窓用エアコン雑感
窓用エアコンという存在は、家電の世界における日陰者だ。
誰もが最初に選ぶものではない。むしろ選択肢が他にないときに、やむを得ず手を伸ばす類のものである。私もその一人だった。部屋のエアコンが壊れ、修理業者の「かなり時間がかかります」という一言に、真夏の死の予感を覚えた瞬間、アマゾンの検索欄に「窓用エアコン」と打ち込んでいた。
購入したのはCORONA ウインドエアコン (冷房専用タイプ) 液晶リモコン付 シェルホワイト CW-16A(WS)。
お値段37,000円。
名称をそのまま検索欄に入れれば、今でも同じものが買えるだろう。
箱から取り出したとき、まず驚いたのはその存在感だった。見た目以上にでかい。そして重い。まるで小型の冷蔵庫を窓に取り付けるような錯覚に陥る。工事不要とはいえ、窓への設置は一苦労だ。重量との格闘は、真夏の暑さの中では特に堪える。とはいえ、頑張れば女性一人でも取り付けは可能な程度ではある。
動かしてみると、評判通りの轟音が響く。
この辺はガシッと固定し、わずかな振動も許さないように設置すれば大分マシになるが、完全に静かになることはない。
冷却能力は正直に言えばしょぼい。ワンルームの半分くらいをカバーするのが精一杯。書斎のような小さな空間なら十分涼しくなるが、広い部屋では力不足は否めない。それでも灼熱の夏に冷気を感じられるだけで、ありがたみは十分にある。
窓用エアコンの存在意義はその限定的な状況にある。
間に合わせとして。工事ができない物件の救世主として。選択肢がないときの最後の砦として。これらの状況下では、その欠点も含めて受け入れざるを得ない。いや、むしろ感謝すべき存在となる。
3万から5万円という価格は、通常のエアコンと比べれば安い。しかし性能を考えれば決して安くはない。それでもエアコンなしでは死んでしまいかねない真夏の日々を思えば、この投資は命を守るための必要経費だ。
窓用エアコンは理想的な冷房器具ではない。
しかしそれしか選択肢がないとき、この無骨な機械は確実に仕事をしてくれる。轟音を立てながら、限られた範囲ではあるが確実に涼しくなる。
もし今、エアコンのない部屋で夏を迎えようとしている人がいるなら、窓用エアコンという選択肢があることを伝えたい。完璧ではないが、無いよりはずっとマシだ。
使用した事のある私だからこそそう断言できる。