夜明けを告げるもの
ごきげんよう、ひだまりのねこですにゃあ!!
さて、私のエッセイを読んでくださっている読者さまであればご存知かもしれません。
私は人一倍鋭敏な聴覚を持っておりまして……
コンサートやカラオケには絶対に行けないという悲しい人間なのです。
私自身は滅多なことで怒ることはなく割と温和な方だと思っているのですが、そういう事情もあって爆音だけは本当に駄目。仕方がないものは我慢しますが、ワザと大きな音を出す人には般若のごとくキレます。
この感覚は絶対に理解してもらえないんですよね。乱暴な言い方をすると、バットで頭をいきなり殴られたような……そんな経験ないんですけどね。それぐらい本当に衝撃を受ける。
特に車やバイクのエンジン音やブレーキ、クラクション、救急車のサイレン、アラームといった機械系の人工音は頭が割れそうになる。具合が良くない時などは、その場で座り込んでしまうほどのダメージを受けるのです。
昔、先輩に大声で話す人がいたのですが、私はいつもセーフティな距離を取らせていただいておりました。たぶん先輩は私に嫌われていたと思っていたかもしれませんが、嫌いです。
そんな私が住んでいる地域ですが、非常に残念なことに走り屋の方が多く住んでいます。
しかもいわゆる昔ながらのヤンキーではなく、金持ちのボンボンが親の金で改造した高級外車を乗り回すという、一番許せないタイプの迷惑な人種です。
いや別に走るのは良いんですけど、大音量で音楽流しながら、エンジンふかすのやめていただけませんかね? 吐き気が止まらなくなるんですよ本当に。
精神病むから音量規制してほしい。切実に。
そして、私の家の前の駐車場には、そんな方の車が駐車しており、毎晩深夜に爆音を鳴らしながら出かけてゆくのです。
ええ、私が眠りについた頃に起こしやがるのですよ、はい。
ただでさえ音に敏感で眠りが浅い私。一度起きたら眠れません。
それでもなんとか眠りについた午前4時……
爆音を鳴らしながらご帰宅されるのですよ、にゃあああああ!!!!
最初の頃は、どうせ若気の至り、そのうち終わるだろう……なーんて思っていました。
おい、何年若気至ってんだよ!? いい加減にしろや、にゃあああ?
若者じゃないなら、永遠の少年か? 嫌いじゃないが山奥で虫でも採ってろ!!
耐えて耐えて我慢して我慢してきましたが、さすがに訴えたくなるレベル。
ある日、偶然そのご本人を見る機会が。
……なんだこの美女は。
ふわさっ、そんな音が聞こえて来そうなロングの黒髪。絶対に5万以上するブランド物のサングラス。ここはサーキットですか? というガチのツナギ。ああ、これは主人公か謎ヒロイン。
み、見た目はともかく、どうせ酒とたばこで焼けたハスキーボイス(偏見)だろう?
あ!? 見てんじゃねえぞゴラッ!! とか言うんだろうね。
「おはようございます!!」
くっ、笑顔が眩しい。鈴が鳴るような可愛らしい声。ま、負けた……(何に?)
「先生、急患です!!」
「……わかったすぐに向かうわ」
愛車のエンジンに火を入れる美人女医。
「……まったく、寝不足はお肌の大敵なのに」
……ふう、まあそれなら仕方ないか。人命は地球より重いわけだし。
そんな妄想をしながら、今夜も爆音に耐える私なのです。
え? どこから妄想かって? 女医さんのくだりからですよ、にゃふふ。