短いスランプ。
今日の分の投稿です~
一話の前書きで1~2日で一話投稿って言ってたのに毎日投稿してますね。
ここに来てストックが少なっくなって来ました(笑)
それと、序盤は主人公が一人で試行錯誤することが多いですが徐々に登場人物も増えていく予定です。
初のHP全損を迎えた俺はカンベリの教会で目を覚ます。
「.......負けたのか」
目を覚ましてすぐに口にした言葉はそれだった。
例え相手がいきなり攻撃を仕掛けてきたとはいえ負けは負けだ。対応できなかった俺が悪い。
悔しい。
ひたすらに悔しかった。
どうしたらあの攻撃に対応出来ていたか?
それだけを考えて考えて考えた。.......だが、答えは出なかった。
いつもであればポンポンと出てくるアイディアも今回ばかりは出てこない。
敗北によるスランプか.......笑えないな。
「とりあえず、さっきのことをライナに話すか」
そう呟き、ライナが居るであろう『想像=創造』のギルドホームへとむかうのだった。
□
『想像=創造』のギルドハウスに着いた。つい三時間ほど前に買い出しに来ていたので、本日二度目の訪問となる。
このギルドハウスは二階建てであり、一階がギルドが営むギルド商店、二階はギルメン達とのプライベート空間となっていて、地下には生産施設があると聞いている。
俺はギルド商店の入口から中へと入る。
「いらっしゃいませ!あ、ヴァルカさんこんばんは〜」
そう言って出迎えてくれたのは、ギルド商店の看板娘であるピアと言う名のプレイヤーだ。買い出しに来た時に知り合ったのだが愛想がよく仕事も丁寧。ライナへの値段交渉も率先してやってくれるいい人だ。
「ピアさんこんばんわ。ライナはいるかな?」
「あー。今、ちょうど大事な商談があるとかで出ていきましたよ」
「そうかぁ。赤の指輪の件?」
「ですです~」
ライナは不在だった。
どうやら例の赤の指輪の情報を戦闘職トップギルド達に売りに行ったらしい。そんな訳で鉱山入口で俺を襲った連中は戦闘職トップギルドの人達ではないことが判明。これは朗報である。
因みに、赤の指輪は情報の証拠品にするだけであり、商談が成功すれば返してくれるそうだ。相場分のお金を支払えなかったせめてもの詫びらしい。
.......とは言えどうしたものか。
ライナなら連中のことを知っていると思ったんだが、待つしかないのだろうか?
そんな時だった。
「あの、私でよければ話を聞きますよ?」
俺が悩んでいると察してだろう。
ピアが相談にのると言ってくれたのだ。
「店番はいいのか?」
「はい!ヴァルカさんとは大事な契約を結んでますからね。無下にしたらライナさんに怒られちゃいますよ」
「そうか?じゃあ、お言葉にあまえようかな」
俺は先程のことをピアに話す。
「.......そんなことがあったんですね」
「あぁ。ライナなら何か知ってると思ってな」
「では、ライナさんに代わって私が知る限りのことを教えましょう」
そう答えるとピアは知ってる限りの情報を教えてくれた。
ピアの話によると、俺を襲ったのはレッドプレイヤーと言う連中だそうだ。なんでも東西南北のエリアボスの一つ前のマップを占拠したり、ソロプレイヤーを襲ったりと沢山の問題を起こしているのだとか。レッドプレイヤーか否かはプレイヤーの頭上にあるカーソルの色で判断するらしい。
一般的なプレイヤーが青でレッドプレイヤーが赤といった具合だ。
「恐らくですが、今回の商談によって戦闘職トップギルドが攻略を一次中断したのが原因でしょう」
「なるほど。確か東西南北のエリア全てにおいて耐性付きのアイテムが必要とされてるんだよな?」
「はい。北が風耐性、西が地耐性、東が水耐性.......ヴァルカさんが襲われた南の鉱山が火耐性ですね」
「そうか。となると当分の間はトップギルドの人達は各地のスライムを狩りまくるという事になるな」
「恐らくそうなるでしょう。.......その間にどれだけのプレイヤーが被害にあうのでしょう」
ピアさんは困った顔で呟いた。
まったくもって厄介な連中だ。
早いうちに何とかしたいのだが、こんな時に限ってアイディアがまったくもって浮かばない。
「ヴァルカさん。そんなに思い詰めてはいけませんよ。話を聞く限りヴァルカさんは鉱山入口までソロで行くほどお強いのでしょう。ですが、不覚を取られたとはいえ、そこで初めて敗北を味わった。.......違いますか?」
何故わかるのだろうか?
そう思いながらも俺は頷いた。
「そうだと思いました。そうなると悔しくて中々にアイディアが浮かばなくなるんですよね。私も初めて武器を作るのに失敗した時はそうでしたもの」
なるほど。
自身の体験から推測したということか。
てっきりエスパーかと思った。
だが気になるのはその状態からどうやって抜け出すのかだ。率直に聞いてみるとしよう。
「ピアさんはどうやってスランプから抜け出したんだ?」
「.......私的に恥ずかしい答えなのですが、その、笑わないでくださいね?」
「もちろん」
彼女は深呼吸した後、答えた。
「曖昧ではあるのですが、楽しむことを忘れては行けない.......が私の答えですかね?」
俺はピアさんの出した答えに衝撃を受けた。
俺はアイディアを考えている時は常に楽しんでいた。
だが、今はどうだろう。
敗北の悔しさに飲まれて楽しむことを忘れていないだろうか?
いや、十中八九忘れていた。
そうだ。うだよな!
やっぱりゲームは楽しまないとな!
「ピアさん。ありがとう。もう大丈夫そうだ」
「そっか!役に立てて良かったよ」
ピアさんはそう言って満面の笑みを浮かべた。
その表情に少しドキッとしたのは内緒である。
その後は、ピアさんに取り扱っているアイテムの一覧を見せてもらったり、意見を交換したりと楽しいひと時を過ごした。もちろんフレンド交換もした。
そして、一時間後にはライナが帰ってくることになるのだが、「いつの間にそんなに仲良くなったのー?」と少し拗ねられた。だが、幸いなことに俺が意見交換に誘うとすぐに機嫌が良くなった。
因みに三人での意見交換は大いに盛り上がり、気づけば深夜。慌ててログアウトするハメになったのは言うまでもない。
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