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ソルの恋 -悪役令嬢は乙女ゲー的な世界で愛を知る?-  作者: 漆沢刀也
【第一章:転生編】
1/177

第1話:とある報われない恋の結末

一応、ほぼ全話分のプロットは用意しているので、失踪は無いと思います。

途中で、実際に書いてみたら……と、微調整が必要になって、滞ることはあるかもですが。

予定通りなら、全7章で完結の予定です。


初日に10話。その後は現時点のストックが尽きる、だいたい3章が終わるあたりまでは、一日一話のペースで投稿しようと考えています。


・追記

3章以降は概ね、週末に一話ペースで投稿しています。


2024/04/20

AIイラストで挿絵を挿入。少しずつ、投稿済みのエピソードにもこういう挿絵を追加すると思います。

もし、リクエストがあれば歓迎です。やれるかどうかはともかく、出来るだけやってみたいです。

 漸く、ここまで辿り着けた。

 彼女は笑みを浮かべる。見る者に漆黒の薔薇を想起させるような、そんな美しく高貴で、トゲのある笑みだ。

 国の中で最も格式のある教会。その奥で、彼女は純白のウェディングドレスに身を包み、慎ましく佇む。


挿絵(By みてみん)


 向かいに立つのは、この国の王子にして第一継承者。金糸のごときブロンドに、サファイアのような蒼い瞳を持つ、美青年だ。

 聡明で優しく、まさに彼女にとっての理想の男性。


 これまでは、彼を手に入れるためだけに生きてきたと言っても過言ではない。

 公爵家に生まれ、彼に近づける境遇。それだけは、これまでの生涯で唯一の幸運だった。


 けれども、敵は多かった。

 そんな数多のライバルをありとあらゆる策謀を駆使し、蹴落とし、死山血河を築いた。

 気の安らぐ一瞬など、ありはしなかった。


 だが、そんな長い戦いもついに終わる。こうして、愛しの王子と結ばれるという形で。

 微笑みを浮かべる彼。そんな彼を目の前にして、彼女ははにかみながらも、笑顔を返した。

 彼と共に、永遠の愛を誓い合う。

 そして、口づけへ。


 荘厳なる静寂の中で、彼女は目を閉じた。

 王子が優しく頬に触れる。大きく温かい手のひら。

 安らかな気持ち。とてもとても、安らいだ気持ち。思えば、こんな満ち足りた気持ちになれたのは、いつ以来だろう。

 でも、この瞬間くらいは、許して――


“死ぬがよい”


 不意に、目の前から冷たい声が放たれた。

 えっ!?

 何事かを問いかける前に、答えは返ってきた。


 それは、とても冷たい答え。

 しかし、直ぐにそれは灼熱の痛みへと変わった。

 彼女は目を見開いた。


 大きく口を開け、わなわなと唇を震わせる。

 恐る恐る、左手を腹へと向ける。直視したくない、けれども確かな現実がそこにはあった。硬い感触。短刀か何かの柄としか、思えない。

 彼がどこに隠し持っていたのかは分からない。そもそも、彼がそんなことをするとは想像もしていなかった。


 腹を押さえる手が、血に濡れていく。

 これは、もう絶対に助からない。こんなときだというのに、残酷なまでに冷静に、自分に対して見立てが付いてしまった。

 

"何故?"


 それは、言葉にならなかった。そんな形に、唇は動いたかも知れないけれど。

 脚に力が入らない。彼女は膝を折って崩れ落ちた。

 床に触れた、頬が冷たい。

 這いつくばりながらも、精一杯に王子を見上げる。

 彼の顔からは一切の情が欠落していた。この人のこんな顔、初めて見た。そして、決して見たくはなかった。


「私が何も知らないままだと、そなたはそう思っていたのか?」

 答えることは出来ない。

 ただ、その言葉の意味は理解出来た。

 失敗していたのだ。彼は自分の行いを知っていた。いつから? どこから? 誰から? それは分からないけれど。


 乾ききった、彼の瞳。

 それに対し、彼女は今際の際で、熱い涙が零れた。


「止めは刺さぬ。ゆっくりと死を迎えるがよい。そなたの罪を数えながらな」

 ぎりりと、彼女は歯噛みし、固く唇を結んだ。

 怒りと絶望に意識が白む。恐怖は覚えない。罪など数えない。

 遠く、自分の名前を呼ぶ誰かの声が聞こえた気がした。

 だが、どうせ罵声だ。そんな者。自分に味方する者など、もはやこの世界にはいやしないのだから。

黒髪の悪女「な、なんじゃあこりゃあ!!(血塗れの腹と手を見ながら)」

数話後に出てくる少年「そのネタは古いのでは?」

書いている人「実はよく知らないけど、それっぽいと思ったんで」

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