武器制作、ライナ見学。
今日の投稿です!
読んで下さりありがとうございます!
「ふむ。材料が足りないな」
最高の投擲爆破武器を作ると豪語したもののライナから購入した銅が底を尽きたのだ。
「なんせ十個しか買わなかったからな。とりあえず追加で五十個ほど買うか」
そう呟き、ライナにフレンド通話をかける。
「おいっす」
『おいっすー。小一時間ぶりだけどどしたの?』
「銅が底を尽きた。追加で五十個ほど欲しいんだが頼めるか?」
『使い切るの早いねー。一体何を作ってるんだか.......あ、銅はギリギリ大丈夫そうだよー!発送だと一時間ほどかかるけど私が直接向かえば十分程度で着くけどどする?』
「じゃあ、向かってくれるか?時間が惜しいしな」
『わかったー。でも、私の時間を割くことになるのだから当然作ってるものを見てもいいのよねー?』
「構わないぞ」
『やったー!すぐ向かうね!ばいばーい』
ふう、初のフレンド通話は緊張するな。
話した結果、どうやらライナが見学しに来るらしい。
第一エリアのレベル上限に達してる訳だし意外と暇してるのかもしれないな。
「ライナが来る前にこの失敗作を片付けるか」
そんなこんなですぐ時間は過ぎた。
俺が言う失敗作とは投擲爆破武器の事だが、どうやらスキルのレベルが足りなかったようだ。
爆破鉱を使用したら失敗が続いたのだ。原因は鑑定をせずに使用したことにある。まさか爆破鉱のレアリティがRだとは思わなかったのだ。だが、失敗してもスキル経験値は貰えた。銅の加工は現時点でトップクラスで経験値がいいのかもしれない。最後の失敗で『装備製作』がLv.7と『錬金術』がLv.5まで上がったのは嬉しい誤算だった。
因みに、『装備作製』のレベルがLv.5に上がった時に取得できた技能は【切断】で『錬金術』は【抽出】を覚えた。そして、【切断】で試しに銅を半分に切ると銅(1/2)が二つできた。
「お?」
作業終えて休憩していると俺の視界にウィンドウが現れた。
『施設に訪問者、ライナが来ました。入室を許可しますか?Yes or No』
どうやらライナがきたようだ。
「Yesっと」
俺が選択を決定すると施設の入口が開きライナがはいってくる。
「おまたせー」
「いや、そんなに待ってないぞ?」
「何このやり取り、初デートか!なんつってー。はいこれ」
「ん、わざわざありがとう」
そんな茶番を楽しみつつ、ライナから頼んでおいた銅をを受け取り代金を支払う。
「気にしないでー。仕事はギルメンに押し付けてきたからさ?」
「.......そっか」
押し付けてきたと言うがきちんとお願いしてきたんだろう。さっき知り合ったばかりだが根が良い奴なのは知っている。でなければトップギルドのマスターになれる訳もないのだ。
「じゃあ、早速作るけどまだ試作段階だから期待はするなよ?」
「おーけー。めっちゃ期待してるー」
「.......一応、頑張る」
こうしてライナが期待しながら見守る中、俺は作業を開始した。
まず初めに銅を炉に入れ赤色化させ、叩きながら【変形】で剣の形を作る。
「ねー。これってさ、ただの銅の剣を作るって訳じゃないんだよね?」
「まぁね。で、コレが必要となる訳だ」
「私達から買った爆破鉱ね」
「そうそう。んで、これを錬金術の【融合】で融合させるっと.......お、成功した」
「え!?そんな事できたの!!?」
そうライナは驚くが成功するかどうかは俺も知らなかった。事前にネットで錬金術の【融合】について調べていたので投擲爆破武器を作るにあたり目星は付けていた。ライナの反応を見る限り、この方法はどうやら初の試みらしい。
「で、【冷却】【研磨】で完成かな?」
「せっかく手動研磨の極意を教えたのに使わないんだねー」
「そんな事したら爆発するぞ?」
「あ、そっかー」
そんなやり取りをしていると完成した剣からウィンドウが現れた。
俺は剣のウィンドウを確認する。
『オリジナル武器の作成に成功しました。武器名を付けてください』
「うわっ。こんなウィンドウ初めて見たんだけど」
「このウィンドウってライナにも見えるんだな」
「うん。素材を【変形】させた時とかに名前をつけるじゃん?そーいう時とかに出てくるウィンドウも他人に見えるよ。加工した本人しか名前変更できないけどねー」
「初知りだ。教えてくれてありがとう」
「いいよー。で、なんて名前にするの?」
「考え中だ」
さて、なんて名前にするかな。
とりあえず『鑑定』で剣のプロパティの確認だ。
無名の剣:R+。攻力+35。一定の衝撃を与えると爆発する剣。爆破ダメージ中。爆風によるノックバック小。
よし。ほぼ予想プロパティだ。
何せ、中途半端な銅の剣と爆破鉱のプロパティが合わさっただけなのだからな。
これなら、考えついた名前を付けることが出来そうだ。
「ねーねー、決まったのー?」
「ああ。こいつは『銅の剣:爆ノ型』だ」
「おーいい名前だね!で、プロパティは?鑑定していい?もちろんいいよね!!」
押しが強い。
さすがは生産職トップギルドのギルマスだ。
生産への知識の追及となると熱い。まぁ、気持ちは分かるから嫌ではない。
「いいぞ」
「やった!『鑑定』っと」
ライナは餌目前にマテをかけられた犬がようやくヨシを貰ったかのような勢いで『銅の剣:爆ノ型』を鑑定した。
「どうだ?」
「うーん。なんか思ってたのと違ったかなー。てっきり、敵を切りつける度に爆破ダメージを与えるようなものかと」
「ははは。流石にそれは求めすぎだろう」
「確かにねー。でも、この新技術はめっちゃ凄いとおもったよ!.......で、これ何に使うの?」
「投げて爆破させるんだ。俺は投擲爆破武器と呼んでいる」
「強いのー?」
「強いぞ。ステータスが低くても火力をだせるしな。まぁ、『銅の剣:爆ノ型』はコストがかかるから乱用はできないがライナのギルドであれば困難ではないな。それに比べ、爆破鉱をクナイ型に【変形】させたものは低コストで量産できる。爆破ダメージ中とノックバックが付与された投擲武器になる訳だが.......敵に複数人で大量に投げてやるとどうなる?」
ライナはハッとした表情を見せ問いに答えた。
「タダでさえ固定ダメージを与えるのにそれが大量に.......それに加えてノックバックが発生するから当たれば近づくことすらままならない!!凄い発想だけどクナイ型にする意味は?」
「クナイ型にすることによりアイテムに攻力が追加される。それと相手に刺さり内部で爆破した時は固定ダメージ×1.5のクリティカル判定だ」
「凄い!凄いよヴァルカ!!生産職もこれさえあれば戦闘職に引けを取らずに戦えちゃうかもよー?」
そうだろうな。
だが、そんな甘い話ではないだなこれが。
「まぁ、それも最初のうちだけだ。戦闘職とのPvPを想定したとしてもだ。今回、俺が編み出した『錬金術』を組み込んだ『装備制作』によって爆破耐性やらノックバック耐性の装備も生まれるだろう。その場合は違う効果のクナイを投げればいいが、それ以前に戦闘職と生産職の間には圧倒的な差がある」
ライナは考える仕草をする。
そして、不安気ながらも答えた。
「.......ステータスの差?」
「そうだ。こちらがどんだけ手数を増やしても当たらなきゃどうってことない。動体視力とスピードを超強化された相手には無意味となる。こちらは作ることにおいては本業だし質と量では勝てるが戦闘職が同じことを真似れば確実に負ける」
「そうだよねー。PvPでなくても素早いモンスターとかなら当たらなきゃ意味無いかー。でも護身用としてはありだね!」
「うん。今はそれくらいの認識で大丈夫さ。だがこの情報は今は流すなよ?」
ライナはニヤリと笑う。
そして、今度は自信あり気にこたえた。
「わかってるよー。現状、コストのかからない素材アイテムが総値上がりするだろうしね!今のうちに在庫溜めておかないとだねー」
「分かってるじゃないか。商売のこととなると察しがいいな」
「褒めてもなにもでないよーだ」
そう言って無邪気に笑うライナは素直に可愛いと思った。
こうしてライナの見学下による武器制作は終えた。
今回、俺が与えた情報により、ライナのギルドは更なる急成長を遂げるだろう。それに付随し、俺にも利が訪れる。まさにウィンウィンとはこの事だ。
「ヴァルカ、今日はありがとねー。それと、近々第二エリアが開放されると思うけど素材とか必要なものがあったらなんでも言ってね?これからもいい関係を築いていきましょーね!」
「こちらこそありがとう。これからもよろしく」
「じゃあ、バイバイ」
そう言ってライナは俺が借りている施設を後にした。
俺はライナが出ていってすぐ、その場に仰向けで寝転がる。
そして、天井を見上げて呟いた。
「近々か。.......先を越されないようにしないとな」
面白い。続きが読みたい。
そう思った方は評価、ブクマしてくれると嬉しいです。
やる気につながりますのでw