81話 S級冒険者と強制的な指名依頼
ヒサはシーラに強引にギルマスが待つ、マスタールームに案内をされるなか、シルフィはシーラに嫉妬して、そのシルフィに先輩受付嬢と桜彌と白婀は怯え、ウサミは登録羊皮紙に記入をワカバと相談しながらしていた。
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ヒサとシーラは、ギルマスが待つ、マスタールームの前に着くと、シーラは離れたくないと不本意ながらも思うが、シーラ!またヒサ様といつか腕を組む事ができるわ!思いながら離れた。
多分、ないと思うが……。
ヒサから離れたシーラは、マスタールームの扉にノックをすると、ヒサを案内をした事を告げ、ギルマスの了承を得て、マスタールームの扉を開けるとギルマスが立っていた。
「ようこそ、ヒサ。立ち話もなんだ、そこのソファに座ってくれ。シーラもう下がってよいぞ、ありがとな」
「あぁ。分かった」
ギルマスはヒサを机を挟む反対のソファに座ると、以前とは性格が変わり、少し偉そうな感じがしたが、ギルドマスターとしての威厳があるのだろうとヒサは思った。
そしてお茶の用意をして出し終えたシーラは、ギルマスに部屋から退去の指示を受けた。
「え?あ、はい」
(はぁ〜。ひと時の幸せだったなぁ〜。まだ話す機会はたくさんあるはず!頑張るよ、シーラ)
シーラは、ヒサと離れたくないと思い、ヒサとの腕を組んだひと時を思い出し、そして自分を励ますと、ギルマスの指示に従い、部屋から退去した。
「済まないな。一応俺もギルマスとしての義務と威厳がないとな。改めてこの街を、モンスターの脅威から救ってくれたことを感謝する」
「分かった。そもそも強制依頼だし、この街には俺の屋敷もあるしな。いいってことよ。それで俺をこんなとこにわざわざ招き入れた理由は、なんなんだんだ?」
「そうだな。率直に言うとだ。ヒサ!Sランク昇格おめでとう!」
「は?」
「今回のモンスター討伐内容、他のSランク冒険者でも無理だろう。お前のギルドカードに記載されている、今回の、オーク群勢モンスター討伐数だけで、多分世界一だと思う」
「はぁ↷」
「よって俺のギルドマスター権限と、他の街のギルマスと相談して決めた。しかしだな、そのな、今回のモンスター討伐の金は分割払いにしてくれないか。金が追いつかん。本来ギルドカードには、貯金、貯蓄が出来るのだが、ヒサは使って無いようだな。商業ギルドよりは金利が安いが一応つくぞ。今回の依頼料、討伐料金の金額はヒサのギルドカード宛に毎月入金する。
あと金をギルドに預けていると、他のギルドで引き下ろしたりと出来て、商業ギルドなどの、別のギルドと取り引きも出来るぞ。今後使ってくれな」
「ん〜。貯金かぁ。説明の時、言われたかなぁ?まいっか。それはいいのだが、B以上のランクには試験があったし、良いのか?ていうか、俺はランクあまり上げたくなかったのだかな…」
「冒険者登録したとき、シーラだったな。はぁ〜。新人だったから説明不足だったのかもしれんな。ランク上げたくなかったとか、お前、指名依頼を受けたくなかったのだな。しかしダメだ!ヒサみたいな強者、この世界のためにも、凶悪モンスター討伐を受けてもらわなくてはな!」
「はぁ↷。面倒くさいなぁ〜。凶悪モンスター討伐なら、いいのだがな。貴族の指名依頼とかは辞めてくれよな」
「無理だ!もう既に指名依頼が入っているぞ!ヒサのS級ランクにこの御方の希望でもあったしな……。それにだ、Sランクには」
「本気かよ……」
「本気だ……」
ヒサはS級ランク昇格に不満を覚えながら、貴族の指名依頼 を受けて貴族との振る舞いで敬語で話したくない。
一応Sランクには男爵、子爵並の権限があるそうだが、貴族ではないし、いろいろと大変そうで面倒くさいと思う。
リューゲル伯爵の依頼かぁと、げんなりするヒサ。
落胆しているヒサと、そのヒサをギルマスは同情していると、扉のノックの音が聞こえ、女性が入室の許可を求められた。
「良いぞ。入れ」
「失礼します。ヒサ様。ギルドマスター秘書のウラーナです。ヒサ様以後お見知りおきを。ギルマス、ランク手続きを終え、ギルドカードをお持ち致しました」
「俺に挨拶はないのかよ………ありがとう。ヒサに渡してくれ」
「いりませんと判断しました。わかりました。ヒサ様こちらSランクギルドカードの確認をお願いします」
ウラーナという、背が高くスタイルが
いい(しかし胸がとても寂しい)女性が、ヒサにプラチナのキラキラ光るギルドカードを渡されたので、受け取ると、表のヒサの名前とランク、裏に向けて魔力を込めると浮かぶ、受けた依頼内容と終了した依頼内容、そしてモンスター討伐数を見て、確認を終えると魔力を消す。
そのままギルドカードを確認していると、書かれていた名称に驚く。
「な、なんだこりゃぁ!」
「ん?どうした?」
「〖瞬滅の龍魔剣士〗ってなんなんだよっ!」
貰ったプラチナのキラキラ光るSランクギルドカード裏には、〖瞬滅の龍魔剣士〗と書いてあった。
ヒサ曰くその称号らしきもの、ギルドや街の出入りに、ギルドカードを見せる度に見られる事に、恥ずかしく思うヒサは、ギルマスに講義する。
「おいおい!こんなの恥ずかしい!消してくれ!」
「諦めろ。Bランク、Aランクから、通り名、いや、二つ名が付くことがある。ヒサは当然付いた。俺とギルド職員でヒサの二つ名考えたんだぞ。格好いいだろ?」
「はぁ↷。確かに龍の形をした魔法で瞬滅?殲滅?した剣士だけどよ……。格好いいかぁ〜?やはり、恥ずかしい。はぁ〜。それでギルマスの二つ名は?」
「諦めな。お、俺か……。俺は……き、金光の斧術士だよっ!俺のがもっと恥ずかしいわっ!」
「き、金光。確かに恥ずかしい。ギルマスのバトルアックス、金色に光るのか?」
「うむ。光る。最初俺の二つ名、金玉だったんだぞ!バトルアックスの能力で金色の魔球を出していたからな。泣いて変えて貰った」
「お前も、大変だったんだな」
「昔の話だかな……」
「「………」」
「ヒサ様指名依頼です……」
二人は、二つ名の事を考え落胆し、意気消沈していると、二つの書巻、一つは封猟がされている書巻を、秘書が空気を読みつつ、ヒサの前の机に、書巻をソッとに置いた。
「ったく、いきなりかよ!想像つくがな」
ヒサは封猟のついた書巻を開けると、案の定、貴族だった。
しかも依頼者はリューゲル伯爵で、読んでいくとナーヤツ伯爵の悪行を、王都に行って貴族を集め、宮廷裁判をするらしい。
それでナーヤツ伯爵からの刺客、暗殺者や闇ギルドなどの邪魔が入るから護衛を頼みたいらしい。
もう一つの書巻はオールガ商店のキルクだった。
キルクも王都へ、仕入れや、卸すために、盗賊から護衛して欲しいみたいだ。
「なあ。ギルマス。伯爵の依頼は殆ど強制だよな。行き先の同じ護衛の依頼二つを受けても構わないのか?」
「伯爵の出立はもう決まっているのだろう?伯爵が了承を得て良いと言えば、キルクに伯爵に合わせるように言えば良いだろう。こっちで伯爵の了承得て、キルクに言っといてやる。だから伯爵の出立日時は忘れるなよ」
「はぁ〜。分かったよ。キルクの事は頼むよ。キルクには世話になっているからな」
「任せろ。明後日と急だが、伯爵もヒサにあまり無理は言わんだろ、多分。ヒサ、頑張れよ」
「また、この街で依頼受ける事になったらよろしく頼むよ。この依頼が終わったら、そのまま俺達冒険の旅に出るからさ」
「はぁ〜。やはり街を出るのか。リーンの森があるから、街にいてもらいたいのだがな。強制できないか」
「この世界を見てみたいからな」
「この世界?そうか。分かった」
ギルマスはヒサのこの世界に疑問を思いつつ、二人は話しを終えるとヒサは、ギルマスとウラーナに別れを告げてマスタールームを後にした。
「まぁ〜。面倒くさいけど、冒険の旅に出る為と思えばいいかな」
ヒサは今後の旅の準備を考えながら、階段の前に着き、シルフィ達がいる一階に降りていった。
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誤字、脱字すいません。




