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悲劇のヒーロー

今回は会話が凄く多いです。

最近、小説を読む機会が多いので、何か雰囲気が他の小説家さんと似ているかも知れませんが、パクリでは無いです。

拙い文章ですが、ご容赦を。

 自分の事を他人に語られるというのは、あまり良い気分はしないけれど、それでもそいつは僕のことなんてお構いなしに話し始めた。

 自分は君の事を知っていると。

 何でも、どんな事でも知っていると。

 そんなことを言いたげな、自慢気な顔で。

 身振り手振り、さながら演劇の如く。

 感じていない感情を、言葉に込めて。


「或る夫婦の間に、一人の子供が産まれた。勿論、その子供というのが君だよ。今から17年と半年位前の出来事だね。君は一人っ子だったけれど、寂しい思いはしなかった。君の家庭は大富豪と言わずとも、良い生活を送れる程度の財産はあったからね。君の父親は所謂、努力家だった。努力して、努力して、努力に努力を重ねて、成功を、栄光を手にした。そんな父親を君は尊敬していた。一方、母親は父親とは真逆のタイプ、才能で栄光を手にした人間だった。自らのやりたいことで才能を開花させ、その道を突き進み、成功した人間。そんな母親のことも、君は尊敬していた」


 確かに、僕は両親を尊敬していた。

 良く言えば威厳のある、悪く言えば厳しすぎる、そんな父と、良く言えば自分のやりたいことは絶対に貫く、悪く言えば超自由人、そんな母。

 二人は僕の憧れの存在だった。

 いつかは彼等の様になりたいと。


「君が中学校に上がりたての頃、両親が喧嘩をした。理由は君の進路についてのこと。それぞれ、互いに全く違う人生を歩んできたからこそだろうね。教育方針の違いで、両親の意見はぶつかり合った」


 僕はその日、初めて両親が喧嘩している姿を見た。それまでは本当に、本当に仲の良い夫婦だった。

 才能と努力、似て非なるもの。

 けれど、育てられた側の僕が言うのも何だけれど、子育ての仕方に明確な差異があったのは事実だった。


「ボクとしては、才能も努力も似たようなものなんだけれどな〜。努力する才能っていうかさ。でも結局、似ていようが真逆だろうが、同じじゃない事に変わり無いからね。似ているって事は、つまりは、異なるって事だから。だからこそ、ぶつかり合った。まあ、仕方無いっちゃ仕方無いんだけれど。老若男女、それこそ貧富や人種問わず人間ってのは、誰かと争わなくちゃ生きていけないんだよ。本当、可哀想に」

「……」


 他人事みたいに言うなあ。

 まあ、実際、他人事だから仕方無いか。


「おっと、話が逸れて仕舞ったね、アハハ、ゴメンゴメン。話を戻そうか」


 コホンと、咳払いをして、そいつは再び語り始めた。


「その後、両親の仲は険悪になった。暫くして、両親は離婚。それが、君が高校に上がる直前の頃だね。君は父親に引き取られ、母親は家を出て行ったっきり連絡つかず。父親もそれっきり、母親には会っていない。恐らく、会うこと自体は可能だったろうね。だけど、そうはしなかった。仕方無いさ、二人は険悪な関係を止める為に、関係自体を断ち切ったんだから。会うことが許されないし、許さない。自分が、相手が、それを許さない。そんな関係になって仕舞った、愛し合っていたのにも関わらず」


 両親の離婚に関して、僕はとやかく言える立場では無い。そもそもの原因は僕の事なのだから。

 もしも僕が産まれて来なければと、今でも思うことがある。

 僕が居なければ、きっとあの二人は仲良く出来ていた筈なのだから。


「残念だけれど、君の思っている程、簡単な事じゃないよ。早かれ遅かれ、結果は同じたと思うね。だって、そもそも、あの二人は合わないんだもの。まあ、運命ってやつだね、交響曲第5番だよ。あの曲、好きなんだよね〜」

「…今はクラシック関係無いだろ」

「ありゃりゃ?また、話逸れちゃった。ゴメンね〜。何せ、人と喋るの久しぶりだからさ〜。はぁ…何か、話し疲れちゃったな〜」


 コイツもコイツで自由過ぎるだろ。

 まあ、僕としてはこのまま、話が終わっても良いのだけれど。というか、寧ろ終わって欲しい。

 自らの過去をこうも軽々しく語られると、何か嫌だ。


「う〜ん、別に今急いで話す程じゃないんだよな〜、どうせ後で分かる事だもんな〜。まだ3話だし、急ぎは禁物かな」

「は?3話?」


 さっきから、ちょいちょい訳分からない事言ってるんだよな。さっき2話だったのに3話って言ってるし。本当、何者だよ、アンタ。


「あ〜、こっちの話だから気にしなくて良いから、本当に。はあ、メタ発言避けないとな〜」


 遂にメタ発言とか言っちゃったよ。

 何だよメタ発言って、漫画やアニメの世界じゃあるまいし。


「もう面倒くさいから、ちょっとだけ端折って話すね〜。というか、話すの飽きたんだよ、ボク自身」


 じゃあ、もう話すなよ…。

 聞いてるこっちも飽きてきた。


「でもさ、話さないと進まないんだよ〜。という訳で、再開。君が高校に上がって少しした頃、父親は自室で首吊って自殺。君は、優しい夫婦に養子として迎え入れられる事になり、転校した。新しい父親と新しい母親と3人で暮らすこととなった。君が新しい高校で馴染めず、悩んでいたある日、父親が交通事故で死んだ。君は、母親の勧めで部活に入る事にした。確か、陸上部だったね。そこで君は先輩に恋をした。部活で君が華々しい結果を残すようになった頃、君の先輩は脚を故障して一生走れなくなってしまった。そして、その先輩も自殺。こっちは飛び降り自殺か。それが今から2週間前。まあ、こんなもんかな」

「…結局、何で僕は死んだんだ?」

「え?あぁ、可哀想だったからボクが殺した」


 は?もう、訳分からない、訳分からな過ぎる。

 可哀想だったから殺すって、どういう意味だよ。


「君は、他の世界の方が生きやすいんじゃないのかな〜と思ってね。その為には死んで無いといけないから。ほら、生きてると、色々面倒だから。このボクが手ずから殺してあげたって訳」


 分かった。分からないけれど、分かった。いや、分からないけれど。


「んで、ど〜すんの?行くの?異世界に」

「どうせ、行かなきゃ話が進まないんだろ?だったら行くよ」

「うん、その通りだよ、君も段々分かってきたじゃないか。君が行かなきゃ進まない、何も、誰も。一切合切ストップになっちゃうからね〜」


 あれ?異世界ってことは…


「異世界って、言語とかはどうなるんだ?」

「ご安心を、このボクがついていってナビするから。ナビゲーションシステム」

「それを言うならナビゲーターだろ」

「あぁ、うん、それそれ」


 僕は車かっつーの。


「それじゃ〜、行きますか!」

「あぁ」

「反応薄いなぁ、全く」


 少しずつ、少しずつ。

 意識が遠退いていく。

 僕はゆっくりと、瞼を閉じた。


 あぁ、僕は本当に死んだのか。


 そのときはじめて、そう思った。


どうですかね?

主人公の名前を出すタイミング逃した気が…。

というか、アイツ誰?

3話にして、依然、情報が少ないですね…。

まあ、今後とも宜しくお願いします!

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