高山麓マップの魔物。唐突の死。
今日の分の投稿です。
調子よくストックが貯まればもう一本投稿します。
AWOログイン二日目。
昨日はライナが帰ったあとすぐにログアウトした。普段の就寝時間より大幅に早く切上げたことになるがそれはまた別の話。
ともあれ、今日の予定だ。
ライナの言う通りであれば近々、攻略組によって第二エリアが解放される。
だが、俺的にそれは宜しくない。
ユニークスキルを取得した時からではあるがら可能であれば第二エリアの解放を俺が真っ先にしてやりたいと考えていたのだ。
それを踏まえた上での今日の予定だ。
「んー。南のエリアボスの下見にでもいくかな」
俺は思い切ってエリアボスに挑戦することにした。とはいえ、今回の挑戦は言った通りの下見である。
負けるのが前提であり、情報を得るためだのものだ。だが、第二エリアの開放をするにあたって必要不可欠なことでもある。それ故に俺も本気で戦うつもりだ。
そうと決まれば即行動。
俺は施設を出て、ライナのギルドから使えそうなアイテムを大量に購入し南の門へと向かうのだった。
□
南の門を抜け岩石地帯を越えた俺は鉱山麓という名のマップに辿り着いた。
先日の戦闘により『悪路耐性』のレベルが4まで上がっていた為か、悪い足場をものともせずに進むことが出来た。そのおかげもあり、ここまでまくるのにかけた時間は二十分ほどだった。
俺が今いる鉱山麓のレベル帯は5~15。
生息している魔物はロックラビット、ロックタートル、ロックウルフ、ロックリザードの四種。
レベルの高さはロックラビット<ロックバード<ロックウルフ<ロックリザードとなっている。
だが、この中で最も危険な魔物はロックウルフだそうだ。
ロックラビットとロックタートルに関しては低レベルのプレイヤーであっても気をつければ問題は無い。ロックリザードはこのエリアで最強の魔物だが群れない特性があるので難易度はあまり高くないだろう。
だが、問題なのはロックウルフだ。ロックウルフは群れで行動する特性があり、一度の戦闘で複数匹を相手取ることになる。それに加えて速力が高いときた。そこ素早さと数の暴力はソロであればが、第一陣のプレイヤーでも根をあげるものらしい。
「対策も考えたし大丈夫だと思うがな」
そう呟いて足を進めた。
目指すは次のマップであるカンベリ南部鉱山だ。
その鉱山の中腹にエリアボスが待ち構えているのだが、今はそれはいい。まずは鉱山にたどり着くことだけを考えよう。
「お?あれは.......ロックラビットか。一応、小手調べに戦っておくか」
俺はストレージから爆石で作った『爆石:飛ノ型』を取り出し、ロックラビットの元へと駆け出した。因みに『爆石:飛ノ型』は『小爆石:飛ノ型』の上位互換である。
俺はロックラビットに近づき、初手で『鑑定』をかける。
ロックラビット。Lv.8。HP150。
いけると踏んだ俺はロックラビットが仕掛けてきた体当たりを横っ飛びで避ける。そのまま、ひと回転加えて受け身を取る。
『スキル『回避』が所得可能になりました』
『スキル『受け身』が取得可能になりました』
突然流れたアナウンスに内心ガッツポーズしながらもロックラビットへと『爆石:飛ノ型』を投擲し追撃を仕掛ける。
現在の『投擲』スキルのレベルは3。やはり戦闘系スキルのレベルの上がりは遅い。レッドスライムとの戦闘で四百回以上も投擲してもこれなのだ。スキルレベルによる補正はダメージ増加と命中精度上昇だ。だがらレッドスライムに四百回以上も連続で当て続けた俺の経験は伊達ではない。今なら補正なしでも当てれる自信があるくらいだ。
そんな俺が投げた『爆石:飛ノ型』はロックラビットに突き刺さ.......らず、その場で爆ぜた。
「む?刺さらないか。流石、石の兎だ。残HPはっと」
つかさず、再度『鑑定』をかける。
ロックラビット:Lv.8。HP21/150
「は?.......予想よりダメージ入ってるんだが。となると固定ダメージが120くらいか?いくらなんでも高すぎるだろ。.......まぁいいや」
俺は鑑定結果に驚きつつもストレージからある物を取り出し、ロックラビットの体当たりをそれで防ぐ。次の瞬間、俺が取り出したそれが突如、爆発を起こした。それにより、ロックラビットは残りのHPが全損することとなった。
「よし、検証成功!」
ロックラビットが死亡によるエフェクトを散らす中、俺は高らかに声を上げた。
ところで今回、俺が取り出したそれとは盾状に『変形』させた小爆石だったりする。俺はこれを『爆石:防ノ型』と名付けた。
それともちろんであるが、ユニークスキルである『アイテム効果支配』を使用し自分への被ダメージを無効化させている。
これにより、敵の攻撃を防ぐと同時に爆破ダメージを与えることが出来るようになったわけが、今回の検証の要点はそこではない。攻撃を防ぐと同時に爆破ダメージ与えることは元より予想出来ていたのだ。
ならば、要点は何ぞか?という訳だ。
ぶっちゃけて言うと至極簡単なことだ。
今回の要点は敵が爆破ダメージを受けるのと、俺が敵の攻撃ダメージを受けるのは、どちらが早いのか?である。
結果は前者だ。
その証拠に俺のHPは1足りとも減っていないにも関わらず、ロックラビットの方が死亡エフェクトを散らしながら消滅したのだから。
結果に満足した俺は先程入手可能となった『回避』と『受け身』を取得しルンルン気分で先へと進む。
二時間ほど歩いただろうか?
その間に出会った魔物はロックラビット一匹とロックタートル二匹だ。
新たにロックタートルと戦った訳だがこいつに関しては、はっきり言って俺からしたら弱過ぎると言わざる負えなかった。まずは鑑定結果だ。
ロックタートル:Lv10。HP350。
一見強そうに見えるのだが、動きがかなり遅いのだ。因みに、こいつのMAX速度は一般人の徒歩並なのだ。
そして新たに分かったことがある。
それは爆石の固定ダメージ量だ。
ロックタートルの一匹目を倒した時なのだが、遠距離から『爆石:飛ノ型』を三回ほど投擲したら倒すことができたのだ。その結果を元に爆石の固定ダメージは120と予想をたてた。
だが、予想に納得のいかなかった俺は二匹目に遭遇した時、初手の攻撃を『小爆石:飛ノ型』による投擲に変更した。俺はそのロックタートル鑑定して驚くことになる。
なんと、ロックタートルの残HPが289だったのだ。これにより分かったのは、このマップに存在するロック系統の魔物の弱点属性が爆破であるという事だ。基本的に弱点属性のダメージは倍になるのはネット情報で知っていたのでほぼ間違いないだろう。となると投擲ダメージが1となるのだが、それはロックタートルの防力が高いからであろう。
よって、爆石の固定ダメージは60と判明した。
加えてこの戦闘により、俺のレベルは6となった。
「さてと、そろそろ鉱山に着く頃合かな.......っと!?」
俺がそう呟いた時だった。
目の前の岩陰から四足歩行の獣であろう頭がひょっこりと出てきたのだ。
間違いなくロックウルフだ。
咄嗟の出来事に驚いた俺は『鑑定』を使用することを忘れ、その頭に『爆石:飛ノ型』を二本同時に投擲した。
運良くも、その攻撃によりロックウルフを仕留めることが出来た。だが、ロックウルフは群れで行動する。爆発音を聞いたお仲間のロックウルフ達が俺に気づくのは当然のことだ。
爆発音で駆けつけたロックウルフの数は六匹。
連携に長けているのか、ロックウルフは俺を取り囲むように陣を取る。
「退路を絶ったわけか」
俺は冷静な声で呟く。
ロックウルフ達は俺が慌てる様子もなく平静としていることに対して苛立ちを感じたのか「グルル」と喉を鳴らし威嚇してくる。
そのまま睨めっこの状態が一分ほど経っただろうか。
ついに、痺れを切らしたロックウルフ達が一斉に俺へと飛びかかる。俺目がけ、六方から鋭い顎が迫り来る。
「爆ぜろ」
俺は噛みつかれる寸前、ストレージから取り出した爆破鉱に命令を下す。爆破鉱は俺の命令に答え、ロックウルフ達に爆破ダメージをとノックバックを与えた。
ロックウルフ達はノックバックにより先程の睨めっこ状態をしていた位置まで吹き飛ばされる。
「追撃っと」
俺は間入れることなく『爆石:飛ノ型』を前方の三匹目がけて投擲する。
ノックバック直後の追撃にロックウルフ達は対応できなかったのだろう。三本のクナイはいづれもロックウルフの眉間に直撃し、爆発する。これで残りは三匹。
俺はすぐに振り返り、先ほどと同様に『爆石:飛ノ型』を残りの三匹に投擲した。
「避けられたか」
流石は速力の高いロックウルフだ。
頭もいいためか、一度しか見ていないはずの投擲攻撃を三匹とも躱すことに成功させていた。だが、頭がいい故に爆破鉱を恐れ、なかなか攻撃を仕掛けられないロックウルフ。
ならば、此方から仕掛けてやろうではないか。
俺はストレージから魔法陣の書かれた正方形の紙をとりだす。
これは、スキルの『魔術』と『魔法学』のレベルを10にすると覚える技能である【魔封陣】によって作られた魔符と言うアイテムだ。これには魔法が封じられており、魔法名を唱えることで誰でもその魔法が使えると言う凄い代物なのだ。
現状では【魔法陣】を使用できるプレイヤーが一日に一枚しか作ることが出来ないこともあり、凄く高価であった。
ライナが少し値下げしてくれたので、ついでに数枚ほど買ったものである。
俺は魔符に込められた魔法の名を詠唱する。
「アースバインド」
直後、木のツルが地面から生え、ロックウルフ達を拘束した。
バインド系の魔法は敵を拘束する魔法であり、速力の高い魔物に対してかなり有効だそうだ。現にロックウルフ達はアースバインドにより身動きが取れない状況だ。情報に間違いはないだろう。
俺は拘束されたロックウルフに『爆石:飛ノ型』を投擲し、留めを刺す。
『レベルが上がりました』
「中々にしんどかった」
ロックウルフとの戦闘を終えた俺は率直な感想を零した。
思っていたより複数の魔物をソロで相手取るのは疲れたのだ。こちとら生産職なわけで器用以外のステータスが低い。攻撃を貰わないようにする為だけにかなりの集中力を要するのだから無理もないと思いたい。
そんなこんなで先へと進むのだが、南部鉱山までの道中に魔物と遭遇することは無かった。
鉱山への入口はひらけた土地であり、多くのプレイヤーがテントを立てて辺りを巡回していた。
俺はそのプレイヤー達に構うことなく入口へと向かう。
そんな時だった。
なんと、巡回していたプレイヤー達が俺に気づくなり魔法による総攻撃を仕掛けてきたのだ。
それはあまりにも唐突のことで、流石に対応することができなかった。こうして俺のHPは初の全損を迎えたのだった。
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