葬世
瞬く間にメンテロイドの反乱が始まった。
夥しい数の彼等は鉄パイプを持ち、あらゆる場所で蜂起し住民に襲いかかった。
情け容赦を失った彼等はスクラップ場は勿論、工場はすべて破壊して、村は一瞬にして火の海に包まれた。
生まれ変わるという偽りや心を認めてもらえなかった怒りや悲しみが詰まった暴走は誰も止められることはできなかった。
この事態に村長はすぐさま村内放送を流した。
「安心してください。たった今、自衛隊に要請を出しました。もうすぐやってきます」
公民館に避難した住民は彼の無責任な言葉に不満を覚えた。
「どこが安心なんだ。自衛隊が来るのに何時間かかると思ってんだい」
「田畑は焼けた、家も何もかも・・この村はもう終わりだ」
「お不動様、どうかこの村を救ってくで・・」
この村で古くから住む老婆は数珠を両手に持ち、虚しい祈りを続けた。
殺人マシンと化したメンテロイドはあちこちでうろついている。
はるかはメンテロイドに見つからないように隠れながら奇夜地区までたどり着き、どこかに消えてしまった彼を探した。
「ヒロム・・どこにいったの?」
すると背後から鉄棒が振ってきた。
「危ない!」
間一髪で少女が大きなメンテロイドを一撃で殴り倒した。
「あなた、はるかさんでしょ」
「そうだけど・・あなたは?」
「まぁヒロムの友達ってとこかな。ここは危ないから早く逃げましょ」
マリ子は迫り来るメンテロイドを拾った鉄棒でなぎ倒し、道を進んだ。
「この暴走、どうやらヒロムが原因らしいんだ。最悪なことだけどカミサマになったかもね」
「どういうこと?よくわからない」
「説明はあと。早くヒロムを救って!・・救えるのははるかさん、あなたしかいないの」
「でも、どうやって?わたしにそんな力ないよ。第一、まだ見つからないし・・」
するとはるかの胸の奇夜石から青白い光が浮かび上がった。
そして彼女の耳元で微かに声がした。
「なにか・・きこえる。誰かが呼んでるみたい」
「あたいにはきこえないけど、きっとヒロムを見つける手がかりかもしれない」
「・・私、やってみるよ。ありがとう」
「健闘を祈る」
声を頼りに走り去るはるかにマリ子は笑顔で親指を立てた。
日が暮れて辺りが暗くなるにつれ、奇夜石の光は大きくなった。
それと同時にはるかはどこかにいるヒロムのことを強く想った。
・・もう道を失うことはない。
光が呼ぶ道は途切れることなく続いているのだから。




