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Neuroid-ネウロイド-皇国逆襲戦記  作者: 有邪気
序章
1/9

誕生

……西暦4776年8月11日未明。

日本皇国は、朝鮮半島の西に位置する隣国、義導共連邦国と敗戦濃厚な戦いを続けていた。

既に沖縄を含む九州全土は占領され、義導共は無条件降伏の勧告を出していた。

日本皇国は度重なる軍縮条約で地上に無人兵器が存在せず、宇宙兵器による攻撃も敵国の攻撃の撃墜以外に対して以外は制限されて戦える状況にあらず、同盟国も他国との戦争で手が出せる様な状況になかった。

そう日本の勝利は絶望的で五千年近く続いた帝国の歴史が今正に終わろうとしていた。

日本皇国中部地方の某所。

とある施設のエレベーターの中。

四人いた。

男が三人、女が一人である。

男の一人は武道を嗜んでいるのか和風の格好で袴姿であった。

四人のうち男女二人は、ラフな格好の上に白衣を身に纏っている。

もう一人は生命維持装置に繋がれた、ベットに横たわるあ生まれて間もない赤ん坊だった。

彼らは両幅三メートル、高さ四メートル半ほどの箱の中に既に三分程じっといた。

最初の浮遊かで自分たちがこのエレベーターで地下深くに向かっている事は理解できていたが、その様な浮遊感はすぐに消え去るもので、広いとは言え閉じ込められている状況になれば不安を覚えるのは当たり前であったが、彼らはそんな事を気にするような雰囲気ではなかった。

おそらく…いや確実に、原因は赤ん坊であろう。

産まれたての乳幼児が、生命維持装置に繋がれているなど尋常のことではない。

よく見れば赤ん坊は頭を丸で輪切りにする様な縫い目が存在する。

赤ん坊のベットの側では、母親であろう白衣の女がフラフラになりながら赤ん坊のベットに伏して啜り泣いている。

その様子を男二人はそれぞれ複雑な表情で見ていた。

エレベーターが止まる様子はない。

ふと白衣の男は酷薄な表情で溜息をついて言った。

「忌み子だな…」

袴の男は怒りを露わにして白衣の男に振り向いた。

「そうだろう?ただでさえ今日は義導共連邦に負けた日本政府が無条件降伏を呑むかも分からん様な日だからな。」

「あんた、なんて名前だったか?」

聞かれた白衣の男は、そっけなく答えた。

飛鳥(アスカ)。飛鳥・岡村=Dysonだ。飛鳥でいい」

「そうか…では飛鳥!それ以上不謹慎な事を口にするな。気分が悪い。」

袴の男は不快感を隠さず語気を強めて言った。

しかし、飛鳥は止まらなかった。

「事実を言ったまでだ。日本が終わるか無しれない日に無脳症で生まれて来たのだ。しかも、治療の甲斐無く医療AIは彼は決して目覚めないと迄言ったんだ。最早此れを忌み子と言わず何という。」

そう言い切る前に、飛鳥の体は壁際に叩きつけられた。袴の男が胸ぐらを掴み片手で飛鳥の体を持ち上げたのだ。

「今すぐその減らず口を閉じないと俺の拳が貴様の顔面を貫くぞ!!」

常人なら言葉を失い失禁するであろう、尋常でない殺気を放っていた。

しかし飛鳥は全く動じた様子がない。

だがこれ以上問題を大きくするつもりも無い様で、溜息をつき両手を挙げ降参した。

「OK.わかった。悪かったよ星岡龍牙(ホシオカリュウガ)。俺もお前を怒らせたいわけじゃないよ。」

表情は変わっていない。

納得もできない。

しかし今は案内してもらっている身でもある。

複雑な思いを巡らせながらも龍牙と呼ばれた袴の男は、飛鳥を放してやった。

飛鳥は襟を整えつつ、すすり泣く女の方を向いた。

直実(ナオミ)!これも全て君の行動の結果だ。」

「おい!」

「これは我々の組織の問題だ!私は幹部の末席として彼女を処断する義務がある。」

龍牙が止めようとするが、飛鳥は手を挙げて制止してきっぱりと言い切った。

「植村直実、君は自らの勝手な好奇心から無許可で星岡龍牙と生殖活動を行っただけで無く、報告を怠り挙げ句の果て逃げる様に世界中を飛び回り診察を放棄し、診察段階で治療可能な奇形児を放置し、無脳症の赤子の出産に至った!」

無能症とは大脳など脳の大部分、或いは全てを欠損して産まれる乳幼児の症状である。

4776年現在、自然生殖の子宮出産自体が珍しいが、無脳症は発生段階からの治療が可能な奇形である。

勿論、出産直後の大脳再生施術で治療は可能であるが、低くない確率で意識が戻らず、成長途中で衰弱死してしまうのである。

どうやら星岡龍牙はとある組織で管理される特殊な遺伝子の持ち主であり、勝手に子供を作れない存在であるようだ。

そこを植村直実は無許可で生殖を行い、出産に至った様だ。

「植村直実クラス4研究員、君をクラス1研究員に降格とする。」

飛鳥の顔に感情は見られない。

冷ややかで、あくまで組織の一員としての使命を全うする者の顔である。

しかしその声にすすり泣く直実は答えない。

その様子に飛鳥は蔑みと哀れみの両方の感情を持っている様だった。

「愚かな女だ。日本グリスの研究員として多大な功績を残したと言うのに、勝手な真似をした挙句親子の愛情などと言う非生産的感情に毒されるとは…」

直実は何も言わなかった。

飛鳥もそれ以上は何も言わなかった。

龍牙は無言で飛鳥の頬を殴った。

予期せぜ起こったことに対応できなかったのであろう。

威力はなかったものの飛鳥は派手に転んでしまった。

「何をする龍牙…」

飛鳥は睨みつけるが、龍牙は屁でもない様に真正面から睨み返した。

「腹が立ったから殴った。意味なんか知らん!無意味に痛みを噛み締めてればいい!」

そう言うと龍牙はフンと憤慨しながら飛鳥から顔をそらす。

飛鳥も怪我の具合を確認する様に頬を二、三度撫でると先程殴られた事実がそもそもなかったかの様に立ち直り、そのまま黙り込んだ。

エレベーター内は静まり帰り、女が一人すすり泣く声が聞こえるだけとなった。

彼らの目的は遥か地下に存在する古きコンピュータに会うことである。

コンピュータに会い、目覚めない赤ん坊…星岡龍牙と植村直実の息子を目覚めさせてもらうのである。

この古きコンピュータ、オールドコンピュータは二千年程も前から存在するものであり日本人の殆どが認知するところであるが通常接触が許されていない。

それ故に謎が多く、第四次世界対戦で人類と共に戦った事以外は詳しく知られていない。

今回もオールドコンピュータを管理する日本グリスと呼ばれる超常の存在を管理する裏組織に話を通してようやく会える様になったのである。

赤ん坊の母親が日本グリスの研究員で、父親が研究対象という特異性が生み出した通常では起こり得ない事例である。

しかしこの事がこの赤ん坊やこの国のその後の運命を大きく変える事になるとは、今はまだ誰も知らない。


◆◆◆◆


どれくらい時間が経ったろうか?

龍牙が首に装着した端末に触れて確認した。

「……もう十分になる。」

「もう少しだ。」

飛鳥はここにきた事が有るとエレベーターに乗り込む前に口にしていた。

おそらく事実では有るだろうが、龍牙は短くない閉所への拘束やこの重い雰囲気から来る不安感から会話を続けた。

「長くないか?」

「このエレベーターは速度が速くない上にオールドコンピュータの中枢部は作られた当時より意図的に地下深くに潜り込んでいるそうだ。」

「意図的に?」

「世界に認められていれば、我々日本グリスが管理する必要もない。この施設は現代では失われた、或いは彼ら独自に開発した技術の宝庫でも有る。世界に脅威を与えぬよう出来るだけ地下深くに自ら逃げたのだそうだ。」

「脅威?」

「力を持つ日本皇国と未知の技術を持つオールドコンピュータ。あからさまに手を組めばその気がなくとも人類の大き過ぎる脅威となる。」

「………」

「これは円卓同盟陣営にとっては紛れも無い共通認識だ。」

龍牙は()()()()()押し黙った。

いやもっと正確にいうなら、

「おい龍牙、人の話を聞いているのか?」

「すまん!よく分からないんだが、オールドコンピュータは何で地下へ逃げたんだ??」

「ああ!?」

話について行けず押し黙ったのだ。

「君!今説明した通りだろ!何か難しいところがあったか?」

「いや待て、分かってる!アレだろ?日本と手を組んだら脅威なんだろ?でも手を組むと脅威になるのがよく分からないんだ。」

「日本は経済的にまた軍事的にもそこそこの大国だ。そんな大国がオーバーテクノロジーの結晶たるオールドコンピュータと手を組めば大きな力を得る事になる。過剰な力を持つ隣人が居れば人は脅威に思うものだろ?」

「それが分からないんだ。日本皇国は別に他国に手を出す訳でも無いのになんで脅威なんだ?」

飛鳥は頭を抱えた。

難しい事を言っている訳でも無いのに理解を得られない事が頭の良い彼にとっては小さくないストレスだったからだ。

「君はアレだな?頭の中がお花畑になっているのかな?」

「何を言っている。頭の中にあるのは脳味噌だろ?飛鳥はバカなのか?」

「バカは君だろうが!!」

飛鳥は思わず怒鳴り散らした。

普段冷徹で無表情な顔しか知らない飛鳥の知人が見たらさぞ驚くだろう。

それくらい彼が感情を表に出す事は無いのである。

憤慨する飛鳥はふとここである事に思い至る。

「さっき私を殴った時、私が直実に言った事の内容を君は理解していたのかい?」

「ん?難しい事を言っていた気がするが、直実を追い詰めていたのだろう?意味なんか知らん!」

「クソが!!!本当に意味分かってなかったのかよ!」

龍牙の言動は意味なんか関係がないというものでなく、自分には理解出来ないがヤな感じがしたからとりあえず殴った___という非常に原始的かつ短絡的な感情を起源とした暴力だったのだ。

会話を横で聞いていた植村直実も赤ん坊が眠るベットに顔を伏せながら肩を震わせた。

「直実ぃ!貴様泣いていたんじゃなかったのか?なぜ笑っている!?」

「っく、ふふふ。だって、貴方が取り乱してるのが、可笑しくって…んふふっくくく」

直実は涙を流しながら、泣き顔を更に笑顔で歪めた様なよく分からない顔になって笑っていた。

「龍牙くんは面白いでしょ?研究対象としてもそうだけど、一人の人間としても。」

「君はもう少し理知的な人間だと思っていたんだがね?重要な研究対象である事は認めるが、星岡龍牙の知性は馬鹿の一言で片付く。」

「確かに……」

「失礼極まりない。」

好き放題に言われて龍牙も怪訝な表情で抗議する。

しかしそうは言ったが龍牙も少なからず自覚が有るのだろう。

否定はしないようだ。

「龍牙君の知識は偏りがあるし、直情的で物分かりもどちらかと言えば悪いわ。」

「おい……!」

「でも、知る努力や理解する事を怠るような人じゃ無い。それに飛鳥?彼には貴方に無い魅力を持っている。」

「ほう?それはなんだ。」

「甘さじゃない、人を惹きつける純粋な優しさ……」

そこまで言ったところで下向きに体が引っ張られるのを感じた。

それと同時に僅かに聞こえていたエレベーターの機械音が鳴り止んだ。

「む…?着いたようだ」

飛鳥の呟きと同時にエレベーターのドアが開いた。

開いたドアの向こうには、煌びやかな赤い着物で身を包んだ女性が立っていた。

日本人的顔立ちで人間離れした美しさを感じさせるが、無機質さは感じられない。

しかし三人は感覚的に理解した。

彼女は人間でないと。

「初めまして。日本グリス日本支部の御二方と星岡龍牙様。私の名前はアイ。今回当施設の案内役を務めさせて頂きます。どうぞ宜しくお願い致します。」

アイと名乗った女は深々とお辞儀をした後、エレベーターと反対方向に手をやり「どうぞこちらへ」と案内を始めた。

赤ん坊が乗ったベットは龍牙が押し、直実はベット脇に寄り添う様に歩き、飛鳥は其れに後ろからついていった。

エレベーターの外は真っ白な廊下が真っ直ぐに何処迄も続いた。

視力の良い龍牙は節目も無い純白の壁に目眩した。

「距離感が狂いそうになる。どこまで続いているんだ?」

「四一○○メートルです。出入り口の場所は毎回変えているそうなので…。あっ、皆さん!此方の赤く点滅している床に立って下さい。」

床の一部をふと見ると四畳程のスペースが赤く光っていた。

三人は指示に従い、アイと共に赤い床の上に乗った。

すると一瞬謎の浮遊感と僅かにバチバチと電撃の火花が散るような音がする。

次の瞬間、その場に居た全員が何の身動きもしないまま進行方向へ滑る様に動き始めた。

「え!」

「何だ!?」

「落ち着け。ただ移動してるだけだ。」

飛鳥は初めてではない為気に留めていないが、他の二人は突然の移動に戸惑い自らに掛かる慣性は殆どないがバランスを崩しそうになる。

「どういう理屈で動いてるんだ?此れは…」

龍牙は足元をキョロキョロと見回しながら、疑問を口にした。

直実も不思議に思っていた様だがハッとした様に赤ん坊の眠るベットを覗く。

只でさえ容体の悪い自分の赤ん坊が、得体の知れない技術でどの様な影響を及ぼすか分からないと思った様だ。

それをアイが振り返って横目でじっと見ていた。

「何かおかしい所でもあるのか?」

龍牙が警戒して尋ねると少し優しい笑顔でアイは答えた。

「いいえ。ただとても大切なんだと感じさせられまして。」

「君は機械だろう?失礼かも知れないが感情があるのか?」

「私の体は有機ナノマテリアルを使用した機械の身体です。しかし、搭載されている人工知能は人の記憶と意識を参考にモデリングされたもので学習能力も有ります。地上では機械に一定以上の学習機のを搭載することは国際法で禁じられていますが、我々はあくまで人間の記憶を持った人類の側の存在として立っています。ですから一から人格を形成された私も全身を義体で身を包んだ人間であると言えますね!」

「うん?」

龍牙は難しい用語(だいぶ噛み砕いた内容ではあるが)を並べ立てられ、首を傾げた。

飛鳥はそれを見て呆れ返ったようにため息をついた。

世界では機械に人類と同等以上の学習能力を搭載することを禁じている。

それは約二千年前、人類以上の存在として国際社会がコンピューターや機械に自分達の活動を管理させていた時代があった。

経済と法律、教育や文化…、果ては戦争まで機械の管理下に置き、人類の大半は永劫の平和と繁栄を実現しようとした。

結果それは失敗に終わた。

人類の歴史は日本を除いて長く絶えてしまい、更には人類の種としての存続そのものが危機的な状況に陥る事となった。

そんな事もあり、機械やコンピューターに必要以上の学習能力の搭載する事はタブーとされた。

本来なら、目の前のアイの存在も許されるものではない。

しかし龍牙はそこまで頭が回らない。

そもそも話について行けないのだ。

それが見て取れた為、飛鳥は頭を抱えているのだ。

しかしアイはそんな事は気にせず、更なる理解を促す為に子供に言い聞かせるが如くさらに噛み砕いて答えた。

「つまり機械の体に人間の心が搭載されたロボットです!」

「なるほどぉ!」

本来そんなに簡単に表現して良い様な低レベルな存在ではないが、説明した本人であるアイは満足そうに頷いていた。

ただ横でそれを見ていた飛鳥は「それで良いの?」と言わんばかりの表情で愕然としていた。

「それはそうとして、この移動方法についてだが…」

「はい。」

「此れは、病気の赤ん坊に影響はないのか?」

直美もそれは気になっていたのだろう。

赤ん坊から目を離さずアイに耳を傾けた。

「この移動技術は簡単に言えば反重力です。反重力で物体を浮かせて、そのまま横移動しているのです。地球の重力で人が影響を受ける事はないのと同様、反重力でも人体に目立った影響はありません。」

「超電導で浮いてるみたいなもんか?」

「技術体系は全然違いますが状況としては近いですね。」

龍牙の受け答えは若干的を外した物であるが、横で聞いていた直美は赤ん坊に影響がない事を理解して胸を撫で下ろした。

飛鳥の方はと言うと、床を見ながら溜息をつき頭を抱えていた。

「相変わらずの化け物技術め…。」

それを聞いたアイはニコニコしながら振り向いて若干煽る様に言った。

「現代社会でも地道な研究で実現可能な範囲だと思いますよ?」

「我々が使う反重力技術は宇宙航行時の超光速移動に使用されるもので、“人を数ミリ浮かせて一定速度で移動する”などと言う反重力の小規模な発生と超微細調整は不可能だ。」

「お!言い訳ですかぁ?現代人は軟弱ですねぇ〜。」

「我々の反重力の使用用途が空間に対してのものだと言っている!地上の物体に使用するには後数百年から千年は無理だ!!」

飛鳥が叫んでいるとドーム状の広場にたどり着き、中央まで行くと床が沈み下降し始めた。

「うわっと、まったく心臓に悪い施設だ。」

飛鳥は油断していたのか少しよろめいた。

「まだ下がるのか…。」

龍牙も不安を払拭できず、上を見ながらぼやいた。

「もう直ぐですよ。ほら外を見てください!」

アイが言うと壁が透明になり息を飲む様な不思議で幻想的な光景が目に飛び込んできた。

まるで水族館の水槽の様な場所。

しかし中に魚はおらず、代わりに無数の光の粒が明滅し、時には別れ混じり合い飛び回っている。

その泳ぎ回る光達の先にボンヤリと揺れる超巨大な箱がビルディングの様に規則正しく並び積み重なっていた。

飛鳥は二度目だが他の二人と同じ様に息を飲んでその光景を眺めていた。

「ここは当施設のメインシステムです。この水槽の液体は全てナノマテリアルで出来たマシンリキッドです。向こう側にあるのは集積されたCPUなどの有機量子演算装置です。この場所を中心として円形に配置され、マシンリキッドによって情報交換と修復を常に行なっています。」

飛鳥は感慨深く頷いていた。

直実はこれだけすごい施設であれば自分の赤ん坊を救えるかも知れないと実感して少し表情が明るくなった。

しかし龍牙はよく分からなかったのか、疑問符の取れない表情のまま取り敢えず頷いていた。

やがて水槽の底を抜け少し広めの部屋にたどり着く。

目線の先には、白髪混じりの老けた顔の男がポツンと椅子に座っていた。

男の服装はよく見ればかなり古く、21世紀の前近世を思わせる様な格好であった。

そこは真っ白な広場で周りに何もない為、その光景は少し異様に感じられた。

「どうぞこちらへ。」

男は口を開き、静かな口調で四人を呼び寄せた。

先ほどとは違い反重力の移動装置がない様で、四人は自らの足で男の元へ歩み寄る。

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