ワカバの過去とこれからのワカバ 前編
閑話です。
ワカバの過去からの話です。
これは、ワカバがケトーガに攫われ、パーシリ男爵邸に摑まってその後に過去を思い出し、ワカバはもうヒサにあんまり頼らないように、これからのワカバのこれからを、過去のワカバと向き合い考えて決める話です。
サラ（後にヒサに命名されてワカバ）九歳の頃に住んでいたこの村はとても貧しい暮らしだった。
サラはボロボロのナイフを持って今日もサラの兄クラウ十二歳は鉈を持って、一緒に狩りに出掛けていた。
「ワカバ！もう少し周りを見てそして匂いを辿れ！遊びじゃないんだ！しっかり周囲の気配を感じながら歩け！」
「はいにゃん！おにいちゃん、でもむずかしいにゃん！」
「死にたいのか？お前の為だ！頑張れサラ！」
今日もお金を稼ぐ為と、クラウは親達にサラが売られないようにする為に、スライムの魔石取りとゴブリンの魔石取りのモンスター討伐だった。
「サラっ！スライムそっちに行ったぞ！スライムの中心にある核を狙え！」
「はいにゃん！」
サラは頑張っているが、中々上手く核を狙えず、ナイフでスライム核を外し、スライムの液体だらけになりながらスライムを攻撃している。
「にゃあ！にゃ！にゃん！」
サラは頑張ってはいるが、やはりナイフが当たらない。
「焦るな！サラ！もっとしっかりと見ろ！」
「わかったにゃん！そにゃ！えいにゃ！」
「サラ！変な掛け声辞めろ！俺が移りそうになる」
「むりにゃん！スライムこわいにゃん！」
「柔らかいパンだと思え！そうすれば怖くない！」
「わかったにゃん！やわらかいパンにゃんにゃ！にゃん！おいしそうにゃ！えい！」
「やれば出来るじゃないか！良し！次も頑張れよ！」
「はいにゃん！」
最後の1匹のスライムを倒したサラだが、クラウが更にモンスターを探しに、少し危険な森の奥までサラを連れて行ってしまった。
「おっシャドーラビットがいた！サラはここを動くなよ！あと静かにしとけよ！」
「はいにゃん！」
クラウはシャドーラビットは弱いが逃げ足が早くて中々捕まえられないモンスターだったがまだサラとクラウに気付いていなくクラウは倒せると思った。
ゆっくりと音を立てずにシャドーラビットに近付きクラウの持つ鉈で狙う。
シャドーラビットは、クラウに気付かず首を切られた。
「やったにゃあ！おにいちゃんすごいにゃん！」
声を出してしまったサラに、タロンチュラが忍び寄って来てるが、サラは気付かず、刺されると思いきやクラウが気付き、クラウがタロンチュラの噛み付きをサラを体で守り、肩を噛まれながらも鉈で攻撃するが避けられた。
「おにいちゃん！だいじょうぶにゃんか？」
クラウはサラを抱き締めてサラの頭を撫でながらクラウは言った。
「大丈夫だ！それより大きな声を出すなと言っただろ。ここにはいっぱい色んなモンスターがいるから周囲を確認しないで大きな声を出すな！分かったな？」
「はいにゃん。ごめんなさいにゃん。ほんとにおにいちゃんだいじょうぶにゃんか？」
「大丈夫だ。それよりもう家に帰ろう。シャドーラビットの肉があるから今日はご馳走だな。ちゃんとサラの分も貰ってあげるからね」
「おにいちゃん。ありがとうにゃん！」
こうしてシャドーラビットを倒したクラウは、サラを連れて家に帰ったが、クラウはタロンチュラに毒にやられていた。
タロンチュラは小さいがは、タランチュラよりも毒が強く、虫じゃなく小さな魔石があるモンスターだった。
サラとクラウは家に着き、クラウはシャドーラビットを親に渡しに行き、サラは汚れた服と体を洗いに井戸がある所に行った。
「ネチャネチャできもちわるいにゃん。もういちまいふくがあったらにゃあ」
サラは洗い終わると体を振り水を飛ばしてから、ぼろ切れで体を拭き、服と言うには可哀想なぼろ服をよく絞り、そして良くはたいて着ると、自分の家の片隅の藁の寝床に、申し訳なさそうにコソコソと入った。
サラの家族は五人暮らしで兄がもう一人おり、サラは本当ならば産まれて来なかったのだが、父親が酒の勢いで女を抱き、そして身籠った女が二年前に来て、サラを置いて去ってしまった。
ギリギリの生活がさらにサラを養うと、厳しいからサラを売るかと話が出たが、クラウが面倒を見ると言って受け入れた。が、サラに与える食事は残り物で、何時もサラは申し訳なさそうに食べていた。が、優しいクラウが何時もサラに食事を分けており、何とか成長に害が無く今まで生きてこれた。
そしてクラウは父親と話している時
「おい！クラウどうした！しっかりしろ！肩が腫れてる？こ、これはタロンチュラ噛み跡！お、おい！解毒薬残っているか？」
サラの父がクラウの異常に気付き、そしてクラウの母親が来て
「あんた！ずっと前にあんたが使って無いよ！半年分の金で買ってあんな少し量じゃ残らなかったよ！今金なんて無いからね！クラウなんで噛まれたの！あんたならあんなタロンチュラなんて避けられるだろ！」
「母さん少しヘマしちゃって。すいません」
「うーん。嘘だね！あの娘のせいだろ！あんた！あんたの勝手に作った娘のせいで私の大事な息子が死んじまうよ！」
矛先をサラの父親に振りつつサラにも振り
「別に好きで作ったんじゃねえよ！俺が酔ってる間にあの糞女に誘われちまったんだよ。糞が！あの女のせいで！」
「父さん、母さんサラは悪く無いよ。だから優しくしてね。うぅっう、うぅ……」
「クラウ！しっかりしろ！糞が！」
「クラウ！しなさいよ！」
解毒薬が無いクラウは助かる事が無く息を引き取った。
そしてサラに知らされず、クラウの親達は大切に火葬され、森の木の下に火葬した骨を埋めた。
その頃ワカバは木の影から
「お、おにいちゃん！なんでしんじゃったの！わたしなんてたすけなくてもよかったのに！え〜ん、え〜ん、え〜ん」
一人寂しく無くサラだった。
そして数日後、夫婦と街に仕事に出ていたクラウの兄が帰って来て、今後の事が、サラを抜きのまま話し合いが始まった。
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