No.1 自尊心低めの天才魔術師は今日も無自覚に同期を煽る
この作品は、あらすじもしくはプロットです。
「ああ! またやってしまいました!」
黒いマントで全身覆われた魔術師が、身をかがめ顔を覆いながら嘆いた。目の前にはすでに物言わぬ躯となった魔獣の群れ。彼の後ろには彼同様黒いマントで覆われた、無言の魔術師同期たち十五名。
「申し訳ございません! またしても失敗してしまいました。ハントドックごときに乱舞の炎を三回も使用してしまうなど魔術師の名折れ。我が死を持ってお詫いたします」
「待て待て待て」
嘆くのは王国魔術団の一員、魔術師エピ。国境付近に異常発生したハントドックと呼ばれる大変厄介な魔獣を、彼はつい今しがた一人で討伐したところだ。国軍が通常の部隊では手に負えないと判断し、精鋭である魔術師団のメンバーを十五人も投入しなければならないと判断した魔物。
しかし彼は大変厄介な魔術師。自尊心が低すぎるためすぐにくよくよする。くよくよするだけならいいが、死をもってお詫びしようとしがちだ。
「止めて下さるのですか! 師団長殿! 私の思考等及ばない叡智をお持ちの師団長殿が止められるのだ。そこには深淵なる理由があるのですね! 乱舞の炎如きをまともに使えない愚かなる私の命、今回もまた団長殿にお預けいたします!」
ちなみに乱舞の炎を扱える魔術師は片手で数えられるくらいしかいない。エピの無自覚な煽りに今日も同期は胸をえぐられるのだった。
ーーこれは自分が天才だと知らずに、無双しては同期を煽りちらす魔術師エピのお話。