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第69話 銀河を埋め尽くす悪意、切り開く意志

 リサイクル・ユニオン全艦隊が進撃を開始したのと同時に、虚空領域からも敵の大軍勢が溢れ出した。

 その数、推定3億。

 視界を埋め尽くす黒と銀の奔流が、防衛ラインへと押し寄せる。


「来るぞ! 撃てぇぇぇ!」

 ガルドが叫ぶ。


 ズガガガガガッ!!

 両軍の火線が交錯し、宇宙空間が閃光で白く染まる。

 爆発、爆発、また爆発。

 だが、敵の数は減らない。倒しても倒しても、次から次へと湧いてくる。


「くっ、キリがない!」

 カトレアが旗艦のブリッジで歯噛みする。

「近衛艦隊、前へ! 主の道を塞ぐ者は斬り捨てろ!」


 彼女自身もモビルスーツ『ヴァルキリー』に乗り込み、最前線で大剣を振るう。

 一振りで数体のデーモンを両断するが、すぐに囲まれる。


 その時、敵の『斬撃将軍』がカトレアの前に現れた。

『……また会ったな、女騎士。……今度こそ首をもらうぞ』


「望むところだ! 我が剣技と貴様の鎌、どちらが速いか勝負だ!」

 カトレアと斬撃将軍の一騎打ちが始まる。


 一方、後方支援部隊では、ルナと元司祭が共闘していた。

「いくよお姉さん! タイミング合わせて!」

「指図しないで。……『深淵の祈り』よ、敵を縛れ!」


 元司祭が呪文を唱えると、ヴォイド・デーモンの動きが鈍くなる。

 そこにルナが聖銀弾の雨を降らせる。

「ヒャッハー! 浄化祭りでーす!」

 意外と相性のいいコンビだ。


 そして、中央突破を図るアーク・ノヴァ。

 アランは指揮官席で、戦況図を睨んでいた。


「敵の防衛網が厚すぎる。……このままじゃ、パンデモニウムにたどり着く前に消耗し尽くすぞ」


「総裁。……一点突破のための『クサビ』が必要です」

 サレクが提案する。

「私の計算では、敵の陣形の『結び目』……指揮系統の中継ポイントを破壊すれば、一時的に包囲が崩れます」


「場所は?」


「座標X-204。……敵の『知略参謀』がいる旗艦です」


 知略参謀。

 巨大な脳髄の姿をした悪魔。奴が全軍をコントロールしているのだ。


「狙い撃つぞ! ……スペック、転送砲の準備は?」


「完了しています。……弾頭は『超圧縮廃棄物ゴミ』です」


 アランはニヤリと笑った。

 リサイクル・ユニオンの十八番。

 ゴミを兵器に変える錬金術だ。


「よし! ……プレゼントだ、受け取れ!」


 シュンッ!

 アーク・ノヴァから射出されたコンテナが、空間転移で敵旗艦の内部へと送り込まれる。

 その中身は、不安定なプラズマ廃棄物と、クローネ博士特製の『爆発性スライム』。


 ドグォォォォォォン!!


 敵旗艦の内部で大爆発が発生。

 知略参謀の断末魔と共に、敵の指揮系統が麻痺する。


「今だ! 全速前進!」


 アーク・ノヴァが加速する。

 混乱する敵陣を突き破り、ついに敵の本拠地――魔城パンデモニウムが、その禍々しい姿を現した。


「……あれが、魔王の城か」

 アランは息を呑んだ。

 惑星サイズの城塞。

 その頂上には、銀河を見下ろすように、巨大な玉座が浮かんでいる。


 最終決戦の舞台へ、役者は揃った。

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