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ツノとしっぽと羽根とウロコ

掲載日:2025/11/14

「ねぇ、私のツノ、受け取ってくれない?」


今にも息絶えようとしている獣人の老婆が、

美しい光沢を持った黒いツノを、ゆっくりと私の方へ差し出してきた。


「もちろん、必ず待ってるからね」


私がそう言うと、彼女は安心した様子で優しく目を閉じた。


友人はいつも、私の10倍早く歳を取る。

そのため、私よりずっと早く死んでしまう。


しかし、彼または彼女は、命を終える度に違う種族となって生まれ変わり、必ず私の所に訪ねてくる。


そして、合い言葉を言うのだ。

「しっぽと、羽根と、ウロコ!」


今回は山羊の獣人として生まれてきて、そして亡くなった。


その前はペガサスで、尻尾の一部を、

さらにその前は白鳥で、羽根を1枚、

さらにそのまた前は竜人で、ウロコを1枚くれた。

それより前は忘れてしまった…


毎回100年ほど一緒に過ごせるが、亡くなると10年は会えない。

赤子が這ってくるわけにもいかないので、当然だ。


この世界には私と友人の2人しか存在しておらず、

友人がいない間は、暇を持て余しているので、友人のための日記と詩を書きためている。


もう出会った時のことは覚えていないし、なぜいつも一緒にいるのかも分からない。


だが、気が付くと隣にいる。


今日は、君との何度目の別れだろう。

次の出会いを信じて、今日は君のために何を書き残そう。


私は黒く美しい光沢のツノと、枯れ枝のように細くなった手を優しく抱きしめ、

友人との100年より長く感じる10年をどうやって過ごそうか思案していた。

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