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歩行者  作者: 鷹崎徳
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歩行者4

 まいど突貫小説制作中の鷹崎です。なんとか今週も投稿にこぎつけました。

 前回言い訳した通りの状況下そして、シフト変更。全身筋肉痛の最中の執筆、実に面白い展開です。

 全員参加、そして、新たな登場人物。話が動きだし始めます。

結婚騒動から一週間経過した。

私の悪い冗談だと言ったおかげで騒動はある程度収まったが、一度広まった話簡単には消えない。なんて愚かなことをしでかしてしまったのだろう。

久々の残業を終え、帰宅中に考える。

あれ以来、佐々木は私に対して何か考えて、喋るようになった。多分今まで以上に距離を置くためだろう。逆効果だけじゃ説明しきれない事態にになりえることぐらい容易に予測できたはずなのに・・・何故? 何故あんなことを。

 悔やみきれない気持ちを抱え、佐々木と朝食を共にしたホテルがある駅の構内に入り、七台設置されてる券売機の上にある電光掲示板を見る・・・・⁉ 

 あれ? 


 ――またのご利用を心よりお待ちしております。


 と、電光掲示板に書かれ、何往復している。

 嘘だ! 終電は二十四時五分のはずでは? まだ私の時計は二十四時、終電まであと五分ある。

 事の事態に混乱しそうになるが、丁度、どこから駅員が現れた。すぐにとっ捕まえて、状況を説明した。

「ああっ、七月の初めからダイヤが変わったんだよ。知らなかったのですか」

 駅員は慌て気味の私に冷静に伝える。

 嗚呼! 佐々木の事を考えすぎて調べるのを失念していた。なんたる失態。

 駅員が立ち去ったの確認して壁にもたれ、携帯でダイヤ変更を調べる。本当だ。『七月、夏のダイヤ変更』と、サイトのtopにデカデカと書き記されている。

 バチでもあったかな・・・? 気が落ち込みそうになるけど、明日も早い、とにかく休める場所を探さないとけない。

 電源ボタンを押し、ひまわり畑の待ち受け画面まで戻り、周辺の地図情報のアプリに入る。これなら安い、宿代わりになる場所を探し出してくれる。すぐに駅の名前を入れ、検索ボタンを押した。

 しばらくお持ちくださいとの表示が二秒続いたのち、駅周辺の地図が出てくる。ネカフェぐらいなら近場にあるはずだ。 

 画面を睨むように見る。

 

 駅から238メートルの場所に、私が行きたかった場所に、アイコンがついてる。小さくガッツポーズ。


 そこから直接店舗検索して、店内の様子を確認する。

 どこにでもありそうな普通のビルの五、六階にあって、五階に受付。ちゃんと二十四時間だし、マットブースもある、おおっ、これ空席照会もできるんだ。すぐにマットブースの空席照会するのところに合わせプッシュ・・・『ただ今の時間帯での空席は三つです』と、書かれている。なくなる危険性ありだ。

 清掃活動が始まりだした駅構内を小走りで抜け、地図通りに目的地に向かった。


 写真通りビルの中に店舗があった。

 小さなエレベータで五階まで上がり、開く。

「いらっしゃいませ」

 私が出てくる同時に、メガネをかけた少し初老かかった男性店員が元気よく、かつ時間帯に合わせた小さな声で言う。

 ?

 派手な装飾品だらけの店内と、服装が彼の存在を違和感にさせる。赤色のベストのせいか? それとも・・・。

 変な疑問を持ちつつ、店員のいる受付に向かう。

 今どきの店員に負けないぐらいハキハキしいて丁寧な説明、優しい口調が良い。まだ利用していないのにまた来たと思った時だ。

 

 後ろのエレベータが開く。


 ほかのお客が来たと思った。

 ウィーン、ウィーン、ウィーン。

 ! 人間にしてはおかしな足音が響いてくる。


「あれ! 幸一君と、広美さんではありませんか、何でここに」


 男性店員が説明を止め、目を輝かせ、私の背中の後ろに視線を向ける。

「いやー、ロボのバッテリーが危ないんで、充電がてら休ませてもらおうと思って」

「こんばんわ、お久しぶりです斉宮さん」

「また。お造りになられていたのですか? 本当にお好きになんですから・・・困ったものだ」

 私を無視して、この場を離れ、後ろの声がする方に行こうとするが、

「斉宮さん! お客さん無視しちゃダメ!」

 と、止めた。

 感心だな。声は若いが、ちゃんとしている。

 何かしら言おうと振り向いた・・・⁉ ⁉ ⁉

「ロボ!」

 若い男女に挟まれるように、映画で見たことありそうな二足歩行式のロボが立ってる。

 信じられない光景に思わず大声で言ってしまった。

「申し訳ありません。驚かせるようなことをしてしまって、気付かないふりしてもらえると嬉しいのですが・・・」

 斉宮と言う男性店員が謝り、頼みごとをする。気付かないふりって、言われても、思いっきり見てしまったし・・・どうする? 

「わかった。だから部屋を用意して欲しい」

「番号315の、禁煙席です。階段下って、左手奥です」

 斉宮の提案をのむ形で、この場を乗り切ることにした。高い確率でこれが良案だ。

 すぐに受付とロボを持つ若い男女に背を向け、即その場を離れる。

 これで終わったはずなのに、なんかまた会いそうな気が収まらず、なかなか寝付けられなかった・・・。



  ◇           ◇           ◇

 ザッ! ザッ! ザッ!

 と、音が鳴るぐらいまで大量に荷物を赤いリュック詰め、休日、いつもの訓練コースを歩く。 

 事件直後は心労で一時訓練を休止していたが、一週間ぐらいで立ち直り、ブランクを感じつつ調子を取り戻していく。久しぶりの平穏だ。

 青い空が輝いて見える。

 至福の時間。

 幸せを感じ、久々の何も考えないでいられる時間を楽しむ。これが永遠に続けば良いなと思う――。

 プップー! でかいクラクションが響いてくる。

「気をつけろ!」

 と、乱暴な運転をしてくる派手な異様なでかさの車。そして、お約束のグラサンを着けた怖い男が、通り過ぎる間際にわざわざ窓を開けて叫ぶ。

「御忠告ありがとう」

 同時に、お礼を言う。

 キッー! と、ブレーキ音を轟かせながらよろめき去って行った。思わぬお礼に動揺したか、なんか動作をしくじったか・・・事故ればよかったのに――。

 そんな展開など起きず、平穏が続く。

 住宅街を抜け堤防に続くコンクリート製の階段、ざっと見て軽く三十段。普通なら余裕だが、この荷物と今の体力じゃ結構きついし、太陽が俺の頭上に居て最悪に暑い。熱中症が熱射病にないかねない。

 パスすることは出来る。しかし、ここで退くような程俺は弱くない。

 階段に足を伸ばし、一歩ず上って行く。

 ゆっくりだが、調子は休止前とは変わっていない、良かった――。

 

 パチン! 


 はっ⁉ 何だ? この音は?

 七段目に差し掛かった時、今まで一度も聞いた事のない音がリュックから響いてきた。

 想定していない事態にビビる。場所的に確認も不可能。

 

 ガシィ!

 

 更に音が。

 ! まさか――! こんな所で、破れかけている? 思いついた途端、脳内に思い当たる出来事が何度も浮かぶ。特に、このリュック高校の通学に使用していた・・・ガタがきていてもしかたない。でも、何で今?

 焦り始めた時だ――。急に重さの場所がリュックの後方に移る、俺の体も後ろに傾く。全ての力を出して前のめりになるが、荷物の重さに負けた。


「終わった」


 視線が空に向く。

 終わりにしては、悪くない爽やかな夏空だ――。

「終わっていないぞ佐々木」

 走馬灯の始まりに一之宮の声が聞こえてくる。なんてしつこい奴だ。まぁー、今まで会った女性では一番印象的だったから、最初に現れても問題ないが、何で? 一之宮。

「早く足に力を入れろ! 私の力じゃ長くはもたん。急げ」

 疑問になってる最中、再び声が――って、まだ俺生きてる! 倒れているの途中で、止まっている。奇跡だ。

「早くして! 足が、足が! 殺すぞ! 佐々木!」

 奇跡に喜んでるわけにはいけない、なぜに一之宮が俺を助けているのいかわからないが、このチャンスを逃せば本当に終了だ。

「わかった! 今やる」

 全ての力をまた足にため、体勢をもとに戻した。

 今、本当に、助かった。助かった!

「恩に着るぜ、一之宮」

「どういたしまして」

 互いに笑顔で向き合う・・・? 何かがおかしい。

 一之宮がが近くに居たから助かったのは事実だが、何でここに居るんだ? 俺、話した覚えなど無い。

「一之宮。何でここに居る?」

「・・・あっ! 偶然」

 ・・・つけてきたな。ったく。

「・・・命救ってくれたから偶然にしてやる。だが、次はないぞ。同僚だろうと、何だろうと、容赦しないぞ!」

 誤魔化そうとしてる一之宮に言い放つ。

「別に着けてきた訳じゃない。いい友達になろうと思って、佐々木の部屋に行ったら丁度でかい赤いリュックを背負って出ていく所みて、偶然みたいに・・・」

 頭下げて言い訳じみたことを言い続ける。表情から見て、反省しているみたいだ。しかし、こんなことを続けられても正直困る。仕事、私生活、すべて壊される危険性が出てくる。

 でも、ここまで女性に好意もたれたのは初めてだ。嬉しいのか? 困るのか? 簡単に考えがまとまらん。けど、この状況で言えることは一つ、俺はまだ誰かと付き合う気は無い。

「前言撤回だ容赦しないは忘れろ。ここでいるのもなんだ、涼しい場所に移動する。リュックことも心配だしな」

 下げた顔を一気に上げ、俺を見る。先までとは全く違う笑顔だった。



 訓練コースの休憩場所で、夜は幸一が演奏会する駅にある小さな喫茶店。一之宮が教えてくれた奴とはうって違って小さくカウンター席が四つで、テーブル席は二つ、メニューも定番物しかない。が、なぜがすごく人気があって、昼下がりは平日で賑わう。

 テーブル席を狙っていたが、すでに先客が二つとも取っていて楽しく会話している。仕方なく、まだ誰も座っていないカウンター席に座る。

「アイス二つで」

 一人で店を見ているおじさんに注文言い、隣に座る一之宮に言う。

「なあ、一之宮、一体何が望みなんだ?」

「前言った通り私は佐々木と結婚望んでいる。しかし、私は断られた。だから、せめて友達になりたいと思って行動したら・・・全部空回り、失敗した。それだけ」

「・・・それだけ」

 寂しそうに俺に気持ちを伝える。

 罪悪感が募る。

「勢いに任せたのがまずかった。もう少し考えて、場所も考えて、時間帯も考えて・・・ああっ」

「・・・なんて答えれば良いかわからないけど、取りあえず落ち込むのは止めてくれ、調子がうまく合わせられない。まるで俺が一之宮を傷つけたみたい見える」

 とにかく話し続けないといけない気がする。黙ったら俺の負けだ。

「あの告白、いや、あのプロポーズは私の全てだ。それ以上に無い」

 断言する一之宮。寂し表情から一転、決意に満ちる表情に変わる。揺るぎない闘志が見える。

「・・・わかった。一之宮の気持ちは理解した。でも、今、俺は誰とも付き合う気は全くない。ましては結婚など不可能だ。俺の気持ちもわかってくれ」

 一瞬押し切られそうにそうになるが、一之宮も気持ちを伝えられたのだ、俺だってちゃんとした気持ちを伝えるべきだと冷静に思い、言う。

「・・・そうか。でもチャンスはあるんだな? 今の佐々木の言葉を聞いた限り」

「・・・まぁ、そうだな。でもどうなるかわからんぞ。一之宮のプロポーズも、俺が売れ残りなったらて言ってるし、売れ残るかな?」

 聞き分けの良い奴でよかった。これで落ち着くかな?

「いずれそうなる。私にはわかる。チャンスもらった以上」

 怪しく微笑む一之宮。でも、その笑顔も何の策略もないただの女性の笑顔だった。

「アイス二つお待たせしました」

 おじいさんが大きなグラスに淹れたアイスコーヒーを俺達の前に置く。その最中、おじいさんなんか笑っていた。聞かれた?

 恥ずかしい気持ちがこみ上げてくる。

「せめて・・・教えてくれ」

「何を?」

「携帯番号とアドレス。まだ聞いていない、教えないと何がある度に部屋に乗り込むぞ」 ! それはまずい。

「・・・わかった。教えてやるから妙な真似しないでくれよ」

「わかった」

 この日を境に、俺達は友達として付き合うことになった。



  ◇            ◇             ◇

 幸一が寝付いて数分経過した。

 私と幸一は、元お父さんの工場で働いていた人が、定年後に再び働いてるネカフェで一夜を過ごすことになった。原因は、幸一が制作した二足歩行型MP3のバッテリー残量を無視しての演奏強行。久々に五人以上のお客さんで調子に乗ったのが敗因。帰りの分まで考えろ!

 私の気持ちもわからないでスーピィー、スーピィー寝息立てて寝ないでよ。

 手で鼻を掴み、息を止める。

「スーピィー、スピーィ・・・ぐがっ!」

 素早く離し、気道を確保してやる。死なれたら困る。

 時計は一時を向いてる。いい加減私も寝るか。

 幸一が被っている布団に入り、添い寝する形になり、そのまま寝付いた。



 ◇             ◇             ◇

『エールフランス249便。パリ発成田着定刻通り、八時十分到着です』

 

 私は降り立った。アナタの憧れの地に。 

 楽しんでもらえたら幸いです。新しい登場人物の紹介は次回にします。何時になるやら? 

 不定期にならないように努力していきます。今後ともよろしくお願いします。

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