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ソルの恋 -悪役令嬢は乙女ゲー的な世界で愛を知る?-  作者: 漆沢刀也
【第二章:学友編】
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第25話:決意と計画

 その晩、ソルはベッドの上で膝を抱え、親指の爪を噛んでいた。

 まだ、決断を下すには時間がある。そう思っていたが。

 まさか、自分がアプリルに構った副作用として、彼が女子の間でも評判になってしまうなんて、思いもしなかった。そこそこの見栄えになったのは、自分としてもまあ、悪い気分ではなかったのだが。


 やっぱり、アプリルに対する想いは、まだ淡いものだと、ソルとしてはそう判断している。

 けれど、他の女に掻っ攫われるのを許せるかというと、全然許せない。

 ならば、自分から先にものにしてしまうか?

 それもまた、難しい。


 一つ目の理由。これまでにも散々言い聞かせているが、アプリルを添い遂げる本命として想えるかというと、自分はそこまでの想いには育っていないと判断しているため。

 第二の理由。アプリルが自分のことをどう思っているのか。分からないため。告白して、そこでフラれる可能性は高い。真っ正面から、分の悪い賭けをするのは、得策とは言えない。

 第三の理由。自分から告白するなど、乙女心的にNoである。絶対にNoであるっ! 仮に彼と付き合うとしても、アプリルから誠心誠意、身も心も尽くすと宣言されたなら、まあ考えてやってもいい。


 これらの条件を考えた上での理想的な展開とはどんなものか?

 それは勿論、アプリルが真っ正面から告白してくるというものになる。

 選択の権利。考える時間的余裕。乙女心的な満足感をすべて揃えた展開だ。


 しかし、ソルは舌打ちをする。

 問題は、そんなご都合主義な可能性はあまりにも低すぎるということだ。ここしばらく絡んで、多少なりとアプリルの性格は理解したつもりだが。あいつは、絶対にそんな真似はしない。

 乙女心? 何それ食えるの? と言い出しかねないくらいに朴念仁だ。


 自分のアドバイスを受け入れて、それを気に入ったのか髪型をその通りのままにする程度には、少しくらい自分を意識しているかも知れないが、それだけで積極的に行動してくるようになるとは思えない。

 では、自分から彼に対し、告白させるように向けるか?

 それも却下である。


 そっち方面の駆け引きというのは、悲しいかな前世でも経験が無い。経験が無いものを実行するのは、リスクが高すぎる。だいたいにして、そういうアプローチを仕掛けていくというのが、見方を変えれば自分から「好きです」などと告白しているようなものではないか。

 それに、そういう真似を上手くやれるとしても、時間が掛かりそうな気がする。

 その間に、横からあの女達の誰かが彼を掻っ攫っていく可能性もある。あの朴念仁が相手である以上、彼女らも失敗する可能性の方が高いとは思うが、リスクは無視出来ない。

 つまり、ここまでの条件を整理するならば。


 一つ。自分から、アプリルを捕らえ、逃げられないようにしないといけない。

 二つ。計画の遂行は、なるべく速やかに行うことが望ましい。

 三つ。あからさまに告白という形には持っていかない。


 これらすべての条件をクリアしなければならないというわけだ。

 なかなかに、難問のように思える。


 しかし、ソルはやがて、笑みを浮かべた。

 難しく考えることはない。要は、相手に否が応でも言う事を聞かせること。ここが肝要なのだ。

 そういう手段であれば、得意とするところだ。

ソル「逃がしませんわ……あなただけは」

リュンヌ「何のゲームのラスボスですかと」

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