コインロッカーベイビー3
少女が目を覚ますと、そこは駅前の交番だった。
どうやら気を失い、介抱されていたらしい。
布団に横たわったまま視線をさまよわせていると、警察官らしき人が部屋に入ってきた。
「お、起きたようだね。大丈夫?君は駅の前で気絶して倒れていたんだ。」
「あ……すみません………」
恐縮し謝ると、警察官は笑いながら答える。
「いやいやいいんだ。ただ今朝もあんなことがあったばかりだし、なんであんな場所で倒れていたのか教えてくれるかい?」
少女は一瞬目を伏せるも、素直に答えた。
…………
「……なるほどね。コインロッカーと赤ん坊のお化け、か。」
「今朝も見た人が居て…………あ、すみません。こんなのこと言っても、信じてもらえないですよね。」
頭を下げる少女に、警察官は慌てて口を開く。
「い、いやいや!大丈夫、信じるよ!」
怪訝な表情で頭を上げる少女。
冷静になってみれば、自分が言っているのは世迷言以外の何物でも無いのに、目の前の警察官はそれを信じると言ったのだ。
少女自身、自分のことでなければ、信じる信じない以前に正気を疑ってしまうだろう言葉を。
少女の怪訝そうな表情を見て、警察官は笑う。
「ははは、警察がそういう話を信じるのが、そんなに意外かい?」
正直にうなずく少女。
警察官はそれに苦笑いを浮かべ、再び口を開いた。
「世の中にはね、科学じゃ解明できないことがたくさんあるのさ。例えば今回のこととか、ね。………………と、そんなことはどうでもよくてだ。君は今、とても危険なことに巻き込まれている。
警察官の言葉に、少女は不安げな表情をする。