歩行者3
どうも鷹崎です。4話目をお送りします。
今回は一馬だけの視点です。もう少し長く書きたかったんですがここで言い訳です。今している仕事場で秋の人事異動がありまして、かなり忙しい場所に当たり、連日3時間残業、土曜休日出勤で三時間残業で一気にスピードダウン。週一投稿に限界が出てきました。
申し訳ありませんが、投稿できる日に出したいと思います。楽しみにして下さる皆様、本当に申し訳ありません。
八月、150アクセスありがとうございました。二ケタいけたら良いなとおもったら三ケタでした。感謝です。
「お前じゃ、誰とも結婚出来ない。お前じゃ誰も結婚出来ない。おまえじゃ、だれともけっこんできない。オマエジャ、ダレトモケッコンデキナイ・・・」
脳内で彼女声がこだまする。
起きてる時も、寝てる時も関係なく響く・・・・。
夢の世界、現実の世界かどちらか分からなくなった・・・気がした。
「嗚呼っ、今日も仕事だ。これぐらいで頭がおかしくなることはないいんだな」
己の図太さに恐れ入る。
――それに昨日幸一と、、初めて会った彼女の広美さんに話聞いてもらったし、逃げ出すのは・・・嫌だし、けど、やっぱり・・・。
と、うだうだ夜明け前から考えている。
もう時間帯的に寝るのも不可能だし、寝れば先と同じくこだましそうで怖い。それに絶対に遅刻しそうだ。
窓の外がだんだん明るくなってくる。時計を見なくともあと数時間もしないうちに出勤しなくては。
行きたくない。が、しかし、逃げだと思われたくない。でも・・・。
迷いが出ててくる。
いっそこのまま・・・と、考えが思いついた時だ。
トントン。と、小さな音が玄関から聞こえてきた。誰かがノックしているようだ。一体誰だ?
立ち上がりざまに時計を見てみると午前六時半だ。新聞配達は五時ぐらいだし、牛乳配達はまだ早い・・・。
音を立てずに、ゆっくりと、玄関に近づき外に様子を見る前に気配だけを感じ取ってみる。シーンっと、していて音がしない。もう居なくなったか、一人だけ立っていてわからないか、さては集団でそれほどの・・・・・な訳ないよな。
ドンドン!
「!」
一人納得しようとした瞬間、一層大きな音が扉から聞こえる。
声は出さなかったが、気配出しかもしれない。頼む誰だかわからないが、気付かないでくれ!
「そこに居るの分かってるんだぞ。出てこい、佐々木。折角女性が迎えにきてやってきて顔も出さにとは、失礼だぞ」
⁉ 声は! 一之宮! 何故にここが!
慌ててのぞき窓から外を見てみる。
「っ!」
俺自身の目が幻覚を見え出したのかと思ってしまう。間違いなく、紛れもなく、正真正銘に一之宮が俺の部屋の玄関にの前に立っている。黒いシャツに、白いパンツ、女気のない、何時もの彼女の仕事着だ。
住所教えてないのに・・・。
「課長に教えてもらった。結婚前提だからって。観念しろ!」
井上! 訴えてやる。
「・・・確かに俺は部屋にいる。しかし、住所まで、俺の個人情報知られている人間がいる奴の前におめおめ出てくるような程俺は愚かじゃない」
「おおっ! 居るじゃないか、一緒に朝食でも食べにいかないか」
「・・・行きたくない。俺の社会的死をもたらした奴とは、拒否する!」
「拒否だと――私みたいに、佐々木の事をっ」
「ストーカー! 消えろ!」
「・・・・・・」
あっ! 言い過ぎた。
のぞき窓の向こうに立っている一之宮。ショックを受けたのを隠し切れないのか、一気に表情から元気が無くなり、顔を下げ、階段がある方へ歩き始めた。
帰ってくれたなら好都合なはずなのに、なんか嫌な気分になる。思わず玄関を開け放った――!
「甘いな佐々木! 所詮お前みたいな男は、最後に女に騙されて終了するタイプだ。おとなしく私と!」
半ば叫びながら一之宮が突撃かましてきた。
予測出来ていたのに突撃を許してしまった事を悔やむが遅い。扉を緊急閉鎖を試みるが、彼女の勢いに押され、こじ開けられ、侵入されてしまった。最悪だ!
「ハア、ハア、ハア・・・。観念したか?」
「・・・しました。けど、お前とは結婚する気は無い!」
「いずれ、そういう気になる」
勝ち誇り、満面の笑顔で言い放つ。
とある駅ビルにあるホテル。会社通いに使ってる駅に突き刺すようにそびえ立つように存在する建物。たまに雲がかかる。
常に素通りで就職する前も、今も一度も入ったこともない。そんなホテルになんの用だ? 疑問に思いながらも一之宮について行く。
――ったく、こんなところに朝食でも食いに行けるような・・・・! あった。
寝不足で、突撃かまされて、イライラが溜り始めたところに思わ驚いた。
朝食ホテルバイキング。コーヒー一杯で、バイキング利用可能と書かれた看板が堂々とホテル出入り口に掲げてある。
「このホテル、あまり朝食バイキングを宣伝してないんだ。口コミサイトで偶然見つけて、昨日のお詫びのつもりで誘ったんだ。まだ、佐々木の携帯番号教えてもらってないから、直接行くしかなったから・・・許してほしい。
それに、信じてもらえないと思うが、あの時、佐々木が出てこなかったら本気で帰っていた」
真剣な顔で俺を見ながら言う。
「・・・分かった。反省してるようだし、昨日のこと無かったことにしてやる。だから、今日出社したら真っ先に冗談だったと皆に説明して欲しい。それだけで良い」
真剣な人に許さんと言えるほど俺は強くないし、ましては真剣な表情で女性に見つめられる事自体初めてだから思わず許してしまった。声もちょっと上ずってしまう失態、弱みでも握られていないか心配になる。
「分かった。それで許してくれるなら早速話を片付けるよ。立ち話もなんだし、店に入ろう」
一気に杞憂になった。
てっきり突っ込んくると思ったが、安心し、ほころんだ顔で言い、先に店に入って行った。
「あんな顔するんだ」
と、一人店外でそう呟いて、彼女の後を追う。
店内は想像通り広かったが、大して装飾品など無く、どこにでもありがちな喫茶店的な感じな造りだったけど、料理の量と質は今まで見て食べて一番だった。そして一之宮が言ってた通りか、人は大して多くなく、初見の俺でもわかる全員常連だ。
少し周りを見て、店内の一番奥の席に座る。一見様の俺達には中央に座る気がしなかった。
二人同時に座った瞬間に、ビッシと決めた黒いスーツを着ている男の店員が注文を聞きに来る。あまりにも早すぎてメニュー表に触れる事すら出来なかった。
「アイス二つで」
一之宮に相談せず言う。
怒るかなと思ったが、うなずいた。
「アイスにはガムシロお入れしますか?」
と、店員が言う。
「入れてくれ」
「私はいい。ストレートで」
「かしこまりました。バイキングはあちらでご自由にどうぞ、スープはコンソメとカボチャのポタージュです。専用のカップで。それではごゆっくりどうぞ」
言い残し、店員立ち去る。
ほんの数秒の出来事だったが、まるで嵐が着たいみたいだった。
「店員のスピード早かったな」
「早すぎだ。俺達みたいな初めての客にはきついぞ」
「マニュアルか、ただ暇なのか、分からんけど、鈍い奴よりはマシだ」
近場に居ないことを確認し、評価する。
「確かにな。それよりも食べ物取りに行くぞ、せっかくのバイキングだ」
「会話よりも、メシか。ある意味本能のままだな」
立ち上がりつつある俺にカチンと来る一言を放つ一之宮。先の反省はどこに消えたと言いたいが、またややこしい事態になるのはごめんだ。無視してバイキングコーナーに向かった。
――こうして一時的だが、結婚騒動は収束した。
しかし、一度広がった噂は簡単に消えなかった。、
応急処置みたいな作品で申し訳ありません。
次回は、全キャラ登場です。更に面白く書かせてもらいます。楽しみにしていてください。