コインロッカーベイビー2
その日は、朝から騒がしかった。
学校から近い、電車通学する者はほぼ全員が利用している駅の前で、死亡事故があったからである。
何人もの生徒が現場、及び遺体を見てしまい、その場で倒れる者も居たくらいだ。
当然、クラスの話題もそれ一色。
「ねえ知ってる?朝、駅前で事故があったらしいよ。」
「え~、もしかしてひかれたのってうちの生徒?」
「ううん、違うみたい。だけど酷い有様だったらしいよ。ひかれた人、どう見ても生きていないような状態だったって。」
「怖っ!そう言えば先生たちが騒がしいのもそれかな?」
「まあ、そうじゃない?それを間近で見て、気ぃ失っちゃった生徒もいたらしいし。」
「うわ〜どんだけよ…………」
「そうそう、この事故で変なモノ見た人がいるんだって。」
「え?なになに、ホラー?」
突然、話題がよくある世間話から一転。
「事故があった時…………ほら、駅ってコインロッカーあるじゃん?あそこに赤ん坊が浮かんでたって………………」
「怖っ!まじで怖いよ!」
「何でもそのひかれた人は、突然叫び出して道路に飛び出たんだって。それでそこにトラックが…………」
「まさか、その人は…………」
嫌な沈黙。
それを打ち切るようにチャイムが鳴り、教室に先生が入ってきた。
その場はそこで話は終わった。