1/8
プロローグ
「我々がもし天に抗する気力がなければ、天は必ず我々を滅ぼすだろう。 諸君、必ず天に勝て 」
-福島泰蔵-
穢れてしまった私たちの目ではもう見えない。
この地とは別の天を。
穢れたからこそ裏が見えなくなった。元々あったものが覆され、消えていった。
そう、死んだわけではないのだ。
消えて何処か違う場所へといっただけだ。
もしかしたら誰もが小さい時には見えて感じたかもしれない。その優しさを、隠された真実を。汚さになど感化されず美しい瞳で見つめて、知っていたかもしれない。
だが歳をとることにつれ『悪』を知り『嘘』を吐き忘れてしまった。
そんな、忘れたものを思い出させる物語。
二度とは会えないけれど私は君を覚えている。
ずっと。
ずっと―――。