エピローグ
(ピンポーン)
控えめなチャイムが鳴る。
「パパ、宅配便じゃないかしら。今ちょうど食器を洗っていて手が離せないの。代わりに受け取ってもらえる?」
「もちろんだよ」
蒼汰の父はエプロン姿の母に応じ、軽い足取りで玄関へ向かった。
「はい、ありがとうございます。暑いですから、どうぞお気をつけて」
ドアが閉まると同時に、父はつやのある箱を両手に抱えて戻ってくる。
「さあ、みんな。山形のおばあちゃんから、フルーツゼリーが届いたぞ」
「やったー!モモと、ぶどうと、さくらんぼと、ラ・フランスだ!ぼく、ぜんぶ食べたい!」
「蒼にいちゃんだけずるい!あたしも食べるもん!」
「あらあら、蒼ちゃん。みんなと仲良く分けてね。ママもひとつ、いいかしら?」
「えー……しょうがないなあ」
蒼汰は箱を見つめ、少しだけ考えてから、胸を張って言った。
「じゃあ、お兄ちゃんと雪乃は好きなの取っていいよ。ママは、大好きな緑色のぶどうね!」
「ありがとう。蒼ちゃん、優しいのね」
母は微笑んで続けた。
「じゃあ、おばあちゃんにお礼の電話をしよっか。……電話番号、覚えてる?」
「ぼく、わかるよ!」
蒼汰は受話器を握り、慎重に番号を押していく。
「えーっと、ぜろ、にい、さんの……それから……さいごは――『いち、はち、さん、さん』!」
(プルルルルル……)
「あ、おばあちゃん!」
蒼汰の弾む声が部屋いっぱいに広がった。
「蒼汰だよ!フルーツゼリー、届いたよ!ありがとう!
うん、雪乃たちにも分けてあげたの!ぼくはね、一番好きなモモから食べるんだ!
また、おばあちゃんちに、あそびに行くね!」
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
人生で初めて小説めいたものを書き終え、主人公の蒼汰をはじめ、自らキャラクターを生み出し、物語を膨らませていく楽しさを知ることができました。
またいつか、別の作品にも挑戦してみたいと思います。
ありがとうございました。




