小爆石:飛ノ型
今日最後の投稿です。
明日から1~2話登校予定です。
頑張りますよー!
「うわ。見事に岩石地帯だな」
南の門を抜けた俺は辺りの風景に驚きの声を零した。
門から鉱山へと続くであろう道は舗装されているものの、それ以外はゴツゴツとした石が敷かれ、なんとか走れる程度だ。
その他にも、大きさは異なれど人の身長をゆうに越えそうな岩がそこらじゅうに確認できた。
「ここで戦うのは難しそうだ。ま、やるけどさ」
俺は舗装されている道から舗装されていない岩石地帯の方へ歩く。
道がある所は他のプレイヤーやNPC達も歩いていたりするので魔物が近づかないのでは?と思っての行動だ。
「お、いたいた!」
道から外れて5分ほど歩いた所で初の魔物と遭遇した。魔物の外見は丸くてぽよぽよしたあいつ.......スライムだ。色は青ではなく赤い色をしていた。
「まずは『鑑定』!」
『レッドスライムLv.3。HP:50。属性:火』
情報が薄いのも当然。レベルが低いのだから仕方ないだろう。
俺が鑑定をかけたからだろうか。
レッドスライムがこちらにを向かって跳ねた。
どうやら戦闘開始らしい。
「ぐっ!!」
「ピギィー!?」
俺は跳ねてきたレッドスライムの初撃を初期装備の剣で防ぐ。今のでHPが二割ほと削られた。
生産職のステータスが低い。何せ職業によるステータス上昇の恩恵が『器用』しかないのだ。
だが、問題ない。
俺は初撃を防ぐときにレッドスライムを上に弾く事に成功していた。狙ってやったのだがどうやら上手くいったらしい。
レッドスライムは空中に打ち上げられた後、落下する。
俺はレッドスライムの落下とのタイミングを合わせ剣を野球バッドさながらの勢いでふり抜いた。
剣が直撃したレッドスライムはもちろん吹っ飛ぶ。二回、三回とバウンドした後、岩に衝突し動かなくなった。そして、エフェクトを散らせがら消滅した。
「ふう。初戦にしてはいい感じじゃないか?.......あ?」
俺が変な反応を起こした理由はドロップアイテムにあった。魔物や敵を倒すとエフェクトを散らせ消滅した後にドロップしたアイテムや素材の項目が表示されるのだが、そこにあったアイテム名が.......。
「.......小爆石だと!?」
そう。
ここに来る前に買った小爆石であった。
安い安いと思って買った訳だが、まさかのレッドスライムのドロップ品だったのだ。
「お、落ち着け。ドロップ項目には二つ表記されていた。そっちの確認が先だ。おお!」
もう一つのドロップ品は『赤い指輪』というアクセ装備品であった。
効果は『火耐性:小』と微妙?なところだが装備品がドロップされること自体はレアなことらしい。いい値段で売れるといいな。
っと。
考えているうちに次のレッドスライムが現れたようだ。
しかも二体だ。初心者である生産職の俺には少し厳しい状況だ。
だが問題ない。真っ向に戦う気など更々ないのだから。
「くらえ!!」
俺はレッドスライムに向かって二本のクナイ型の何かを投げつけた。それは二匹のレッドスライムに深々と突き刺さり、次の瞬間小さな爆発をおこす。その爆発は勿論レッドスライムの内部で起こり、そのジェル状ボディを四散させエフェクトを散らせて消滅した。
『種族レベルが上がりました。SPが2P付与されました』
『スキル『投擲』が取得可能になりました』
『スキル『悪路耐性』が取得可能になりました』
「お、レベルアップ。と取得可能スキルが増えたか。順調順調」
戦闘結果に満足した俺は喜びの声を上げた。
今回の戦闘で使用したのは誰もが言わずとも分かるであろう小爆石だ。
その小爆石を『武具作成』の【変形】によりクナイ型にしてみた物だ。アイテム名は『小爆石:飛ノ型』。ただ形状を変えただけなのだがアイテム名が変更できたので名前をつけてみた。用途別に管理できるようにするためであろう。
因みに今回のドロップアイテムは小爆石が三つとレッドジェルが一つ。元は取れているので問題ない。
「よし、この調子で狩り続けるぞ!!」
そう意気込み、新しく入手可能となった『投擲』と『悪路耐性』をSPを各2Pずつ消費し取得した。
□
あれから二時間ほど経過した。
倒したレッドスライムは三十八匹。
倒す過程で分かったことが一つ分かったことがあった。
それは『小爆石・飛ノ型』の与ダメージについてだ。
レッドスライムに直撃してクナイが突き刺さってから爆発した場合はレッドスライムを一撃で仕留められたのだが、外して近くの地面に突き刺さり爆発した場合は仕留められなかったのだ。
そこで気になった俺は少し検証をしてみた。
まず手始めに加工をしていない小爆石をレッドスライムへ投げつけてみたのだが、やはり一撃倒すことは出来なかった。鑑定の結果、残HP17。与ダメージは33だ。
次に加工していない小爆石をわざと外して爆発ダメージのみを与えてみた。残HPは20。与ダメージは30だった。これにより石を当てたことによる与ダメージが3と判明した。これについてはは筋力も反映されているのだろう。
三回目の検証は強引であった。
小爆石をレッドスライムに物理的に押し込んでから近くの岩に投げた。
もちろん爆発し、残HP:8で与ダメージが42。
小爆石を仕掛けずに投げて見た場合、残HP:48で与ダメージは2であったため、内部からの爆発による与ダメージは45と1.5倍となった。
因みにこの検証で俺のHPは六割ほど削られた。
検証を纏めてみた結果がこれだ。
純粋な爆破ダメージが30。
内部からの爆発であればクリティカルで1.5倍の45。
俺の筋力で投げた小爆石が当たった時の物理ダメージ3。
全てを踏まえて俺が出せる最高の合計与ダメージは48。
うん。足りない。
ならば、何故に一撃で倒せるのかと言う疑問がでてくるのだがそれは『小爆石・飛ノ型』の形状にあった。
検証した上で数字が足りない俺は『小爆石・飛ノ型』を『鑑定』スキルを使用した。
結果はこれだ。
小爆石・壱の型:N+。一定の衝撃を与えると爆発する。ダメージ極小。尖っているため刺さると痛そう。攻力+10。
お分かり頂けただろうか。
なんと攻力+10が新たに付与されていたのだ。
形状を変えただけど侮り、鑑定をを怠ったが故に気づけなかった凡ミスだった。
ともあれ、色々あったが、これによって俺が今後多用するであろう投影爆破武器のダメージ公式が完成した。
『爆発ダメージ×クリティカル+投擲ダメージ』
うん。意外と簡単。誰でも見つけられそうだ。
そこが意外と穴になりそうな予感ではある。
それで、公式をわざわざ出す必要性はあったのかとなるがのだが.......あるんだなぁ、これが。
もし仮にだ。
使われている爆発物が強力な物であり、武器がクナイの攻力を遥かに上回る武器だとしたらどうだろうか?
その与ダメージを簡単に計算できるとしたらどうだろうか?
敵のHP管理も出来て高火力。
恐らくだが、生産職としては破格の戦闘力を手に入れることができるだろう。
ともあれ、現状は理想論でしかないのだ。
高火力だが、一度使うと使うと爆散して崩壊する武器。制作方法の確立は前提条件であり、続いて量産するための素材の入手経路の確率も必要となってくる。
「ま、その点は追追だな」
俺はそう呟き、レベル上げも兼ねてレッドスライムをひたすら狩り続けた。
それから二時間ほど経たった。いったい、どれほどの数のレッドスライムを倒し続けただろうか?途中まで倒した数を数えていたが百を超えてから数えるのはやめた。
「レベルも上がらなくなってきたし、そろそろ切りあげるか」
そう言い、最後と決めたレッドスライムへと『小爆石:壱ノ型』を投擲し、それを倒す。
『ピローン♪』
「ん?」
唐突の出来事だった。
俺がレッドスライムを倒したと同時に謎の通知音が鳴っのだった。
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やる気につながりますのでw