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なろうだけよ-短編

来年年賀状

作者: ササデササ
掲載日:2013/10/15

 一月一日。

 新年。

 年が変わる日。

 干支が変わる日。

 

 一月一日。

 お年玉がもらえる日。

 年賀状が届く日。

 

 そんな一月一日。

 ポストが変わる。

 

 一月一日の午後4時44分。

 ポストが変わる。

 

 私がそのことに気がついたのは、中学一年生の時だ。

 

 送ってくるとは思っていなかったクラスメートへのお返し年賀状を書き終え、ポストに出し行った。

 時間は4時44分。

 すると、ポストが変だった。

 最初感じた違和感は、「え? 人の顔?」だった。

 ポストが人の顔に見えた。

 近づいてみると、ポストの入り口が3つあった。

 いつもある2つの入り口が目に見えて、増えた入り口が口に見えたのだ。

 増えた入り口にはこう書かれていた。


 来年賀状、と。


 くるとし年賀状?

 はてな。何のことやら。全くもって分からない。

 テレビ番組にあったな。『ゆく年くる年』

 それのことかな。

 ならば、何かの企画かな。

 とりあえず、私は普通じゃない経験をしている事は分かった。

 だから、つい、出来心で、持ってきた年賀状を入れてしまった。 

 今にして思えば、呪いとかじゃなくて良かったと思う。

 

 私は年賀状を出して直ぐに、出したことは覚えていても、誰宛のを出したのか、どんな年賀状だったかも忘れてしまった。

 辛うじて覚えているのは、不思議なポストに年賀状を出したことだけ。


 一年後。

 クラスメイトから電話が来た。

 普段話さない、男子からだった。

「おい。年賀状を送り返さないのは良いけどよ、一年遅れで届くのは腹が立つぜ?」

 との事だった。

 私には何のことやら分からなかった。

 誰かが私の名前を使ってイタズラしたのだと思った。

 一年のタイムラグは、不思議な力とは無関係に、私の記憶をあやふやな物にしていた。

 でも冬休みが終わって新学期。

 その男子が年賀状を学校に持ってきていた。

 それを見て、すべてを理解した。

 来年年賀状。

 あれは、くるとし年賀状じゃなくて、らいねん年賀状だったのだ。

 

 この事は誰にも言ってない。

 私だけの秘密。

 なんとなく一人占めしたくなった。

 

 以降、私は来年の自分への年賀状を送り続けている。

 今日もまた、来年の自分宛に年賀状を出した。

 だから、内容は忘れてしまった。

 毎年の行事にしているから、かろうじて自分宛なのは予測できる。

 そして、悲しいかな。

 内容も予想できる。

 もう4枚になった自分への年賀状は、全て同じ内容だからだ。

 全く。

 毎年毎年、うるせ~な。私。

『もう流石に彼氏できたんでしょ? いいな~。うらやましいな~』

 じゃないんだよ。馬鹿。

 まだ、彼氏はいね~よ。

 ふん、だ。

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