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ワカバの過去とこれからのワカバ 後編

 

 サラ(後にヒサに命名されワカバ)は、クラウの兄が街から帰ってきて、父親と母親の三人で話し合っていたが、サラには何も言わずに今後を決めていた。


「父さん街の物価が上がってた。今回はこれだけしか買えなかった」


「は?糞!貴族めが!税金とか言って村の麦や作物を持っていった挙句に物価が上がっただと!」


「あんた!どうするのよ!こんなんじゃ生活出来ないよ!クラウの魔石ももう手に入らなくなったし、どうするのさ!」


「それなんだが父さん、母さん、今、この村の村長宅に奴隷商人が宿住まいで休んでいるらしい。この際、サラを売っちまうのはどうだろうか?犯罪行為だが貴族が買うらしい。」


「そ、そうか。だがなクラウの遺言がな。」


「あんた!私の子供じゃないから私は可愛がらないよ!売っちまいな!あんな娘!クラウを殺した娘だよ!私は我慢ならないね!私が殺すよりは貴族に可愛がられるのがいいじゃないか?ねぇあんた?」


「お、おまえ!わ、分かったよ」


(怖い女だな)


 と、サラがいない所でサラの奴隷行きが決まり、コソコソと準備し始める最悪家族だった。


 その頃サラは、森の中にいた。


「えい!にゃんとぉ!にゃあ!すいにゃ!にゃご!せいにゃ!こんにゃろめ!けんにゃ!にゃーご!」


 サラは密かに何か意味有りげな声を上げながらスライムと戦っていた。


「ふぅ〜にゃ!やっとかてたにゃ!にゃっと!(おっと)しゅうちゅう!しゅうちゅう!けはいとにおいをかんじなけばにゃらないにゃ!」


 頑張ってスライムを倒しスライムの魔石を集めていたが、半日かかってまだ二個目だった。


「がんばっておとうさんとおかあさんにみとめられなければなければにゃらないにゃ!がんばるにゃ!」


 今までもそうだったが、クラウとサラの魔石集めをしてたら、普通なら普通の暮らしが出来るのに、クラウに甘えた父親と母親は贅沢をしていた。父親は酒を飲みに酒場に、母親はかなり贅沢な甘味類を、生活ギリギリで摂取しており、そしてクラウは少しまともな食べ物だったが、母親がサラの事が気にいらなく、残り物を分けていただけだった。そして優しいクラウは、サラに自分の分の食事を分け与えていた。


 話は戻り、そして頑張って手に入れたスライムの魔石四個を持って村に戻り、井戸で体と服を洗い家に向かった。


 その日の夜魔石を渡そうと父親と母親に会いに申し訳なさそうに食堂と言えない所だが、食堂に行って魔石を四個渡す為に入った。


 待っていたのは、妙に優しい母親に疑問を持つが、今迄頑張ったお陰かなと思い込んだサラは、


「あっ!サラちゃん。お帰り。さあ!座って、今、食事を持って来るよ」


「はいにゃん。あのぉ。ませき、よんこあります。どうぞにゃん」


「ありがとうよ。サラちゃん。このスープ飲んでゆっくりと休みな」


「ありがとうにゃん!うれしいにゃん!」



 スープを飲んで少ししたら眠くなりサラは自分の寝床に戻ろうとするが、我慢できず眠ってしまった。


 母親が睡眠花を摩り下ろした物をスープに混ぜ、サラに飲ましたのだ。



 そして父親がきて少し罪悪感を持ちつ喋った。


「なあ!本当にサラを売るのか?」


「何言ってんだい!スライムの魔石を四個持ってきたぐらいで面倒を見るとでも思ってんのかい?無理だね!」


「そ、そうか」


 サラの父親はやはり自分血が流れている娘サラが、唯一の娘がこんな時になって可愛くなってきてしまった父親は、何とかしなくてはと思うが、妻の言われた通り妻なら本当にサラを殺しかねないと思い、泣く泣くして貴族に可愛がって貰えるように心の中で祈った。




 そして眠らせたサラを起こさないように持った、父親は本当に駄目な父親だった。


 サラを持った父親と母親が村長宅に向かうと、奴隷商人の下男と思わしい人がいたので声を掛けた。


「済まないがこの娘を売りたい。奴隷商人さんを呼んでくれないか?」


「ふん!付いて来い!外道が!」


 と言って下男は、村長宅に案内した。


 下男は村長宅に入り少し大きな部屋に案内された。


 扉をトントンと、叩き「客が来てます」と下男が言い、了解を得た下男がサラの親たちを中に入れた。


「何だねこんな時間に?んー?その娘は?」


「その、この娘を買って頂きたいのですが!」


「ほーん。口減らしか。しかもこんな小さい娘は身請けにならんしなぁ。犯罪行為だよ?」


 奴隷商人の言葉にサラの父親は黙り込み、そしてサラの母親が喋った。


「あんた!何やってだい!商人様!そこをお願いします。もう!私達の、食い扶持がないのです!」


「はぁ。分かりましたよ。ふーむ。大銀貨5枚だね。」


 サラの母親にお願いされて奴隷商人の出した答えにサラの母親は、


「そ、そんな!安すぎやしないですか?!」


「だってさ、犯罪行為だよ。こっちもリスク追うからこれ以上わねぇ。嫌なら止めときなよ」


 サラの母親は奴隷商人の言葉にたたらを踏み


「分かりました!この娘を売ります!」


「分かったよ!大銀貨5枚だよ。」


「「ありがとうございます」」


 と言ってサラの父親と母親は村長宅を出ていった。


「ムフフッ!こりゃあ良い買い物したよ!おい!この娘を馬車に積んどけ!」


 言われた下男が優しくサラを持ち部屋から出ていった。


「クククッ、これでパーシリ男爵様にお土産出来たよ。あの方ロリコンだからな。」


 奴隷商人はそう言って、酒を呑んだ。



 そして何日が経ちサラは、禁断の奴隷魔法でサラは奴隷になり、奴隷紋発動中は泣く事もに喚く事も出来ず、反抗すると鞭で背中を叩かれながら親達を恨みながら気絶した。そして奴隷商人の馬車四台はリューゲルの街に向かっていた。


「可哀想な子だね何も出来ないけど、私が少しの間でも優しくしてあげるよ」


 奴隷商人達やお付の者に叩かれて眠っているサラに、サラと一緒に乗っていた一人の犬人種の女性に優しく撫でられ話し掛けられていた。


 そして十歳になった今日、サラに更に災難が訪れる。


「モンスターだ!ゴブリンが大量にいる!何でこんな所にいるだよ!」



 後にヒサが倒す、ジェネラルゴブリンがゴブリンを引き連れて奴隷商人の馬車と人間達を襲った。



 この喧騒にサラは起きて、何が起こっているか不安になりながら、近くにいた犬人のお姉さんに聞いた。


「お姉ちゃん何が起こっているにゃん?」


 ここまでに来る間に言葉を覚えハキハキと聞くが、サラはかなり動揺していた。


「サラちゃん大量のゴブリンが私達を襲っているわ!だから私があなたを守って逃がすから頑張って逃げなさい」


「お姉ちゃんも逃げるよにゃんね?」


「勿論よ!」


 サラと犬人種のお姉さんとで馬車から逃げ出し四台の馬車の内の三台は酷い事になっていた。酷い有り様を見ながらサラ達は逃げた。


 サラ達は逃げていたのだが、ゴブリン達に見つかり逃げ切れなくなって来た。


「サラちゃん!ここからは一人で逃げて!」


「お姉ちゃんは!どうするにゃんか?」


「私も逃げるわよ!だからサラちゃんも逃げてね」


「一緒が良いにゃん!」


「無理よ!私はゴブリンをおびき寄せながら逃げるから、サラちゃんはあっちの街の方に逃げなさい!」


「ほら!行きなさい!私は大丈夫だからね!」


「はいにゃん」


 と言って二人は別々に逃げ出した。


 大半のゴブリンは犬人種のお姉さんに付いて行ったが、少しのゴブリンがサラに気付いてしまった。


 サラは一日中ひたすらに走って逃げた。



 そして助けられる運命(ワカバ自称)サラはゴブリンに捕まりそうになった時に、ヒサがゴブリンから助けて貰い助かった。


 そして助けて貰った事が、嬉しくて泣いた。


 初めて心から嬉しくて泣いた。


 何故かご主人様なら奴隷になっても酷い事されないって分かった。


(このご主人様の撫でられかた、お兄ちゃんにそっくりだもん。)


 その後ヒサの胸で眠っていたサラは、兄に似た匂いと温もりを思い出しながらいい夢を見ていた。






 そして時は戻り現在、今回パーシリ男爵邸から再びヒサに助けられたワカバは、過去と今回の事、そして、ヒサはワカバが攫われたと聞いた時に物凄く怒ったと聞いてもう一度決心した。


 そして旅立ちと聞いて更に気持ちを込めた。


「クラウお兄ちゃん!私ワカバは、困っている人を守り助けられる人になります。ご主人様に迷惑をいっぱい掛けるかも知れないけど、頑張ってご主人様の言う事を聞き色々と学び、そして大好きなご主人様と一緒にこれからも過ごし、ご主人様と共に戦い人々の役に立って、いずれ一人でもご主人様の様に困っている人を、守り助けられるいい女になります!」


 ヒサ達に隠れて宣言と決意した。




 この時何故に語尾に、にゃん、にゃ、が付かなかったのはワカバしか知らない。



 もしかしたらワカバは実は、にゃん、にゃ、を付けなくても話せるのかも知れない。





 それは神のみぞ知る事だが、知らされる事はないだろう。 



 ほぉほぉほぉほぉほぉほぉそうじゃ教えないのじゃほぉほぉほぉほぉほぉほぉ


 何しに来たんだと、誰かに思われていた。




お読み頂きありがとうございますm(_ _)m

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