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虚無へと消えゆく意志の果てに

作者: Mat0Yashi_81

 



 私は、神であった。

 誰よりも強く、偉い神。


「ふふ・・・」


 全ての存在が、跪く。

 跪いて、私によって、管理される。

 それこそが、今までの、理。


「・・・・・」


 だが、それは変わる。

 きっと、変わりゆく。

 この世界に満ちる停滞を、壊すために。


「我が・・・名は・・・・・」


 我が名は、ジェイド。

 管理者と、皆は呼ぶ。

 人の子を抱き、育てた。

 神へと昇華する、純粋なる器として。


「時・・・代、を───」


 新たなる時を、進めるために。


「変、え・・・る」


 管理者として、全てを良い方向へ、導くために。


「・・・・・」


 微かな光輝に、手を伸ばす。

 忘れるな、と、願う。

 きっと成り得る、あの子のために。


「嗚、呼」


 きっと、私は。

 死にたくないと願った、私は。


「ふ・・・・・」


 でも、終わった。


「ふふ・・・」


 私の役目は、終わったのだ。


「・・・はは」


 身体が崩れ、塵と化す。

 私の痕跡は、きっと、微かに残るのみ。


「・・・・・ははは」


 空を見上げて、力いっぱいに笑う。

 全てを飲み込み、消し去る力。

 皆が恐れ、跪く力を、この手に持つものとして。

 最期は、きっと、これで良い。


「・・・は、は」


 我が名は、ジェイド。

 世に繁栄をもたらし、新たなる秩序を創った。

 人の子をこの胸に抱き、次なる時代を創った。

 それらが、それらだけが、私にとっての、誇り。


「は・・・」


 声が、消えていく。

 虚無へと、溶けていく。


「・・・・・」


 すまない。

 そして、さようならだ。


「・・・」


 虚無へと消えゆく意志の果てに。

 私は、きみの無事を祈る。




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