俺はあいつの幼馴染枠だけど
そっと投稿しておく
俺、一ノ瀬春彦は今年の春から幼馴染とともに星ヶ丘高校に通っている高校1年である。幼馴染とは、家が近くまた両親同士仲が良かったため、物心ついた時からもう1人の幼馴染、久我桜子と3人でよく一緒にいる。
両親が大学時代ミスコン、ミスターコンで優勝した過去を持つ2人から生まれた俺は、当然のように顔が整っているらしい。いや、別にナルシストとかではない。しかし、小さい頃何度か怪しい人に連れていかれそうになったり、バレンタインデーに貰うチョコレートの量が尋常じゃないので、自覚するしかないと思う。最近は、幼馴染と一緒にモデルの仕事とかもしているし。
そして現在、歩いて学校へ登校している。幼馴染2人のうちの1人である、水無瀬周と一緒に。俺は小さい頃からあまねって呼んでいるから間違えないが、よく「しゅう」と間違えられている。だけど「周」って書いて「あまね」って読むなんて凄いと思う。
そんな俺の幼馴染は今隣で眠そうに歩いているんだが、ほんとそろそろこいつに言いたい。
「お前、その格好どうにかしろよ…」と
こいつの姿は、ボサボサな髪にメガネ、そしてマスクというなんとも言えない格好なのである。
別にメガネがどっかのラブコメの変装してる奴みたいに、瓶底メガネではないし、メガネが似合わないというわけではない。問題は髪の毛だ。本人は癖っ毛だからしょうがないとか言い張ってるけど、俺は知ってる。ただ寝癖を直すのがめんどくさいから直してないってことを。さくらに何回か注意されてるのに直さないし。元々の癖っ毛と、少し長めの髪のせいで目が殆ど見えないぐらいボサボサだ。
こんな感じで見た目がどう見ても不審者のようなこいつだが、素顔はとてつもないイケメンである。よく俺のことをイケメンといってくるが、全然お前の方がイケメンだ。祖父がイギリス人のクォーターであるため、目と髪の色素は薄く鼻筋も通っていて、道を歩けば振り返らない人はいないほどのイケメンである。モデルを始める前、珍しくマスクをせず、髪をしっかりセットし、メガネをかけたあまねとさくらの3人で街へ行った時、かなり周りからの視線が凄かった。俺やさくらにもかなり視線が集まってたが、あまねは老若男女問わず視線を集めていた。ちなみにこの日のあまねの髪はさくらがセットしていた。人の印象って本当髪で変わると思う。あまねの不審者オーラの原因が髪だと痛感した。
それに俺ら3人がモデルを始めたのもこいつが街でスカウトされて、面白そうだといってスカウトを受け、俺たちを巻き込んだのがきっかけだ。
モデルの仕事はすごく刺激的で毎日楽しいのだが、問題はあまねである。こいつ自分からこの仕事をやると言ったのに、無断でサボったり、果てには「この仕事辞めたいんだけど、上の人説得してくんない?」とか言い出した。
いきなり、何言ってんだこいつ!
お前、今若者に人気の注目モデルなんだよ!CMも出てるだろ!
その時はもう必死にあまねを説得した。ほんとマイペースなんだか、自分勝手なんだか…
名前だって、なんかカッコいいからっていつのまにかセナっていう芸名にしてるし…。お陰で謎のイケメンモデルって人気になってるぞ。
こんな幼馴染だが、最近すごく面倒なことに巻き込まれているっぽい。そう思っていると、通学路の前の方が騒がしい。
「ちょっ、歩きづらいからみんな離れて!」
「由実!美里!拓人が困ってるじゃない!離れなさいよ!」
「そう言ってる麗華もくっついてるじゃん。
それに私はいいんだよー。だってお兄ちゃんと私の仲だもん。ねぇお兄ちゃん、由美のこと好きでしょー?」
「えっ、家族だから好きに決まってるじゃん」
「何言ってるんですか、拓人さん。ダメですよ。貴方にはわたくしがいるでしょ。それよりも、今度の日曜日わたくしの家に来て下さいませんか?両親に拓人さんを紹介したいのですが。」
「?よくわからないけど、美里の家に遊びに行くんだよね?日曜日は暇だから大丈夫だよ。」
「っちょっと!何いいって言ってるのよ!」
「え!ダメだった?麗華も誘おうと思ってたんだけど…」
…すげぇな。隣のあまねからも、うわぁって声聞こえるし。あれ、そういえばこいつらって、
「あっ!あまね!おはよ!一緒に学校行こ!」
思い出した。こいつら最近あまねに絡んでいる奴らだ。こいつらのことは、違うクラスの俺の耳にも届いている。なんだか美少女のハーレムを形成しているとか。
あ、今あまねが話しかけられたから、このまま隣にいると俺まで絡まれるよな。
あまねはわざわざ足を止めてるけど、俺はさっさとこの場から離れる。
あまねは、まぁ、大丈夫だろう。
1人で学校に着いた時、あまねが弁当の入ったバック持っていなかったことに気がついた。多分あまねのことだから、忘れてきたな。だけど朝、あいつ置いて先に行ったし、昼ぐらい買って持っていってやろう。
***
昼休み購買で、惣菜パンと野菜ジュースを買ってからあまねのクラスへ向かった。購買はいつも混むため、あまねのクラスに着いたのは、昼休みが始まって15分たった後だった。廊下側の生徒にあまねの席を訪ね、教えてもらったところへ行くと、あまねは机に顔を伏せ爆睡していた。メガネとマスクを外していないのと、周りであの噂のハーレム達が騒いでいるのに微動だにしないところを見ると、かなり疲れているようだ。昨日かなり遅くまで撮影してたもんなー。
だけど多分このまま寝かせていたら、昼何も食べないだろうし、さっきから桜子ことさくらからの連絡が凄い。今日の仕事についてあまねに連絡しても全然返事がこなかったから、俺に直接言えってことらしい。人使い荒いな、おい。
とりあえず、あまねを起こして今日の仕事について話す。途中で弁当を忘れたのに気づいたらしく、かなりムカつく視線を送ってきたので、一発あまねに入れてしまった俺は悪くないと思う。
まぁ、こんなあまねだから一緒にいて飽きないのだと思う。あ、だけど今日サボるなよ。
今日の撮影は、この学校の前でやるらしい。学校が終わってすぐ撮影を始めるらしく、ある程度準備しといてということだそうだ。
***
全ての授業が終わったので撮影場所である、校門に向かうと案の定、人だかりができていた。まぁ、人気モデルのさくらがいるんだったら納得だ。あまねがサボらないように、教室に迎えに行ったのにいなかったので、あまねがサボってないのかが心配だが。
とにかくマネージャーやさくらと合流しなければと思い、集まっている人にすみませんと声をかけると、あら不思議。どんどん道ができる。こういう時に、顔がいいと便利だなって思う。
俺の一声でできた道を通り撮影場所に行くと、なぜかあまねの腕をさくらが思いっきり笑顔で掴んでいた。それに近くにはあの噂のハーレム達もいるし。
どんな状況だ、これ
思わず声をかけると、さくらが俺に声をかけてきて、あまねが俺に駆け寄ってきた。
あまねに事情を聞いたんだが……
おい、あまね。さくらに余計なこと言うんじゃねえよ!
ほら、もう、こっちを作り物の笑顔で見てるし。営業用のあの笑顔はどこ行った。まだあれの方がマシだよ。
さくらの笑顔に脅されながら、仕度をし始めると、案の定あまねのことで騒ぎになった。
とにかくあまねは、髪の毛をどうにかするべきだと思う。
しばらくするとマネージャーに呼ばれたので、なぜかショックを受けているあまねを連れて、スタッフ達のもとへ行く。
途中でまた、あまねとさくらがなんか言い合ってた。小さい頃から一緒に過ごしてるから、お互いによくわかってるし波長もあっているのだが、よく口喧嘩をする。多分喧嘩するほど仲がいいってことだろう。
だけどな、
俺を巻き込むなよ!
ほら、またさくらの笑顔が怖い。おい、あまね。俺に抱きつくな。
マネージャーさん、カメラマンさん、早く撮影始めましょう!!!
***
あまねがセナという事実は、あっという間に知れ渡り一時、学校が騒がしかった。しかしそれもしばらくすると、落ち着きあまねは普通に学校に通っている。男子はともかく女子がかなり騒ぐと思っていたのだが、それほど騒いでいなくて大人しい。疑問に思って聞いてみると、「セナ様が美しすぎて、私なんかは近くに行けない」「私がセナ様の視界に入るなんておこがましい」だそうだ。
イケメンすぎるってすごいな。あとハーレム達の噂は一切聞かなくなった。あまねにも絡むことはなくなったらしい。
まぁ、とにかくあまねが普通に学校に通えてよかった。
ちなみに、あれからあまねは髪だけはしっかりセットして学校に通っている。しかしあまねは自分で髪をセットできないため(アイロンとかで火傷するタイプ)、さくらが毎朝セットしてあげている。俺も時々手伝うけど。今もあまねの家でさくらと一緒に、あまねの髪をセット中だ。
「ほんと、自分で髪の毛ぐらいセットできるようになりなよ。そんなんじゃ、結婚できないよ」
「じゃあ、さくらが俺をもらってよ。ほら俺、給料もかなりいいしお買い得だと思わない?」
「あまねがずっと売れ続けてたら、考えてあげる」
「じゃあ、仕事頑張ろうかな」
なんだかんだ言って、この2人は仲がいい。将来人気モデル同士で結婚するのも夢じゃないと思う。
夜中のテンションで書いたので、かなり文章がおかしいと思います。気軽に読んでください。