プロローグ
「はあ……あの教師め…」
居眠りぐらいで30分も説教しやがって…
「俺は上手く回避できたぜ。運がなかったな龍聖」
「全くなんでお前には説教ないんだよ!」
最前列で堂々と寝てたくせに……
「まあそう怒るなよ。そいやお前、もうこの世界の生活には慣れたか?」
「だいぶ馴染めてるよ。授業は前より難しいがな…」
俺は1ヶ月前、地球からこの異世界ハルルに飛ばされてきた。
「ま、いい人に拾われてよかったな」
どうすることもできない俺を拾ってくれた人がいた。その人のおかげで学校にも通えている。
「じゃあ俺、用事あるから先帰るわ!」
「おう、またな」
そいや色々あったな……なんか大切なこと忘れてる気がするけど…
「あ、忘れ物した…」
急いで教室に走っていく。登校初日も課題を教室に忘れたっけな……
「ああ、宿題置いて帰るとこだった。またあの教師に怒られるとこだった…」
教室を出ようと扉を開ける。
「フグゥッ⁉」
腹に衝撃が走る。赤い髪の少女が俺の腹に突撃したからだ。
「あいたた……」
俺を踏みつけて少女は起き上がる。
「痛い痛い痛い痛いマジ痛い‼」
「へ⁉ あ、すみません‼」
やっと少女は俺の腹から身体をどける。
「あ、なんだ龍聖じゃん。謝って損した!」
俺の顔を見るなりそんなことを言ってきた。
「おいシェリア……」
「ごめんごめん冗談。大丈夫?」
「なんで扉あいてないのに突っ込んできたんだ?」
あれは扉を突き破る勢いだったぞ……
「え、だって……扉の前でつまづいて…」
「お前またかよ! これで2回目じゃねえか‼」
登校初日も今と同じようなことがあった。
「懐かしいねぇ……龍聖もやっと学校のみんなと馴染めてきたね」
「おーい話し逸らすな」
「まあいいじゃん! あ、一緒に帰ろううよ!」
笑顔で言われたので怒る気が失せてしまった……
「はいはい、じゃあはやく忘れ物とってこい」
「あ、忘れてた! 危ない危ない!」
しかし、一ヶ月の間に色々あったな……
「あったぁ‼ じゃあいこー‼」
その中でこいつが一番印象に残ったな。俺はこの一ヶ月であった出来事を思い出してみる……






