。俺もそう思って食事を摂らなかった時期もあったがな。その時に、誰かが自分の為に用意してくれた食事を、誰かと一緒に和やかに摂る時間も大切なのだと知ったんだ。だからお前も俺と一緒に食べろ。料理はお前に任せるから」


「…承知致しました。では、早速お昼ご飯を用意して参ります」


「ああ、もうそんな時間か。よろしく頼む」


「はい…」


「もし、お前さえ良ければだが。…作っているところを見てみたいんだが」


「わかりました…」


こうして料理を見学することになった。

ニーナはピンクがよく似合うと思います

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