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『速記の反訳二千度する者、すごろくに負けること』

作者: 成城速記部

昔、ある人の家来である若侍がいた。これといってすることもなかったので、普通の人は速記の反訳を千回するところを、倍の二千回したのだった。その後、同じような年ごろの若侍とすごろくをして、大きく負けてしまった。支払うものが何もなかったので、大層責め立てられ、考えたところ、私には、持っているものといっても何もないが、速記の反訳を二千回したという、ほかの者にはないものがある。これをお渡ししよう、と言うと、周りで聞いていた人たちは、何をばかなことを、といって笑ったが、すごろくに勝った侍は、それはおもしろい、お前がそれをくれるというならもらおう、と言ってすぐ、いや、今受け取るわけにはいかない。三日後に、お前は、これこれこういうことで誰々に渡すのだと言うことを証文に書いて来い。それから受け取ろう、といって、負けた侍は、そのように約束した。勝った侍は、それから三日間、精進潔斎して、証文の受け渡し場所である清水寺に向かった。僧を証人に、証文を受け取り、伏し拝んでうやうやしく退出した。

その後、ほどなくして、負けた侍は、本当かどうかもわからない罪で捕らえられてしまった。勝った侍は、思いがけないことが続いて、大層昇進したということである。目に見えない者ではあるが、きちんとした態度で受け取ったことが、速記の神にも通じたのだろう、と、人々はうわさしあったということだ。



教訓:ばくちで身を滅ぼさないよう気をつけよう。速記で身を滅ぼすことは、あんまりない。

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