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プロローグ
プロローグ
猛烈な吹雪の中を人色蔵人は前へと進む。だが、視界は真っ白。数十センチ先さえ見えない。
「ホワイトアウトって自然現象だな。」蔵人は1人つぶやく。
「俺は今まで家にいたはず。つまり強制転送の特殊能力を持つ者の仕業。《HYPER CUBE》世界で強制転送の特殊能力は確認されていない。だが、確認されていないことと存在しないことはイコールではない。あるいは、これは夢又は幻。」ホワイトアウトの中で蔵人は瞬時に状況を判断する。
「ようこそ、『隻眼の使徒』。いや人色蔵人くんと呼ぶべきか。」
ホワイトアウトの中で、突然、前方から少女の声が聞こえ、蔵人は身構える。
ホワイトアウトゆえに相手の姿形までは見えない。辛うじて少女が銀髪であるのだけが確認できる。
「これはお前の仕業だな。お前は誰だ?」蔵人は詰問する。
「Pure Sublimity White」
少女は、ゆっくりと、そうつぶやいた。