歩行者1
二度目の投稿です。まだ内容はそれ気味ですが、お試しと実験を行ってるためお許し下さい。
基本的に私は、王道じゃなく、新しい物語を作っていきたい所存です。
楽しんでくれたら救いです。
案の定両足が痛い。
仕事に支障はないけど気持ち的に苦しい。休みたい。
しかし、休んだら休んだだけ後々金銭的に、居場所的に苦しくなる。
布団に包まれながら両方の気持ちを天秤にかけて、どっちをとるか究極の選択に挑むが・・・すでに答えは決まっている。
「よし、起きよう」
俺自身に掛け声を出して、だるい体を強引に起き上がらせ、化粧台へと足を向かわせる。鏡にひどい形相をしている俺が写り、グチャグチャの髪形、酷いの一言だけじゃすませられない俺が居た。
間違いなく、昨日のマラソンと、連日のハードワークがついに俺を本格的に襲い始めているのを実感せざるおえない。しかし、先と同じように休む訳にはいかない、ましてはこんな顔で営業に行かないといけないなんて・・・今日は惨敗の予感がする。
◇ ◇ ◇
アニキから別れて次の日。俺は朝から学校、俺の机で顔を隠しながら寝ていた。
もう何時から寝て、何時まで寝たのかもうわからなくなった時、ふと身近な人の気配を感じた。
「幸一! お~い、聞こえてますか?」
・・・一応恋人の広美が叫んでいる。怒鳴らなきゃ可愛いけど、こうもうるさいとな・・・。
とりあえず寝たふりをかまして、昨日の失敗を思い出す。
確かギタープログラムを停止させただけじゃなくって、歩行用のプログラムまで停止させて、復旧不能させてしまって、俺が担いで帰るはめになったんだ。機械本体と諸機材合わせて総重量五キロ。初めて朝帰りさせたのは広美じゃなく、こんな無機物のロボに・・・不甲斐ない。起きたくない。
そんな思いを彼女には教えてない。揺さぶる動きが激しくなる。このままじゃ痛い思いしないとけなくなる気がする。覚悟を・・・。
ゴン! 頭に鈍い音と、鋭い痛みが広がる。広美が拳骨したんだ。痛い!
これは一刻を争う。二打目が来る前に――!
勢い任せに顔を上げ、広美と目を合わす。
「!」
不意に顔を上げたことに広美は驚き、二歩下がり、俺が察した通り二打目の拳骨を食らわせよとしていた右腕のやり場に困る。
「起きました。いい一撃でしたよ」
「一撃出す前に起きて。また皆にからかわれちゃう」
「別に問題ないだろ? もう付き合ってるだから。付き合う前とか、付き合いたくない人とじゃ、からかわれたく無いけど・・・なっ」
と言い返す。
「・・・確かにそうだけど。普通の・・・」
「どの基準? 普通、バカップル。よく分からないことを出してくる連中なんて、無視すればいいのに。俺たちは俺たち」
「・・・はぁ、つまらない考え」
口調だけじゃない、表情でもあからさまに分かるように言う。本当につまらなさそうだ。呆れてる。
「・・・ゴメン。昨日ちょっとあって、今日はいつも以上に調子悪くて、気分を悪くして・・・ゴメン。本当に・・・」
場の空気が最悪になる前に慌てて謝る。何時もなら俺の冷たい言葉も簡単にスルーして自分の話を始めるのに、今日は違う。何かが違う。ロボ馬鹿の俺でも分かる。
言葉に添えて両手合わせ、広美に向ける。
「・・・・・」
何も喋らない。表情も変わらない・・・。
最悪な予感が頭によぎった瞬間、広美の口が開いた。
「何があったの?」
「・・・えっと。アニキと話終わって、俺も帰ろうと思ってバクにかかっていたロボのプログラムを書き換えたら・・・全部消えて、復旧させる奴でもダメな程の重症で・・・結局、自力で持ち帰って朝帰り。寝る暇もなく登校、今現在ダウン中に広美の拳骨を食らって説教を受けてる次第でございます」
チャンスとばかりに昨夜のこと全部言った。言い方や、丁寧な言葉など無視して徹底的に・・・。
「・・・やっぱり、そんなことだと思った。そんなことがあったら私のケータイに連絡してと、何度も言ってるでしょ。もう! 幸一のロボって、そんなトラブルばっかでしょ!」
ごもっとなことを言われる。でも・・・。
「彼女にそんなことさせられるわけないだろ。そもそも、夜中じゃないか。危険だろ」
「それはお互い様よ。現にも、警察に通報されそうになったじゃない。そのアニキさん・・・いや、佐々木さんに助けてもらって・・・とにかく、連絡して。関係な人まで巻き込まないで」
「・・・御もっともです。その時はよろしくお願いします」
こういう時、女が強い。それは歴史が証明してるし、目の前でも証明された。終始頭を下げるが一番。しかし、心配されてると思うと、心と言われてる場所が苦しくなる。少しは自重した方がいいかと思う。
一応心配してくれる人がいる以上。
「それでよろしい。じゃあ早速今夜、幸一の演奏会行っていい? そのことを話そうと思って、来たんだけど・・・寝ていていたから話それちゃったけど」
・・・・えっ⁉ なんだって! あんな恥ずかしい演奏会を見に、聞きに行きだと。ダメだ。
断ろうと身構えようとしたが、今までで最高の笑顔をしていて、俺が気に入って広美に着けさせようとした白いカチューシャを装着してるのを今気付いて、「来るな!」など言えるほど、俺は強くなかった。だって・・・可愛いんだ。
◇ ◇ ◇
「死相出てるよ佐々木さん」
全身から放たれているい痛み耐えながら早五時間。同期で、隣のデスクでノートパソコンで作業している一之宮さんに指摘を受ける。ショートの黒い髪が印象的で何でもできる女性。同じ年なのに、俺よりも高く評価されてる。
「そうっ? 出てる」
「ばっちりと」
ああっ! せめて彼女だけには気付かれたくなかった。
「昨日無理して歩いたんでしょ。今日営業なくて良かったね。私なら、アポとっててもそんな話してないといって、門前払いする。そんな顔してる人と仕事の話したくない」
傷つくことを平気で口にする。
「・・・・」
「何か喋れ。心配してやってるのに、まるで私がイジメているみたいじゃないか。株を落とすようなまねはするな」
そんなこと言うような奴が心配してるなど思うか。それにお前に心配される筋合いは無い。余計なお世話だ。
嫌なことの九割近くが彼女だ。
「・・・ったく。こっちが好意に接してるのに、その態度はないな・・・も少し私をみろ」
聞き違いか? 今好意と聞こえた気がした。
「今好意と言ったか?」
「・・・そこは反応するんだな。興味あると見た」
引っかかったなと言いたそうな、企みを秘めた嫌らしい笑顔で俺を見る。初夏なのに、エアコンも節約モードでそんなに涼しくないのに、身体全体から床冷えに似た寒気が、いや最悪の悪寒が出てきた。
地雷踏んだか? そうとう高い確率で踏んだんだ。
「・・・何が言いたいんですか? 一之宮さん」
「言った通りだ。折角だから、改めて言わせてもらおう。私一之宮美幸は佐々木一馬に絶対的信頼をよせてる。好意だ。だからこの時間をもって、結婚前提にお付き合いさせて下さい。以上」
「・・・・」
この状況に対して俺は何て言えば良いんだ? 仕事場で俺が苦手な女性にプロポーズを受けた。何の身構えも出来ずに。今まで好意みたいなこと言われてないし、されてもないのに・・・今、好意と言われて、挙句の果てにプロポーズ。ありえない! 絶対にありえない。
脂汗が出てくる。俺が思ってる以上に焦っている。
理性どころか、本能も追いつかん。
「返事はいつでもいい。君を私以上に好意を持つ女性が現れたら潔く諦めよう。現れたらの話だが・・・。滑り止めとして見てくれ」
頭が真っ白になりかけてとたん、今度は自信ありげに笑う。ように、この俺を好きになるような奴は私以外に現れない。私しか居ない――。
屈辱にも俺はこの時間をもって一之宮美幸に拾われたことになった。
最悪だ!
「お前に拾われる筋合いは無い!」
「静かにしろ。佐々木」
井上課長が静かな怒りを込め、俺を睨む。何時もなら空気みたいにあまり存在を出さないがここぞの時は、計り知れないパワーだす人だ。
「す、すみません」
「以後気を付けるように・・・・おめでとう」
課長のデスクまで結構距離あるけど・・・聞こえていたみたいだ。
会社で、社会的な死を迎える。これで、今後仕事がしずらくなる・・・。
「責任とって。一馬さん」
とどめを刺すように、一之宮さんが言う。
そして一瞬だが、一之宮さん以外の全員の視線が俺に集中した。完全に最悪だ!
◇ ◇ ◇
ウィー。ウィー。ウィー。と、不思議な機械音を響きだしながら歩く俺のロボU-02と広美と俺。完全におかしな一団だ。変な物を見るような視線が格段に多い。さき、家族ずれの男の子が「あれ何?」とお父さんと、お母さんに聞いていたが「見ちゃダメ」と、男の子の目を手で隠しながらお父さんが抱え逃げて行った。
――あそこまで露骨にやるかよ。かなり萎えた。
でも広美はそんなことを気にせず。俺に色々な話題を聞かせ俺に微笑みを見せてくる。
「よく作れたわね二足歩行のロボ。これ結構難しくない?」
学校のことや、最近できた新しい雑貨屋の話から急に俺のロボの話になった。
「組み立てはそう難しいものじゃない。しかし材料調達や、組み立てまの設計が難しい。部品は親父の工場で、昼勤から夜勤に代わる一時間の間だけ作ることができるからいいけど・・・あとは根気だな」
「工場って、機械動かせるの?」
目を見開いて俺を見る。
「当たり前だろ。それぐらい動かせなきゃロボなんて作れないし、ましてはプログラムなんてな・・・記憶がない頃から工場で遊んでいたから、ある程度の動かし方や、設定などできる。
俺がよく行く溶鉱炉担当の班長に、一気に出世できると言われたし、板金の方も俺のこと高く評価してくれたからな・・・」
「何気にすごいこと言ってるの! 起用すぎるわよ」
両手をばたつかせ驚きと、困惑した顔で俺を見る。そんなにすごいことなのか?全然思わない。
俺の親父はこの町で一番大きな工場を運営していて、各方面の工場部品提供や、車のフレーム板金など引き受け。大きな評価を受けていた。
家は金もちで、裕福な暮らしをしていた。
そのせいか、一般的な小学校、中学に通っていたけど誰も友達はできなかった。高く見られ、別格扱いされていた。
だから俺は工場で遊び始め、最初は危ないから近づくなと怒られていたけど機械の操作を覚え、お手伝いとして働き、工場で動くロボットアーム等に魅せられていた。
気付けば、ロボつくりに没頭していたから・・・それだけ。
「別に。大したことじゃない。俺の遊び場だから」
広美は、そう・・・っ言い、まだ聞き足りないような、不満が残る言い方でいう。このことを話すのはまだ先だから、許してほしい。
どうこうしてる間に、駅にたどり着く。
いつもの場所にロボを置き、俺の正面に簡易椅子を置き、広美を座らせる。
ここから本番だ。
U―02の胸にある入力装置にUSBケーブルをさし、手持ちのノートパソコンからプログラムを入れようと立ち上げた時だ。
「キャッ!」
と広美が叫んだ。
何事だと、後ろを振り向き広美を見る。
震えながら俺に指を指している・・・ように見えたけど、目線が俺よりも奥を見ている。俺の背後に何かいる!
「さ・ち・い・ちぃ・・・!」
唸る声で俺を名前を呼ぶ! 恨まれることしました?
勇気を振り絞り、勢い任せに後ろを振り向いた・・・・!
「アニキ!」
広美を怖がらせたのは、幽霊じゃなかった。俺を助けてくれた佐々木さんだ。
しかし、昨日とはうって違ってにも死にそうな顔をしている。それに白いシャツ、クールウィズ、仕事上がりだとわった同時に酒臭い。何があった。
「・・・えっと! この人が例のアニキさん」
怖がっていた広美。俺がアニキと言ったとたん正気に戻り、一気に状況を理解し、駆け寄ってきた。
「そっ、そうだけど・・・今日はいつも以上におかしい」
二人ですこし混乱してる最中、アニキがさらに唸る。
「春と冬が一気に来た!」
意味の分からないことを叫んでアニキは落ちた。
このまま放置するわけにはいかず、目を覚ますまでここに二人で止まることにした。
本当にそれました。急なプロポーズ申し訳ありせん。ですが、これが王道を行かないと決めた自分の覚悟です。全キャラ上手に配置できるように頑張ります。
最後に、週一投稿を目指します。仕事上時間が取れません。よろしくお願いします。