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「……あれ?」
目が覚めたら見知らぬ草原が広がっていた。
「どこだここ……」
全く見覚えがない。
「とりあえず人を探すか」
歩いてれば人に会えるかもしれない。そんな希望を抱いて歩き出す。
「どこまで……歩けば…いいんだよ…」
結構歩いたのに人一人遭遇しない。
そもそもここはどこだ? ここに来るまえ俺はーー何をしてたんだ?
思い出せない……
思い出そうとすると何を思い出そうとしたかを忘れてしまう。
「落ち着け俺。落ち着けばなんでもできる」
まず状況を整理しよう。目が覚めたら見知らぬ草原に俺はいた。そして人を探して歩き続けている。
じゃあここに来るまえは何をしていた? 確か俺はーーダメだ思い出せない。
「ああもう訳わかんねぇッ!」
なのに何で俺はこんなに落ち着いてるんだ? 何一つ理解できない。
「歩くしか……ないか…」
そう言って足を動かしていった……
もうどれくらい歩いただろう。
明るかった草原も日がくれて暗闇で埋め尽くされている。
「……あれは⁉」
そんなとき視界に光が走った。
「街だ‼」
俺は歩きっぱなしでガクガクの足を無理矢理動かし走る。
「これでやっとーー」
しかしここで突如、俺は強い衝撃を受けて気を失い、視界から光が失くなり暗闇が広がっていった……
気持ちいい。意識を取り戻して最初に感じたことだ。なぜなら草原にいたはずの俺は今、ベッドの上にいるからだ。
「ここは……アイテテ」
起き上がろうとすると背中に激痛が走る。
背中が痛まないようにゆっくり周りをみる。どうやら小さな個室のようだ。内装は西洋風……というよりRPG系のゲームに出てきそうな内装だった。
「俺は確か突然意識が薄れて……」
不意に扉が開いた。
「お、目が覚めたか」
日本人には見えない髭を生やした背の高い男が部屋に入ってきた。見た目からの推測だが年齢は30代だろう。
「いやすまない!」
入ってきてすぐ男は頭を下げ、俺に謝りだした。
俺が困惑した表情を見せていると男は説明を始める。
「馬車で草原を走っていたとき暗闇で君の姿が見えなかったんだ。それで君を轢いてしまったんだ。本当にすまない!」
つまり後ろから馬車で轢かれて気を失ったのか……
「え、いや別にいいですよ。部屋まで借りてしまっているので」
俺としては正直ラッキーだった。あのまま街に行ったら野宿だっただろう。
「どうせ行く当てもなかったので俺としては助かってます」
「そうか。だったら詫びと言っちゃなんだが、傷が治るまで泊まっていってくれ」
「じゃあお言葉に甘えさせて貰います」
よかった。しばらくは普通に眠れそうだ…
「今日はもう遅い。疲れているだろうしもう寝るといい」
「はい、そうさせて貰います」
そう言って男が部屋を出た後、俺が眠りにつくのに時間はかからなかった。これからのことは起きてから考えがよう……
そう思い目を閉じた。